東北高が春季県大会への出場を辞退

[Sports] BaseBall

 高野連が特待生制度の実態調査に乗り出そうとした矢先の21日、宮城の東北高校が、春季県大会出場を辞退すると発表しました。
 理由は「諸般の事情」だそうですが、特待生制度で問題が発覚し、事が大きくなる前にと出場辞退を申し出たのは明らか。同校には(野球部に限らず)《スポーツ特待生制度》があり、4ランクに分けての学費減免などが為されているとか。
 夏の大会には、「諸般の事情をクリアして」出場の予定だそうですが。一体、何をどうクリアするのでしょうか。

 ちなみに、高野連が決定した今回の措置とは…。

  • スポーツ特待制度を実施している加盟校に、5月2日までに所属都道府県連盟に実態を申告させること。
  • 各連盟は、制度実施の校名を公表すること。
  • 対外試合禁止処分はとらないが、制度適用選手は5月31日までの対外試合への参加を差し止める。

 先日の日記(2007.04.17 専大北上、野球部解散)で「特に東北各県の高野連はおかしい」といった内容を書きましたが、宮城に関しては、ちょっと事情が別かなとも考えていたんですよね。
 甲子園の常連校である同校や仙台育英に、東北各県から部員が集まっているのは確かでしょう。でも、岩手や山形、福島は隣県。私立校なのだから、一般生徒にも隣県からの通学者はいるはず。関西や関東からの留学生を集めた「外人部隊」という印象は薄いんですよね。甲子園の強豪校としては、むしろ県内出身者が多いほうではないかと。
 専大北上がクローズアップされてしまったことで、東北の強豪校は戦々恐々といったところなのかもしれません。

 でもね。今さら特待生制度に言及して、どーするの? とも。
 そんなの、どこでもやってるじゃん。
 仮に徹底的に排除するというなら、甲子園の常連校や名門・古豪校が、軒並みシャットアウトされてしまうでしょ。
 他の部活はOKなのに、野球だけがダメというのも妙な話。高野連が、学校経営にどこまで口出しをしていいのかという問題も浮上してくるわけで。
 それよりも、地方分けされたエリア(北海道・東北・関東・北信越・東海・近畿・中国・四国・九州)外からの留学生を規制する制度が、先じゃないの? 現在の行きすぎた特待生制度にしても、そこが原点なのだから。

 いっそのこと、プロ野球・外国人枠のように、「ベンチ入り県外出身者は何名まで」などの制限枠を設けたほうがスッキリするかも(苦笑)。
 それなら不公平感もなく、「大会運営上の規則」を定めただけで、学校経営に口を出すことにもならないでしょ。

関連記事
  • 東北高「万全の態勢で夏に臨む」春は辞退  (2007.04.23/日刊スポーツ)
  • 特待生問題、高野連の全加盟校実態調査を承認  (2007.04.24/読売新聞)
    (旧リンク先=http://www.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20070424i112.htm?from=main1)
  • 「どこでもやっている」 強豪校、戸惑いと反発  (2007.04.24/中国新聞)
    (旧リンク先=http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200704240310.html)


追記

 特待生制度を実施していた学校が、次々に公表されてきました。
 甲子園の常連になりつつある新鋭校や、各県内の強豪校が続々と…。「やっぱり」と、予想通りの校名が並びますね。
 4月25日の時点でわかっている学校だけでも…。

  • 憲章抵触として春季大会を辞退
    • 江南義塾盛岡(岩手)、東北(宮城)、日本航空(山梨)、益田東(島根)、香川西(香川)、生光学園(徳島)
  • 該当選手を外して春季大会出場
    • 福井(福井)、済美(愛媛)
  • 春季大会が既に終了、あるいは対応不明
    • 白樺学園(北海道)、酒田南(山形)、国士舘(東京)、日本航空(山梨)、日大明誠(山梨)、東海大翔洋(静岡)、愛知啓成(愛知)、弥富(愛知)、高岡第一(富山)、高岡向陵(富山)、高岡龍谷(富山)、尾山台(石川)、日本航空第二(石川)、鵬学園(石川)、敦賀気比(福井)、北陸(福井)、福知山成美(京都)、平安(京都)、鳥取城北(鳥取)、藤井学園寒川(香川)

