昨年9月の台風14号による被害で運行休止が続いていた宮崎県の高千穂鉄道が、列車の運転が再開されないまま、2006年1月31日をもって静かに廃止…されてから数ヶ月。
以前から噂されていた、台風被害を免れた(あるいは軽被害だった)区間でのトロッコ列車運行が、いよいよ具現化し始めたようです。
この日、神話高千穂鉄道トロッコ準備室が創立総会を開催。法務省の認可を待って正式な発足となるそう。当初は高千穂−日之影温泉間を予定していた運転区間も、高千穂−綱の瀬橋梁(槇峰)までの21.5kmまで延長し、4月15日の運転再開を目指すとか。
準備室の設立は2006年1月6日で、高千穂町観光協会、高千穂町商工会、高千穂町旅館業組合、高千穂地区建設業組合、JA高千穂地区農業協同組合、西臼杵森林組合の7団体からなるもの。その計画方針は…
*公式サイト、2006.01.06発表より
- 鉄道を運行する会社を4月1日設立。4月15日に運行再開を目指す。
- 当初は比較的被害の少ない高千穂−日之影温泉駅間12.5キロメートルを運行予定。その後槙峰までを運行し、将来的には延岡までの全面復旧をめざす。
- トロッコ列車をメーンとした観光鉄道を主力に営業をする。
- 復旧費用は、新会社ですべて負担する。
- 住民の生活路線として、朝夕の最低1便は普通列車を走らせる。
- 株式会社の出資金は、下限を5千万円とし、町内から集める。
- 1株は2万円で個人の上限は10口、法人は100口とする。
- 資本金の70%を法人が、30%を個人が保有するものとする。
- 出資金が5千万円に満たない場合は2千万円を上限に高千穂町観光協会が出資する。
- 町外にも広く支援を呼び掛け集まった資金は経営安定のため基金として保持する予定。
- 今月末で解雇される社員は最低限必要な人員を再雇用する方針。
何より、「将来的には延岡までの全面復旧をめざす」の言葉が力強く感じられ、地元の熱意が伝わってくるよう。もちろん、住民や関係者間で温度差はかなりあるのでしょうが、まずは応援したいですね。ただ、現地の状況をこの目で見たことがないもので、何とも言えないというのが正直なところでもありますが。。。
*追記
高千穂−槙峰駅間の橋梁6カ所に関して、腐食防止のため2009年までに再塗装する必要があり、その費用に6億6100万円かかるとか。そのため、当初は高千穂町内限定だった出資者を全国から募り、支援金を含め、10億円の資金を目標にするそう。
準備室自体がまだ準備段階にあるようで、支援金の募集などその具体的な実施面に不備が感じられるものの、確実に動き始めていることは確かですね。4月に入り、九州運輸局や国土交通省への事情説明なども行なわれています。
ただ、あくまで鉄道事業になるわけですから、安全面や管理運営面など、認可のハードルは高いはず。ましてや、(言葉は悪いですが)旧国鉄が放棄し、第3セクターとして発足した後に地元自治体が見放した路線を、民間で再生しようという前代未聞の試みですから…。いくら何でも無理だろう…と思っていた4月15日の運転再開も無期限延期といった状況のようですし。
とは言え、こうした関係者の努力、熱意が無駄にならないためにも、一刻も早い運転再開を願うばかり。同時に、熱意は時とともに沈静化してしまう危惧も感じるわけで、何かしら、形になって応援できるシステム作りをお願いしたいところですね。
*追記2
その後は紆余曲折を経て、高千穂あまてらす鉄道として新たにスタートしました。
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