北海道幌延町の風力発電所が運転停止って…!?

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北海道幌延町の風力発電施設が、オジロワシなど絶滅危惧種のバードストライク多発により、日中の運転を停止しているそうな。
全国ニュースでは上記のような“ひとこと”報道しかされず、ひょっとしてオトンルイ風力発電所のことか!? と思いきや、どうやら違うようで。
ちょっと気になるニュースだったので、覚え書き的に。

オトンルイ発電所といえば、海辺の草原地帯を貫く通称:オロロンライン(道道106号)沿いに、風力発電用の巨大風車が連なる北海道らしい感動スポット。そこを走るために北海道へ渡るライダーも多い、猿払村道エサヌカ線(日本海側オロロンラインとは反対のオホーツク海側)と並ぶ北海道ツーリングの聖地なわけで。

そのオトンルイ発電所から同じ道道106号を北へと進み、これも有名な北緯45度モニュメントを過ぎたあたりから見え始めるのが、問題となっている浜里ウインドファーム。

絶滅危惧種のバードストライクが多発 風力発電停止の異例事態に
(2025年4月1日:毎日新聞)

北海道北部、幌延町の風力発電施設「浜里ウインドファーム」で、オジロワシなど絶滅危惧種のバードストライクが多発している。今年3月だけでも5件と、発生数は「全国的にも例がない」(環境省)という異常事態に。運営企業は3月下旬から日中の運転を全基停止させ、改善に向け調査に乗り出した。
運営元の「ユーラスエナジーホールディングス」(東京)によると、同施設は全14基、総出力4万7500キロワットで、2023年5月に運転を開始。国の天然記念物に指定されているオジロワシやオオワシなど絶滅危惧種の衝突事故を防ぐため、発電機に目玉模様のペイントを施したり、接近する鳥類に忌避音を発するカメラ付きスピーカーシステムを導入したりしてきた。
だが、約2年間で希少種のバードストライクは計11件発生。今年3月に入ってからペースが急増した。
環境省北海道地方環境事務所によると、ユーラス社は生物保全のため3月25日から海ワシ類が活動しやすい日中の風力発電を取りやめた。建設に伴って同省が審査したユーラス社の環境アセスメントでは、海ワシ類の飛翔(ひしょう)状況も調査されていたが、現状と差異が生じている状況を踏まえ、検証が必要という。
多発している原因について、同省は、周辺エリアが秋・春に北方と行き来する渡り鳥の通り道になっている▽道北は他地域に比べて風力発電が多い▽国立公園に囲まれた浜里ウインドファーム付近に営巣地があり、生息の可能性が高い――と指摘する。
ユーラス社の担当者は「責任を真摯(しんし)に受け止め、専門家と再発防止のための調査に取り組む」と述べ、運転再開時期を未定としている。

運営元:ユーラスエナジーホールディングスのプレスリリースによると、2023年5月~2025年3月間に11件のバードストライク(うち10件がオジロワシ、1件がオオワシ)が発生。うち5件が、2025年3月初旬~中旬に集中しているのだとか。

「浜里ウインドファーム」における海ワシ類のバードストライク発生防止に向けた取り組みについて
2025.03.31
株式会社ユーラスエナジーホールディングス(本社:東京都港区、代表取締役社長:諏訪部 哲也、以下「当社」)は、グループ会社である合同会社道北風力(本社:北海道稚内市)が運営する「浜里ウインドファーム(北海道天塩郡幌延町)」(以下「当該発電所」)において、海ワシ類のバードストライク発生防止に向けた対策に取り組んでいることをお知らせします。

当該発電所では、2023年5月の営業運転開始直後に海ワシ類のバードストライクが発生したことから、鳥類の専門家とも協議し、さまざまな対策を講じてまいりました。海ワシ類からの視認性を向上させる環境保全措置として、2023年9月にタワー側面およびナセル上部に目玉模様の施工を実施。しかし、その後も海ワシ類のバードストライクが複数発生したことから、2024年12月より、新たな防止策として、欧州で実績のあるバードストライク対策システム(以下「本システム」)を国内で初めて導入しました。

本システムは、風車のタワー10mの高さに、360°カメラおよびスピーカーをタワー側面の四方に設置し、カメラで遠方から風車に接近する鳥類を検知し、危険域に侵入した際にスピーカーから忌避音を発生させ、鳥類の進路変更を促すものです。
当該発電所の全14基に本システムを設置し、2024年12月から試験運用を開始していましたが、その後もバードストライクが複数発生している状況を踏まえ、海ワシ類の保護を最優先に考え、鳥類の専門家のご意見も参考に、2025年3月25日より海ワシ類が活動する日の出1時間前から日没までの間、当該発電所の風力発電機全14基の運転を停止することとしました。現在は、鳥類種や飛翔範囲に対して本システムの有効性を高められるように、音量の調整やカメラの検知率の向上など忌避効果の性能改善に取り組んでいます。

当社は今後、本システムの調整・改善を行うとともに、鳥類の専門家と連携しバードストライクの原因調査や環境影響評価の内容の振り返り・検証等を行い、自然と風力発電の共生を目指し、バードストライク発生防止に向けて取り組んでまいります。

【バードストライク対策システムの概要】
①360°カメラにより、風車の半径1km圏内に接近した鳥類を検知
②半径1km圏内で鳥類の滞空が続いた際には鳥類種を識別
③半径300m圏内に鳥類が接近した際には、スピーカーより特殊な忌避音を発生させ、鳥類に進路変更を促すことでバードストライクを防止する

【浜里ウインドファームでのバードストライク確認状況】
No. 発見年月日 種別
1 2023年5月9日 オジロワシ
2 2023年6月5日 オオワシ
3 2024年3月4日 オジロワシ
4 2024年5月8日 オジロワシ
5 2024年12月25日 オジロワシ
6 2025年1月21日 オジロワシ(負傷)
7 2025年3月3日 オジロワシ
8 2025年3月4日 オジロワシ
9 2025年3月7日 オジロワシ
10 2025年3月16日 オジロワシ
11 2025年3月17日 オジロワシ

オトンルイでもバードストライクは発生していると聞きますが、これほどの頻度ではないため、問題化していないんでしょうね。
ツーリングライダー目線でいえば、1km以上に渡り風車が建ち並ぶ壮観なオトンルイと比べ、数百メートルほどの浜里ウインドファームはどうしても地味に感じてしまうわけで。風車と道道の間に少し距離があり、オトンルイのような「風車の下を走る」感覚をあまり味わえないことも、(観光スポット的には)マイナーな要因かと。Googleマップにも、未記載ですし。
それでも十分に「風車群の近くを快走できる」「北海道らしい大地に風車群が映える」魅力スポットなので、何か良い方策が為されることを願いましょう。

ちなみにオトンルイ風力発電所(運営元は浜里ウインドファームと異なる幌延風力発電)は、設備の老朽化やバードストライク対策、環境負荷への考慮などから、より高効率で小型化された風車へのリプレース計画が進んでいます。
リプレース後は28基の風車が10基未満に減るため、現在の聖地的な壮観さは見納めだとも。
当初は2023年3月末に運転停止予定でしたが、2025年3月末に延期され、さらに2027年3月末まで延期。2027年4月から、解体作業が始まる予定だとか。
なので、2026年は最後の勇姿を目にしようと、同エリアを訪れるツーリングライダーが増加しそう? その頃には、浜里ウィンドファームの問題も解決していれば良いのですが。

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