5月24日付で、温泉法の改正が施行。
まぁ、事の発端は昨年の白骨温泉での入浴剤添加問題だったわけで、その後も伊香保温泉、水上温泉などで“不正”な表記が発覚するなど、一時は温泉不信が全国的な問題になったりも。
今回の法改正により、基本的には
- 加水している場合
- 加温している場合
- 循環、ろ過している場合
- 入浴剤を使用したり、消毒している場合
は、すべてその旨と理由を明記しなければならないことに。
概ね、利用者にとって納得のいく法改正と言えるのではないでしょうか。入浴剤や真水使用などは論外として、循環・ろ過に関しても、これまで何の表記義務もなかったことがおかしいぐらいですから。
ただ、加水に関しては微妙な問題も出てきそう。源泉そのものの掛け流しが理想なことには間違いないものの、源泉温度が50℃を超えている場合は何らかの形で温度を下げなければならないわけで…。山間部の小さな温泉では、これまでも自然な形で温度を下げて浴槽に流す仕組みを各宿が工夫していたりしますが、大きな温泉地の場合は大半が加水ですからね。ここで“加水はいけない”とか“加水しているものは温泉じゃない”などという風評が立つと、それはそれで問題になるでしょうし。今回の法改正を機に、加水から自然な形で温度を下げるシステムへと転換する温泉も出てきているようで、まだしばらくは波紋が続くかも。
また、真水使用が報道された水上温泉の水上観光ホテルには、今回も報道陣が(苦笑)。その報道によると、
- 源泉使用料の滞納で源泉が使えなくなり、真水を使用していた。
- 現在は100%の源泉使用です。
とのことで、まずは何より。でも、そうした事態の背景には、温泉組合などと各旅館との関係もあるような…。
現在、水上温泉旅館協同組合の公式サイトには、温泉未使用が発覚した水上温泉郷の4軒の宿のうち、水上観光ホテルだけが紹介されていないんですね。あの問題発覚以前は、確かに紹介されていたのに。
まぁ、組合と各事業者との問題は全国各地にあるでしょうし、温泉旅館に限ったことでもないと。ただ、何となく釈然としないものがあるのも確かかも…。
ところで、そもそも温泉とは? 温泉法では、
(定義)
第2条 この法律で「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう。
と、明記されているだけ。基本的には、それで“摂氏25度以上”かつ別表(下記)の成分(量)のうちの“一つでも含めば”、温泉と認められることになるんですね。
うーん、何だかよくわかりませんが、要するに“地中から湧き出す摂氏25度以上のもの=温泉”なんでしょうね。
また、これらはあくまで源泉の基準であって、浴槽に注がれるお湯の基準ではないですからね。今回の法改正での“公共の浴用に供する場合は”とは、その部分に適用されるのでしょうか。
まぁ、あまり細かいことは気にせず、温泉は楽しむものであるのがいちばんなんですけれどね。各地の温泉を巡っていると、温泉分析書はもちろん、保健所が認定する温泉《掲示証》すら浴室付近に掲示していない温泉も多いですし。そうしたところは、せめて《掲示証》ぐらいは掲げて欲しいですね。もっと言えば、現在は掲示義務のない《成分分析表》も、義務化したほうがいいんじゃないかと。多くの優良な温泉のためにも。
*環境省:報道発表資料
平成17年2月24日
温泉法施行規則の一部を改正する省令について概要
「温泉法施行規則の一部を改正する省令」が2月24日(木)に公布されます。(施行日は、5月24日)
これは、「温泉事業者による表示の在り方等について」(諮問)に対する中央環境審議会の答申を受け、温泉の成分等の掲示の項目追加を内容とする改正を行うものです。本文
1. 趣旨
平成16年11月15日に環境大臣が中央環境審議会に諮問した「温泉事業者による表示の在り方等について」について、平成17年2月10日に答申を受け、温泉法施行規則について、所要の改正を行うものである。
2. 改正内容
温泉の成分等の掲示関係(新第6条関係)
温泉法第14条第1項の規定による温泉の成分等の掲示について、従来の掲示項目に加え、温泉成分に影響を与える項目を追加して掲示することを定める。
(1)温泉に水を加えて公共の浴用に供する場合は、その旨及びその理由
(2)温泉を加温して公共の浴用に供する場合は、その旨及びその理由
(3)温泉を循環させて公共の浴用に供する場合は、その旨(ろ過を実施している場合は、その旨を含む。)及びその理由
(4)温泉に入浴剤を加え、又は温泉を消毒して公共の浴用に供する場合は、当該入浴剤の名称又は消毒の方法及びその理由3. 施行期日
平成17年5月24日
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