選抜高校野球決勝:愛工大名電9-2神村学園

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 大会前から優勝候補の筆頭だと思っていた名電が、実力通りに勝ち上がった印象。昨春の選抜決勝で済美に敗れ、昨秋の明治神宮大会決勝で柳ヶ浦に敗れているだけに、遂に頂点に立ったか…という感じですね。
 強豪が揃うブロックに入ったこともあり、大会序盤は苦戦続き。チームの調子が上がらず、実力を出せずにいるもどかしさのようなものを感じていたものの、そこを凌いだおかげで、決勝に向けてチーム状態が最高の状態に仕上がっていったようにも。まぁ、ここまで勝ち上がってきた対戦相手からして、神村学園との実力差は明らかだったとは思いますが。。。

 で、今大会は創部2年目で初出場、決勝まで進んだ神村学園や、山形県勢初のベスト4として羽黒がクローズアップされたりしたわけですが、ちょっとねぇ。
 神村学園のベンチ入りメンバーって、鹿児島県内出身の選手は4〜5名で、熊本・福岡が5人、あとは大阪・兵庫でそ。準々決勝で沖縄尚学との九州対決とか言われても、ピンと来ないんですが(苦笑)。
 同じ九州では、昨秋の九州大会、明治神宮大会を制した大分・柳ヶ浦も、県内出身者が4人、福岡が4人、宮崎が1人、あとは兵庫・大阪・京都・奈良…って、どこの代表なんだか。まぁ、いずれもベンチ入りメンバーの半分は九州出身、とは言えるけれど。九州は沖縄も含めて8県あるわけですからねぇ。

 いっぽう、羽黒にいたっては、山形県内出身者は3人。ブラジル留学生が3人。あとは全員、神奈川・千葉。山形県勢初のベスト4と、県内の強化体制が実ったとかなんとか報道されてますが、実態は県外留学チームだもの。
 最近の山形代表枠は酒田南と羽黒が争っているわけですが、酒田南は関西から、羽黒は関東からと、いずれも留学生主体チームですからねぇ。その影響で、かつての古豪、東海大山形や日大山形も各地から選手を集めているようで、その結果が、昨年の東海大山形のベスト8、今年の羽黒のベスト4でそ。山形県高野連って、その実態をどう考えているんでしょう。なりふり構わず“県代表”が結果を出せばいいんですかねぇ。
 また、その羽黒に昨秋の東北大会決勝で敗れた青森山田も、県内出身者は2人だけ。山形が2人、宮城が1人、あとは大阪・奈良。青森と言えば最近は青森山田と光星学院しか甲子園に出てきませんが、どちらもねぇ。かつての古豪、弘前実や弘前工、東奥義塾などは、予選でも早々に敗退してしまうよう。
 って、かつての青森代表は津軽エリアがほとんどだったんですね。出場校が青森や八戸の学校に偏ってきたことには、やはり時代の、都市文化の流れも多分に影響しているのかも。青森山田、光星学院とも、年度によっては県内出身者がチームの中心となっている場合もあるので、県内に改革が起きているのは確か? 山形よりは、まだいい方向に進んでいるように見えますが。

甲子園のスピード出場校(日刊スポーツより)
  • 1年4ヶ月
    • 遊学館(石川/2002夏)
  • 2年
    • 八千代松陰(千葉/1980春)
    • 東筑紫学園(福岡/1993春)
    • 上宮太子(大阪/2000春)
    • 遊学館(石川/2003春)
    • 済美(愛媛/2004春)
    • 神村学園(鹿児島/2005春)

 留学生を集める→手っ取り早く甲子園出場=スピード出場で話題に。そんな構図が見えてきた今、創部何年で出場なんて記録、あんま意味ないじゃん。

 一時期、全国的に流行った県外留学生を集めて甲子園へという動きは、いったんは廃れたものの…東北や九州では近年、その傾向が強くなっているようにも。東北では、岩手の盛岡大附もそうですよね。宮城、福島、秋田は違いますが。もちろん、そんなことを言い始めたら、高知・明徳義塾なんかその最たるものですが。
 結果の出ない地域で、留学生主体のチームが全体を引っ張るように強化体制を取っていく…なら、それはそれで一つの考え方だと思うけれど、結果だけを欲するのはどうなんですかねぇ。特に高知、山形、岩手、青森の4県は、近年、そうした代表チーム以外は甲子園に出られなくなってますから。

