鉄道路線廃止、存続あれこれ

[Traffic] Railway

 北海道ちほく高原鉄道の廃止をきっかけに、しばらく見ていなかった各地の中小私鉄&第3セクターの現状を調べてみれば。
 やはり、かなり深刻な状況が見えてきますね。
 これまで取り上げていなかった路線で、特に最近の動きがあったものを見てみると…。


くりはら田園鉄道 (宮城県/石越-細倉マインパーク)

 1995年、旧・栗原電鉄から現在の社名に変更。同時に、架線を張ったままディーゼル列車運行に切り替えられた。1990年に細倉駅を移設し、細倉マインパーク前駅と改称して集客に努めるなど、鉄道存続の努力を続けてきたが、2007年3月末での廃止が決定。
 同線には古くからの鉄道施設が数多く残り、終点には観光施設の細倉マインパークもあるだけに、何らかの形で保存運動が期待されるところ。

鹿島鉄道 (茨城県/石岡-鉾田)

 施設老朽化により航空自衛隊百里基地へのジェット燃料輸送が打ち切られ、窮地に立っていた同鉄道も、2007年4月1日での廃止届けを国土交通省に提出。親会社である関東鉄道からの支援が、同年以降は打ち切られるためだと思われる。
 が、一方的に廃止という流れではなく、地元での存続活動も盛り上がっている。
 中でも、茨城県立小川高校生徒会による活動(かしてつ応援団)は注目されるところ。こうした「鉄道を通学の足にする沿線の学校」による存続運動は、今後も全国に広がっていくのでは。ブルーバンドの販売で存続活動をアピールするかしてつブルーバンドプロジェクトなど、高校生ならではの活動も目立つ。公式サイトの構成が生徒会年度別で、総合的な活動内容を把握しにくいのは難点。

桃花台新交通 (愛知県/小牧-桃花台東)

 愛知県小牧市の名鉄小牧線・小牧駅と、愛知県が主体で開発された桃花台ニュータウンを結ぶ新交通システム。1991年の開業からわずか15年の今年3月、出資元の愛知県と小牧市から廃止が発表され、2006年10月1日(実質9月30日)での廃止が決定。
 これは明らかに、路線需要を見誤った行政の責任問題。他の鉄道廃止問題とは、やや意味合いが異なる。国土交通省は、建設支出補助金89億円のうち、減価償却分を除く36~38億円の返還を愛知県に求めるとか。当然でしょうね。

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和歌山電鐵 貴志川線 (和歌山県/和歌山-貴志)

 元・南海電鉄貴志川線。
 2003年に南海電鉄が同線の廃止検討を表明後、地元自治体を中心に存続運動を広がり、鉄道用地を買い取った上で運行事業者を公募。岡山電気軌道が100%出資する子会社:和歌山電鐵が誕生し、2006年4月から新たに和歌山電鉄 貴志川線として運行を開始。南海電鉄からは、貴志川線専用車両・2270系車両12両全車が無償で譲渡された。
 こうした例は全国でも初だけに、今後が注目されるところ。見方を変えれば、単純な第3セクターによる鉄道事業では、運営の限界が明らかになりつつあるとも。

三木鉄道 (兵庫県/厄神-三木)

 旧国鉄三木線から、1985年に第3セクター化。
 鉄道存続問題から注目された今年1月の三木市長選で、鉄道廃止を公約に掲げた薮本吉秀氏が当選。同市長が社長に就任した三木鉄道は、2006年度中に廃止方針を決定すると表明。
 こちらは、もはや風前の灯火か。
 三木市と神戸方面を直結する神戸電鉄栗生線ですら、存続問題に揺れている現状では…。

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