津軽鉄道・芦野公園駅を訪れた人は、その側線に、屋根側面に明かり採りと通風口を備えた旧型(旧々型)客車が留置されていることに気づくかもしれません。
これはオハ31 1という客車で、元は1927年に製造された国鉄オハ31 26号。1961年に津軽鉄道が国鉄から譲受したもので、国鉄時代は北海道・旭川地区でストーブ列車に使用されていたとか。津軽鉄道に移ってからも1983年までストーブ列車として活躍し、その後は長年の間、芦野公園駅に留置(放置)されていたわけで。
訪れたことのある人ならわかるでしょうが、外部の腐食はかなり激しく、状態はお世辞にも良いとは言えなかったですね。自分が初めて同駅を訪れた1992年当時ですら、「これは捨ててあるのか?」と思いましたから(苦笑)。
さすがにマズい状況だったのか、その後はブルーシートが掛けられるようになりました。
【← 1992年2月撮影】
廃棄同然の状態だったこのオハ31ですが、実は現存する唯一の半鋼製17メートル級客車で、資料価値は相当に高いもの。そのため、鉄道博物館への譲渡・整備保存が決定したそうです。2004年から進められていた譲渡計画が、ようやく動き出したということですね。
鉄道博物館は現在の秋葉原にある施設を5月14日で閉館し、2007年10月から埼玉県さいたま市に新たな施設をオープンさせる予定。それに合わせて、今年6月には車両を解体し、さいたま市のJR東日本大宮総合車両センターに輸送した後、整備に取りかかるそうな。
あのオハ31が蘇るとは、感慨もひとしおですねぇ。このまま朽ち果てるとしか思えない状態でしたから…。
完全修復と展示を、心待ちにしたいと思います。
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