広島県呉市の阿賀港と、愛媛県松山市の堀江港とを結ぶ呉・松山フェリーが、6月30日をもって廃止に。。。
堀江港と言えば、かつての国鉄・仁堀連絡船(広島県呉市仁方港と堀江港を結んだ航路)を思い出す人は…多くないですかね。
国鉄連絡船と言っても宇高連絡船や青函連絡船のように鉄道車両を運ぶ航路ではなく、あくまで人とクルマを運ぶカーフェリー。いちおう呉線・仁方駅と予讃本線・堀江駅とを結ぶ“鉄道連絡航路”ではあったものの、その存在はかなりマイナーなものでした。当時の日本一周最長一筆書きキップには、欠かせない存在でしたが。1982年7月に同航路が廃止されると、最長一筆書きキップでは四国に渡れなくなったわけで。
ちなみに、仁方港からは上蒲刈島・豊島・大崎下島を経由して今治港とを結ぶ、高速船:せと観光ボートも発着していました。が、2008年11月をもって発着が川尻港に変更され、仁方港を利用する航路は消滅してしまいました。
そして、仁方港と近い阿賀港から発着していた民間航路:呉・松山フェリーも廃止に。“高速1000円”政策で4月の利用台数が半減したことも、航路廃止の引き金になったとか。
四国と中国地方のツーリング時には利用したいと考えていただけに、廃止されてしまったのは残念。メジャーな呉-松山航路より、よりマイナーな航路を選びたい性格なので。。。
また、これにより阿賀港、堀江港とも定期航路がなくなってしまうことに。地元への影響も少なくないでしょうね。阿賀港ターミナルは呉市が5億円をかけて施設整備をしたばかりだそうですが、なんとももったいない…。
こうして比較してみると、旅客利用向けの阿賀-堀江航路に対し、車両搬送を重視する呉-松山航路という両航路の性格も見えてきますね。つまり、弱者向けの生活航路からなくなっていくと。。
2006年にしまなみ海道が開通したことも大きく影響しているのでしょうが、やはり大打撃は“高速1,000円”。暫定2年間の期間中には、おそらく自分も利用機会があるでしょう。
でも、世界的にCO2削減が問題となっている中、結局は高速道路を作り続け、高速料金を割引して自動車の走行距離を増やし、一方で公共交通機関を窮地に追いやる。この場当たり人気取り政策には、疑問を感じずにはいられないわけで。燃費の極悪なクルマに乗っていて何を言う…というツッコミはさておき(苦笑)。
そもそも“高速1,000円”の財源とは。各高速道路会社が善意で値下げしてくれているわけじゃなく、割引された分は税金で補完するだけの話。高速道路会社の懐が痛むわけでもない。足りなくなった財源は、増税で国民負担。「高速1,000円? めでたい」とホイホイ利用している人たちは、その現実をどう直視するのだろう。たぶん、何も考えてないよね。
割引で高速道路を利用しなかった人も、少ししか利用しなかった人も、利用しまくった人と同じだけの財源を負担することになる。だったら使いまくったほうがお得だとも考えられるけれど、やっぱりおかしい。
てな話はさておき。
近年のフェリー航路廃止が相次ぐ情勢には、目を覆いたくなるものがあります。
島国ニッポンの生活航路について、見つめ直さなければならないと思うのは自分だけ?
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