青森・函館フリーきっぷに代わる、北東北・函館フリー乗車券

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 JR東日本より、東北新幹線・新青森開業に伴うフリーキップ類の見直しが発表されました。
 東京在住の自分が気になっていたのは、12月3日をもっての廃止がアナウンスされていた青森・函館フリーきっぷの代替商品。東京と青森・弘前を往復する機会が多く、同エリアへのフリーきっぷは何かと便利だったもので。
 もっとも、エリア拡大で北海道に渡らなければお得感も漂わなくなった同フリーきっぷだけに、利用頻度はさほど高くはなかったですが…。

 で、新たに発表されたのが、北東北・函館フリー乗車券
 時を同じくして廃止される秋田・大館フリーきっぷのフリー乗降エリアも呑み込むカタチで、青森・函館フリーきっぷとミックスさせたようなキップですね。JRフリー乗降区間は盛岡-八戸、盛岡-宮古、八戸-久慈が拡張され、三陸鉄道、IGRいわて銀河鉄道、青い森鉄道、秋田内陸縦貫鉄道にまで乗れてしまう、超拡大版フリーきっぷへと変身したのです。
 いや~、素晴らしいじゃないか。しかし、これだけエリアを拡大したなら、料金は?
 東京都区内から、18,000円。んー!?
 これまでの青森・函館フリーきっぷが29,100円、秋田・大館フリーきっぷが28,100円。なんだそれ?
 よくよく見ると、乗車券のみのフリーきっぷに変更されていたんですね。これまでの青森・函館フリーきっぷは、往復に東北新幹線(指定席)か寝台特急『あけぼの』(B寝台)を利用可能でした。が、今回の北東北・函館フリー乗車券に含まれるのは、往復の乗車券運賃のみ。

 「新幹線に乗りたいなら特急料金を払え」

 は、ともかく。

 「寝台特急に乗るなら特急券と寝台券を別に買え。そこまでして『あけぼの』に乗りたいか?」

 とも言われているような気が…。見方によっては、いつ『あけぼの』を廃止してもいいような改訂じゃないかと。
 いよいよもって、寝台特急は風前の灯火なのか…。などとも思いを巡らしてしまいます。

 さて、単純に東京-青森の往復で考えるなら。。。

  • 青森・函館フリーきっぷ/29,100円
  • 北東北・函館フリー乗車券/18,000円+特急料金13,000円=31,000円 *東京-新青森間の特急料金は片道6,500円
  • 通常運賃+特急料金/32,740円(片道16,370円)
  • えきねっとトクだ値/平日29,460円(片道14,730円)、土休日26,180円(片道13,090円)

 と、フリーきっぷ同士の比較では1,900円もの値上げ。
 同じく新発売されるえきねっとトクだ値が安いのだからいいだろうという、飴と鞭でしょうか。こちらは席数限定で、期間によって価格変動ありの商品ですからね。どこまで使い物になるのか、現状では何とも…。

 でも、フリー乗降エリアが拡大されたのだからいいじゃない?
 と、ここで問題なのは、フリーエリア内でも「乗車券のみ有効」なこと。特急に乗れば、その都度、特急料金を支払わなければならない。
 これだけの広いエリアを有効利用するためには、嫌でも特急を利用することになるでしょう。
 例えば田沢湖エリアを周遊コースに含めるなら、新幹線以外の直通列車がほとんど存在しない田沢湖線で、秋田新幹線を利用せざるを得なくなります。北海道へ足を伸ばそうにも、津軽海峡線の蟹田-木古内間は特急しか走っていません。別途、特急料金を支払わなければ、道内のフリーエリアへ入ることすらできない罠。
 さらに言えば、きっぷの有効期間が7日間から5日間に縮小されているのも難点。エリアを拡大しておきながら有効期間が短縮とは、矛盾してないですか? フリー乗降エリア有効利用するためには、新幹線や特急に乗るしかない。これまた、利用者を追加料金に導く魔法です(苦笑)。
 机上の計算でも容易に想像できますが、実際にこのきっぷで旅をしてみれば、従来のフリーきっぷよりかなりの支出増になるはず。一般的な利用で考えるなら、実質、大幅値上げと言えるのではないでしょうか。

 このきっぷを有効に活用する方法は、フリー乗降エリアに加えられた、第3セクター路線を乗りまくること。
 第3セクター路線の運賃はJRより割高なだけに、使い方によってはかなりお得になるはずです。
 でも、それって、経営不振に喘ぐ第3セクター各社へのいじめですよ。
 フリー乗車券の相乗効果で、遠方からの観光利用者は増えるかもしれません。でも、それが即、増収につながるといえば…。正直、疑問です。発売元のJRから一定額はバックされるでしょうが、実際にはタダ乗りされまくるだけに終わる懸念も…。
 JR東日本に性善説を唱える気などさらさらないですが、今回のリニューアルは、ちょっとひどくないですか?

関連リンク

 *追記

 その後、北東北・函館フリー乗車券も廃止されました。
 JR東日本は、このテの「フリーきっぷ」や「フリー乗車券」といった、お得なキップ類を全廃したい方針なんでしょうね。増収に直結しないモノは無駄だという考え方が、徹底してきた印象も強く。
 旅の情緒? そんなものは、企画乗車券化してやるから金で買いなさいと。
 旅の工夫? そんなものは不要。工夫させる手段など、全て排除することが正しい方向性。
 利用者にモノを考えさせないことが、増収の秘訣ですものね。

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