阪神の残りゲームは7試合。マジック7。
ひとつでも負ければマジックと自力優勝の可能性が消滅し、事実上、中日の優勝に。
勝ち続けなければならないとともに、これが今季甲子園での最終戦。
つまり、今季限りで引退を表明している、矢野の本拠地ラストゲームとなる。
3-1と阪神リードで迎えた9回表、そうした背景が甲子園に異様な空気を漂わせていたのは確かだと思う。
藤川がマウンドに上がると、球場内からは一斉に「矢野」コールが沸き起こった。
ここで捕手が矢野に変わるのか思いきや、城島のまま。2アウトから変えるつもりなのだろうか。
相変わらずの「矢野」コールが起きる中、藤川の状態は明らかにおかしく、2者連続のフォアボール。
誰の目にも、「藤川が藤川でない」姿に見えたはず。
期待されながら芽の出なかった藤川が、中継ぎとして飛躍し、セットアッパー、クローザーへと成長した過程には、絶えず矢野がいた。
厳しい試合が続くマウンドで、矢野が藤川を育ててきたと言っても過言ではないだろう。
だからこそ、すっきり2死を取って最後は矢野との握手で終わりたい。 優勝の可能性を残し、甲子園での最終戦を飾りたい。
そんな藤川の心中は、察するに余りある。意識するなというほうが、無理だ。
結果。本来の火の玉ストレートとは程遠い棒球を村田に投げ、痛恨の逆転3ラン。
この日のために1軍登録された矢野の出場機会はないまま、試合終了。
藤川の、いや、全ての阪神ファンが期待した感動劇場への想いは、無残にも砕け散った。
村田よ。あの瞬間、君は全阪神ファンの嫌われ者になってしまったぞ。
真弓の監督采配には疑問も多いけれど、チームの雰囲気を作り上げ、ここまでやってきたことを考えればそれも良し。
そんな風に思っていたけれど、これは明らかなミス采配。その代償は、余りにも大きい…。
覇気もなく村田の一発が怖いだけの横浜を相手に、9回の頭から捕手を矢野に変えていれば、あっさりと試合は終わったに違いない。 最後の素晴らしいゲームセットの瞬間は、あり得ないだろうと思っていた優勝を、ひょっとしたら近づけるものになったかもしれない。
なのにね。。
それぐらいで腐るほど、城島はちっちゃい奴じゃない。
そんな人間くさい藤川だから、みんな好きなんだ。
なのにね。。。
藤川も辛かっただろう。
何より心苦しかったのは、矢野かもしれない。自分の引退試合でなければ…と。
さらには城島も…。9回裏、先頭打者として打席に入った城島は、どう見ても冷静じゃなかったように思える。
その9回裏、2死走者なしからヒットを放った関本の姿には、涙が出そうになった。
関本は、どんな重圧に耐えながら打席に入ったのだろう。
阪神ファンの自分が、いちばん好きな現役選手は関本。その思いを、いっそう強くしました。。。
でも、矢野の引退セレモニーは素晴らしかったですね。
試合が早く終わり中継時間が残っていたため、NHK BSがセレモニーを最後まで放送。ひょっとして荒れた雰囲気になってしまわないかと心配しながら見ていたけれど、皆、矢野に暖かい声援を送っていて。 球場全体が、何とも言えない優しさに満ちていたように感じます。
まぁいいさ。矢野よ、よく頑張った!
などと満足してしまえるところが、我ながら阪神ファンなのだなぁ。
いや、その甘さこそ、阪神ファンの性なのだろうか。。。(苦笑)
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