マリンエキスプレス(京浜航路)、運航休止

[Traffic] Misc

 夏の予定を考えて調べモノをしていたところ、衝撃のニュースが。
 川崎と日向・宮崎を結ぶ長距離フェリー(那智勝浦・高知への寄港便もあり):マリンエキスプレスが、6月18日をもって休航するそうな…。

 *マリンエキスプレス:公式サイトより

京浜航路の休止のお知らせ

平素は、弊社京浜航路をご利用頂きまして誠に有り難うございます。
昭和46年就航以来多くの方にご利用頂きました京浜航路は、
諸般の事情により下記の日程を持ちまして休止させて頂くことになりました。
航路及び区間
川崎〜那智勝浦〜宮崎
川崎〜高知新港〜日向
運航休止日
平成17年6月18日(土)から
*13日から18日までは川崎〜那智勝浦〜宮崎のみの隔日運航となりますのでご注意下さい。

 がーん。
 これで、南九州への旅にバイクを持ち込めなくなってしまった(T_T)
 2003年9月には、日向から川崎へ利用しているのですが。(旅にっき参照)
 確かに、以前から状況が良くないことは耳にしていました。実際に乗船した際も、近年は手を加えられていないと思われる船内設備から、「やる気」は感じられなかったですからね。バブル期に建造された船体(パシフィックエキスプレス:1992年11月就航、フェニックスエキスプレス:1993年6月就航)は豪華でも、その老朽化ぶりは目を覆うばかりで…。

 パシフィックエキスプレス パシフィックエキスプレス2
 【↑ 2003年9月に利用したパシフィックエキスプレス。同船は売却処分に】

 にしても、急な発表だったんですね。調べてみると、同社からの正式発表は5月25日。それから約3週間で休航とは…。
 累積赤字(257億円/2004年3月期)に耐えられなくなったことや、原油価格の高騰などが休航の引き金に。現状では、燃料費が営業コストの約4割にも達するのだとか。記録的な発生数となった昨年の台風で、計52便が欠航したことも業績悪化の一因でしょうね。
 1971年に運航を開始した同航路は、旧・日本カーフェリーからマリンエキスプレスへと、1990年に事業譲渡。輸送実績は横這い、あるいは右肩上がりで推移していたものの、就航以来、年間黒字を計上した年はほとんどなかったとか。

コスト削減は進んだが、高騰した燃料費に吸い取られた。
約34年続いてきた京浜航路を休止するのは断腸の思い。

(同社・黒木政典社長のコメント)

 日本・長距離フェリー界の草分け的な存在だった京浜航路だけに、その運航休止は、長距離フェリー界が抱える危機的な現状を反映しているとも言えそうな。
 かつて、船体に太陽の絵を描いた《さんふらわあ》(東京-高知間/日本高速フェリー)が長距離フェリーの代名詞となり、各地への航路が次々に開設された頃が懐かしい。長距離フェリーがブームとなった時代を知っているだけに、複雑な思いですね。
 そうそう、この京浜航路には、高校の修学旅行でも乗っているんですよね…。

 北海道へ向かう人気航路だった近海郵船(東京-釧路)の廃止や、ブルーハイウェイライン(現・商船三井フェリー/東日本フェリー):東京-苫小牧航路の旅客扱い廃止と貨物フェリー化(1999年)もショックでしたが、今回の休航はそれ以上の衝撃かも。
 せめて貨物フェリーとして残ってくれれば、バイクや車の無人車航走には使えたのに。
 ちなみに、川崎と日向の両ターミナルは廃止されるそうです。


 これで、首都圏と九州を結ぶフェリーは以下の2航路に。

 シャトルハイウェイラインは無人車航走が不可なので、バイクだけを九州に持ち込みたい場合は、玄関口が新門司(北九州)だけに。
 北へ向かう航路も大洗か新潟まで行かなければ利用できないし、どんどん不便になってしまう(T_T)

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     県内と神奈川県川崎市を結ぶ京浜航路を運航するフェリー会社マリンエキスプレス(黒木政典社長)は25日、同航路の運航を6月中旬で休止すると発表した。毎年の赤字に加え原油高騰や昨年の台風で運休が相次いだことがだめ押しになった。黒木社長は「再開」について「よほど原油価格が下がるなど大きな変化がないと難しい」との認識を示した。一方、グループ会社の宮崎カーフェリーが持つ休止中の「宮崎―大阪・貝塚」航路を6月下旬にも再開し、代替航路とするとした。
     京浜航路は2航路あり「日向―(高知)―川崎」を6月13日から、「宮崎―(和歌山)―川崎」を同18日から、それぞれ休止する。
     同航路は、日本カーフェリーから営業譲渡を受けたマリンエキスプレスが90年に運航を開始。昨年度の輸送実績は旅客8万1千人、トラックや乗用車など約7万台。原油高騰で営業コストに対する燃料費の割合が4割近くに達し、さらに昨年の台風で52便が欠航したり、バブル期に建造した船の維持費がかさんだりしたことが響いた。
     貝塚航路は今年3月から原油高騰を理由に休止している。京浜航路に比べ(1)運航距離が約半分で原油高の影響を受けにくい(2)台風での欠航が少ない、という利点があるという。日向・細島への寄港をやめて直航便とし、荷主の需要に応えられると判断した。
     マリンエキスプレスは京浜航路存続のため、98年から希望退職や全社員の給与カットで営業努力を続けてきた。県庁で会見した黒木社長は「コスト削減は進んだが、高騰した燃料費に吸い取られた。約34年続いてきた京浜航路を休止するのは断腸の思い」と語った。運賃値上げを荷主らに打診してきたが折り合わなかったという。
     同社は今後、関係先と話し合って会社の存続を協議するとしている。
     休止発表を受け、安藤知事は「本県物流への影響が懸念される。県としては関東向け海上輸送航路の再開について、関係団体と連携しながら最善の努力をしていきたい」とコメントを発表した。
     また、県トラック協会の野中秋芳専務理事は「フェリーを積極的に利用してきた会社では死活問題につながるところもある。(代替航路を使っても)我々も関東方面の運送料金の値上げをせざるを得ず、利用者に負担を強いることになるだろう」と話した。

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