 キリがないですし、まだまだ増えるはず。
 中部地区の学校が目立つのは、調査対応が早かっただけの話。いっぽうで、九州が1校もないなんて、あり得ないもの。
 通達だけ出して、実際の調査や対応は各地方・都道府県の高野連任せという、縦割り・お役所体質的な実態が見え隠れして嫌ですねぇ。現場の混乱が、目に見えるようで。
 香川西のように、「野球だけに限定していない運動奨学生制度があり、憲章抵触の可能性を吟味している」としながらも、結局は憲章抵触と自己判断し、出場を辞退した学校も。正直者だけが馬鹿を見るような事態は、裂けて欲しいものです。
 四国大会は香川と徳島の代表を決め直す決定戦を行うそうですが、その四国にしても、「本当にこれだけ?」と言いたくなるわけで。

 高野連は、
 「スポーツ部活動が必須の条件なら憲章違反だが、学力優秀や経済的条件の明確な基準を満たしていれば違反ではない」
としていますが、その「明確な基準」って、何?
 「スポーツ部活動が必須」って、何?
 例えば、野球の特待生が20人いて、そのうち1人が野球部に入部していなければ、OKなの? 野球部への入部を必須条件とするかどうかで、判断基準が分かれていいわけ?
 野球部に限定せず、学業、運動などに優れた全校生徒を対象にした奨学制度やスポーツ奨学金制度まで含めると、それはもう膨大な数になるはず。共同通信が実施した「最近5年間で甲子園に出場した私立校への独自調査」によると、駒大苫小牧(北海道)、光星学院(青森)、横浜(神奈川)、愛工大名電(愛知)、中京大中京(愛知)、東邦(愛知)、大阪桐蔭(大阪)、広陵(広島)、佐賀学園(佐賀)などの校名が挙がり、いずれも「憲章には抵触しない」か、「高野連に判断を委ねる」という立場。先の香川西のケースとどう違うのか、さっぱりわかりません。
 ちなみにPL学園(大阪)は、2005年の高野連による「特待生制度禁止」通達以降、野球部の特待生制度を中止したそう。(現在の1年生から)

 そもそも、憲章抵触の有無を各学校に判断させ、5月2日までの回答を要求する高野連の姿勢がおかしいですよね。
 全学校の奨学金・特待生制度を提出させ、一括して憲章抵触を判断するというなら、ともかく。
 責任だけは各校に押しつけ、体裁を保とうとしているだけでしょ。

関連記事
  • PLなど15校が野球特待 最近5年甲子園出場校調査  (2007.04.25/長崎新聞)
    (旧リンク先=http://www.nagasaki-np.co.jp/f24/CN20070425/ma2007042401000753.shtml)
  • 中部の強豪も憲章抵触 野球特待で高野連が調査開始  (2007.04.25/中日新聞)
    (旧リンク先=http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007042590065640.html)
  • 特待生制度、東北2校が憲章違反…スポーツ必須なら該当  (2007.04.25/読売新聞)
  • 対応に追われる実施校=「野球部独自ではない」と困惑も−特待制度  (2007.04.25/時事通信)
    (旧リンク先=http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2007042501108)
  • 香川西など私立16高校が野球特待制度を適用 (2007.04.25/四国新聞)
  • 高校野球 春季四国大会 香川、徳島で代表戦 (2007.04.26/読売新聞)
    (旧リンク先=http://osaka.yomiuri.co.jp/sp_others/20070426ks01.htm)

 しかし、甲子園大会の主催者でもある毎日や朝日は、この件の報道に消極的ですね(苦笑)。

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