3月2日、特急《南風17号》が終着・宿毛駅構内で停車できずに暴走し、駅舎まで大破という大事故が発生した土佐くろしお鉄道。その後は東宿毛で全列車折り返し運転となっていたものが、10月31日までに宿毛駅の復旧工事が完了、11月1日から運休していた宿毛−東宿毛間の運転も再開した。
運転再開を前に、宿毛駅手前にはATSが3カ所増設されるとともに、数年後までには全線にもATSを設置する方針だとか。
しかし、事故による損失は1億4000〜5000万円とも言われ、もともと経営状態が良好だったとは言えない同鉄道だけに…。1998年6月11日にも中村駅構内で追突事故を起こすなど、安全面への投資まで手が回らない内情も否定できないわけで。全国各地で第3セクターの廃止が相次ぎ始めている今、先行き明るいとは言えないでしょうね。
同鉄道は、国鉄がJR化される際の赤字路線廃止→第3セクター化の流れを受け、国鉄土讃本線の先端部、旧・中村線を引き継ぐ形で開業。さらに、鉄建公団(日本鉄道建設公団)が路盤まで完成させたものの、旧国鉄の赤字線存続問題から放置状態となっていた中村−宿毛間を延長開業、さらには県東部の安佐線開業と、路線を拡大し続けてきた。
が、もともと経営基盤が脆弱なところにもってきて、今回の事故。地元でも廃止の噂が絶えないとか…。再建に向け、事故後の6月29日に就任した新社長、池田義彦氏(近畿日本鉄道元名古屋営業局次長、近鉄子会社・メディアート元社長)の手腕が問われるところ。
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