 まぁ、優勝旗が白河の関を越えないことが、そうした傾向に拍車をかけてきたのかもしれないけれど。その優勝旗も、一気に津軽海峡を越えちゃいましたからね(^^;; 昨夏の駒大苫小牧の優勝も、留学生チームならあそこまで盛り上がらなかったでしょう。

東北・北海道代表のベスト4(日刊スポーツより)

【春・選抜】

  • 1956年:準決勝/八戸(青森)=●1-3岐阜商
  • 1960年:準決勝/北海(北海道)=●0-2高松商  秋田商(秋田)=●0-2米子東
  • 1963年:準決勝/北海(北海道)=○8-7早実→決勝=●0-10下関商
  • 1972年:準決勝/東北(宮城)=●2-3日大桜丘
  • 1984年:準決勝/大船渡(岩手)=●1-2岩倉
  • 1993年:準決勝/駒大岩見沢(北海道)=●4-11上宮
  • 2001年:準決勝/仙台育英(宮城)=○7-1宜野座→決勝=●6-7常総学院
  • 2005年:準決勝/羽黒(山形)=●0-4神村学園

【夏・選手権】

  • 1915年:準決勝/秋田中(秋田)=○3-1早実→決勝=●1-2京都二中
  • 1917年:準決勝/盛岡中(岩手)=●0-1関西学院中
  • 1919年:準決勝/盛岡中(岩手)=●0-8神戸一中
  • 1928年:準決勝/北海中(北海道)=●0-6平安中
  • 1934年:準決勝/秋田中(秋田)=●0-9呉港中
  • 1947年:準決勝/仙台二中(宮城)=●2-6岐阜商
  • 1959年:準決勝/東北(宮城)=●1-2宇都宮工
  • 1965年:準決勝/秋田(秋田)=●3-4三池工
  • 1969年:準決勝/三沢(青森)=○3-2玉島商→決勝=△0-0松山商→●2-4松山商
  • 1971年:準決勝/磐城(福島)=○4-0郡山→決勝=●0-1桐蔭学園
  • 1984年:準決勝/金足農(秋田)=●2-3PL学園
  • 1989年:準決勝/秋田経法大付(秋田)=●3-4帝京  仙台育英(宮城)=○3-2尽誠学園→決勝=●0-2帝京
  • 2000年:準決勝/光星学院(青森)=●5-7智弁和歌山
  • 2003年:準決勝/東北(宮城)=○6-1江の川→決勝=●2-4常総学院
  • 2004年:準決勝/駒大苫小牧(北海道)=○10-3東海大甲府→決勝=○13-10済美

 と、これだけベスト4に残っているのだから、世間一般に言われがちな「東北・北海道は弱い」という見方は、必ずしも正しいとは言えないのでは? 全体の勝率の低さ(強いチームと弱いチームの落差が激しい)からレベルが低いように見られるものの、過去、ベスト4に残れなくとも好チームは数多くあったので。
 しかし、70年代以降、上記各チームを破っているのは大半が関東勢なんですねぇ。決勝では全てだし。これはちょっと意外だったかも。東日本が強い年だったということなのかなぁ。

 もっとも、そうして各地方を非難ばかりするのも誤り。甲子園出場枠にこれだけ地域格差ができてしまっているのだから、高野連は大会のあり方を見直すべきじゃないですかね。少なくとも、夏の大会の神奈川・大阪・兵庫・愛知・福岡は、代表枠を2にしないことには、格差があり過ぎるもの。組み合わせ方法や大会運営期間が優先されてきた結果、野球留学の土壌を生み出してしまったのだから。
 まぁ、春の選抜に関しては、例えば東京1枠だったものを関東(東京)で*枠にしたりと、少しずつでも改善していこうとする姿勢が見えますけどね。

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