北海道:夕張市の財政破綻問題が、大きく報道されています。
かつて夕張を訪れた際も、今や財政破綻の象徴としてクローズアップされている、各観光施設の立派さに驚かされましたからね。山の中に忽然と現れる遊園地(石炭の歴史村)などなど…。「夕張は観光客の誘致に熱心なんだなぁ」と、のほほんと思ったものです。
同時に、そうした最新施設と、街の寂れ方とがあまりに対照的で、かなりの違和感を覚えたりも。商店街と呼ぶには気が引けるほど人通りがなく、ゴーストタウンを思わせるような街の中心部では、写真(カメラ)店が見つからずに困りました。デジカメを忘れた旅だったので、行く先々で使い捨てカメラを買っていたんですよね。
この夕張でも同様に…。と思ったものの、肝心の写真店がどこにもない。写真店どころか、使い捨てカメラを売っていそうな店が一軒もない。ようやく見つけたカメラ屋も、売られているのは数種類のフィルムと使い捨てカメラだけ。店内の大半は空き棚で、ほとんど開店休業状態でした。あのお店は、まだ営業しているのでしょうか…。
見つからなかったのは写真店だけではなく、そもそも店がない。大半の店がシャッターを閉じている光景は、「シャッター街」などというレベルではなく、まさしくゴーストタウン。台風で、街じゅうが避難したかのような錯覚すら抱かされました。(当日は雨模様だったので)
クルマで数分走ったJR夕張駅前(マウントレースイスキー場/夕張温泉ホテルマウトレースイ前)のコンビニまで行かなければ、生活必需品すらロクに買えないという状況に驚かされたものです。
今になって思えば、あの違和感こそ、夕張の「現在」だったのですね。
当時の旅でも、起点になったのはJR夕張駅。件のコンビニとホテル以外は何もない駅周辺に驚きつつ、仕方なくタクシーで石炭の歴史村へ。ほぼ無人の園内を彷徨った後、隣接するサイクリングターミナル:黄色いリボンで自転車を借り、雨の中を走り出しました。現・JR夕張駅までは旧・国鉄夕張線跡に作られたサイクリングロードを辿り、さらに国道を走って幸福の黄色いハンカチ想い出ひろばへ。他の観光客を見かけた、唯一の場所が同ひろばでした。
ちなみに、石炭の歴史村の駐車場は、旧・国鉄夕張駅の貨物ヤード跡地だそうですね。あの広大な敷地が、夕張線が短縮され、夕張駅が町外れに移転したことで生まれた遊休地だったとは…。
今回の財政破綻による観光施設の行く末が注目される中、11月29日をもって、石炭の歴史村が自己破産を申告。負債総額は約75億円で、夕張市からの借り入れ金(約27億円)は、市の再建計画に盛り込まれた返済額、約360億円に含まれるという。この再建計画では来年度以降、第三セクターの赤字を一般会計から補てんしない方針なので、施設維持は無理との判断が為されたわけですね。
ただ、あの遊園地やら何やらはともかく、園内の石炭博物館は、歴史上の価値からも残して欲しいところ。よくできた施設だと思いますし。遊園地など、意味があるとは思えない各種施設を乱立させるぐらいなら、同博物館をもっと充実させたほうが良かったのに…。とは、訪れた際にも感じたことです。
鉄道好きな立場から言わせてもらうなら、同じく園内のSL館も、ぜひ残して欲しい施設。訪問時は生憎の休館で、見学できなかったことが残念でなりません。
もちろん、幸福の黄色いハンカチ想い出ひろばも、絶対に残して欲しい施設の一つです。
これらの観光関連施設に関しては、売却あるいは委託を前提に、夕張市が指定管理者の募集を行なっているとのこと。希望団体がない場合は、そのまま閉鎖、解体に?
幸福の黄色いハンカチ想い出ひろばは大丈夫でしょうが、石炭博物館やSL館の行く末は不安でなりません。石炭の歴史村全体が存続することはあり得ないので、園内に点在する施設だけを残すのは難しいとも…。
さらに、上記2施設が閉鎖されてしまった場合、資料展示など協力体制にあった三菱大夕張鉄道保存会への影響も気になります。何とか頑張っていただきたいものですが、こうした取り組みにこそ、本来は地元自治体が協力すべきですよね。にも関わらず、余計な箱モノ行政へと走ってばかりいた結果が…。
石炭の歴史村の博物館施設(石炭博物館・SL館・生活館・鹿ノ谷倶楽部)に関しては、存続運動のサイト(http://www33.ocn.ne.jp/~noritax_world/shomei0610/shomei0610.html)も立ち上がっています。用紙(pdfファイル)へのプリント・署名・郵送で署名活動に参加できるので、微力ながら協力できればと、リンクを貼っておきます。
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