しかし、毎日新聞はなぜこのタイミングでケチをつけるのだろう。
来年3月に直通運転を開始する山陽・九州新幹線の、最速列車『みずほ』(予定)について。
記事の趣旨は、
「公募で決まった列車名『さくら』より速い列車が『みずほ』では、列車名の格としておかしい」
というもの。
9月にもニュースネタになった、鹿児島県知事の「熊本止まりだった寝台特急の名前を付けるな」発言をまたもや引き合いに出してきて。この発言自体はバカバカしくて相手にできないレベルだけれども、毎日がここまで『みずほ』を叩く理由がわからない。川島令三のコメントまで引用し、『みずほ』<『さくら』という格付けを一般化させるべく躍起になっているようにも見える。JR九州との間に、何か因縁でもあるのだろうか。
確かに、『さくら』と『みずほ』でどっちが上? と聞かれたなら、フツーの鉄系な人は『さくら』と答えるはず。
でも、話の本筋はそんなことじゃなく、なぜ列車名を3本立てにする必要がある? ではないのかな。
*山陽・九州新幹線の列車名 (予定)
- 『みずほ』 新大阪-鹿児島中央間を最速3時間47分で結ぶ。朝夕の8往復のみ運行予定。
- 『さくら』 同区間を4時間で結ぶ、通常の停車駅の列車。全日、1時間ヘッドで運行予定。名称は公募で選ばれた。
- 『つばめ』 現在の列車名を継承。九州新幹線区間だけを運行する。
この3列車に加え、山陽新幹線区間には『のぞみ』、『ひかり』、『こだま』もあるのだから、同区間では5つの名称の新幹線が走ることになる。
さらに博多駅の発着では、上下方向に6つの列車名が混在し…。
現状で『ひかり』の定期列車は広島より東のみですが、臨時列車等での運行はあるかもしれないですからね。
そんなにわかりにくくして、どうする?
山形新幹線、秋田新幹線が乗り入れる東北新幹線とは、事情が違う。同じ一本の路線にこれほど多くの列車名が存在したら、利用者の混乱を招くだけなのでは?
山陽新幹線から九州新幹線に乗り入れる列車は『さくら』。九州新幹線内だけを走る各駅停車は『つばめ』。それでいいんじゃないの? だから『みずほ』は不要だというなら、話もわかる。でも、列車名の格付けがどうのこうのなんて、それこそ一般的な論旨じゃない。
格付けでいうなら、『さくら』より上級のイメージで思い浮かぶものは『はと』しかない。『つばめ』に『さくら』に『はと』? 日本の鉄道の歴史をリードしてきた由緒正しき名門列車の名称を、全て九州新幹線に注ぎ込んでどうする。
列車名称に違和感があるというなら、鹿児島本線の特急を『つばめ』と命名した際のほうがよっぽど違和感を感じましたよ。「なんで九州の特急が『つばめ』なの?」と。
これはあくまで邪推ですが、JR九州としては最速列車=『みずほ』を暫定的な運用にしたいのではないかと。泥沼化しそうな九州新幹線区間の停車駅問題を先送りにし、開業祝賀ムードも落ち着き、各駅の利用者数の統計が出揃ったところで…
「これからは『さくら』の停車駅を減らしてスピードアップするよ。なので『みずほ』はやめる」
なんてね。
ヘタに立派な列車名にしてしまうと、やめるにやめられなくなる。『みずほ』ぐらいならちょうどいいんじゃない?
とかね。
東北新幹線に目を転じれば、何のために公募したのかと思う『はやて』も短命で、今や風前の灯火。『はやて』をやめて『はやぶさ』に変えますって、そんな安直なやり方でいいのだろうか。新函館まで開業したら、また名称を変えるわけ?
『はやぶさ』こそ、九州方面の列車名に使用するべきなのでは。というか、そもそも過去に使用例のない『はやて』などではなく、東北本線特急の歴史でもある『はつかり』にしておけば良かったんじゃないの?
日本の鉄道の歴史を築いてきた伝統列車、特急ネットワークの名称を安易に使い回さないで欲しい。
多くの鉄道ファンがもっとも思うところは、そこでしょ。
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