自販機でタバコを購入するのに、taspoというカードが必要になる。
と言うか、鹿児島県や宮崎県では既に必要らしい。
東京は7月からなので何となく「そのうち…」的に考えていたのだけれど、フと気づけば、もうすぐゴールデンウィーク。
5月1日からは北海道など21の道県で、taspoがないと自販機でタバコを買えなくなる。
えー? 旅先で買えないってことじゃん。いやもう、失念でした。
過去数年間、ゴールデンウィークに遠征した先は…。
青森、大阪、兵庫、広島、香川、徳島、福岡、長崎、熊本。
なんと大半が、5月1日から自販機の前で「taspoを持ってない奴は買えないんだよ」と無視されてしまうエリアだった。
や、3月頃から自販機の横に申込書が置かれるようになり、手元にもあるのだ。写真を撮るのが面倒というか、撮るのを忘れて、申し込んでいなかっただけ。
【↑ 申し込み書類はこんなの。郵送用の封筒も同封され、切手は不要】
で、日本たばこ協会taspo運営センターなるところに問い合わせてみたところ…。
説明には申し込みから1〜2週間で発行と記されているのに、実際には「申し込みが殺到しているため」3週間もかかるそうだ。
「ゴールデンウィークをはさむとどうなる?」
「さらに遅くなる可能性があります」
なんじゃそりゃ。
今から申し込んでも、120%、ゴールデンウィークには間に合わない。
ヘタをすれば、第2次エリア導入の6月にも間に合わないかもしれない。
ちなみに、5月1日から導入される第1次エリアでは、既にすべての自販機がtaspo対応機に変更済み。それが当日から一気に稼働するのだそうな。taspoなしに買える自販機は皆無なのだ。
未導入と導入済みエリアの間で人の往来が激増する、ゴールデンウィークのことなど考慮されていないのね。
そう尋ねると、
「各地で即時発行イベントを実施していますので、そちらの会場では1〜2時間お待ちいただければ即時発行も可能です」
との答が。ほぅ。
が、即時発行イベントの日程をチェックしてみると、実に少ない。首都圏では、東京の5月8日〜11日が最初。ゴールデンウィーク前の開催は一度もなく、意味がない。
それでも、郵送申し込みで3週間、連休を挟んで1カ月近くもかかるなら、即時発行イベントに足を運んだほうが早い。
で、素朴な疑問。
「即日発行できるのに、なぜ郵送だとそんなに時間かかるのか」
これに関しては、返答を濁された。
イベントに来させるよう、仕組んでるじゃないの。
どう考えても喫煙者のための「親切な」カードではなく(苦笑)、基本が「煙草を吸いたいなら作ってやるよ」的な姿勢らしいのは確か。
そもそも、なぜ写真が必要なんだ。写真が面倒だからと、申し込みを後回しにしている人も多いのでは?
いろいろとお題目を掲げていますが、要はtaspoに無条件で付加されてしまう非接触型ICカード=電子マネー:ピデルを普及させるために、こんなシステムを作り出したんでしょうね。喫煙者が全員taspoを所有すれば、電子マネーとしてのピデル普及率はすごいことになるわけで。先行するEdyやSuicaとの、「単に持っているかどうかの」シェア争いは熾烈なものになるでしょう。
でも、持っているだけで使わないよね、そんなの。他のFeliCa規格と互換性のないシステムなんて、不要だもの。これ以上、電子マネー規格を乱立させるのはやめてくれ。
自販機に成人認証システムの設置を義務づけたのは、財務省。ビデルの運営管理を行うのはJCB。つまり、財務省が国民の半数近くになる喫煙者にピデル加入を義務づけ、特定企業=JCBに利益誘導することになるのでは?
なわけで。
システム構築に莫大な費用を投資しているのだから、官民一体となり、ぜひともtaspoを普及させたい。カードさえ発行できれば、国民の利便性など、どーでもいいから。
とてもわかりやすい。
別にね、未成年の喫煙防止のために必要だというなら、面倒でも反対はしませんよ。でも、このカードでホントに防止できるなら、23時~5時まで自販機停止という措置は意味なくなるじゃん。解除してよ。あれこそ不便で仕方ないのだから。
本気で年齢認証を実施する気なら、ICチップ内蔵の運転免許証や、例の住基カードを使う自販機にしたほうが、よほど意味があるでしょ。利便性も、はるかに勝るだろうし。
で、どうする。東京でカートン買いをして、旅に持ち出す?
面倒くさすぎるぞ。
*2008.04.19、追記
この日の報道によると、なんと、運転免許証による成人識別装置の導入を財務省が認めたそうな。
taspoの普及が進まないことが理由だそうですが、何それ。やればできるんじゃないの。だったら、もっと早く始めろー!!
仕方なくtaspoの申込書を投函したばっかりなのに。写真撮影代金500円、返せ。
各紙の報道を総合すると…
- taspoの設置には数十万円の費用がかかり、それはたばこ店が負担している。
- 運転免許証による認証システムは既存の自販機への後付け装置で、10万円程度で設置できる。
- 運転免許証による認証装置は、5月から設置が始まる。
これって、めちゃめちゃひどい話じゃないですか?
費用がたばこ店負担? 運転免許証による認証装置なら後付けで、費用も1/3で済む?
いかにtaspoが官民一体となったピデル利益誘導型産物だったかを、自ら証明しているようなものじゃん。
誤解のないように言っておくと、taspoが絶対的に不要な、無駄なものだとは断定できません。
運転免許証を所有しない成人もいれば、自治体の一部は住基ネットに非参加。taspoがなければ成人認証を得られない層も、少なくないわけで。
ただね、「ピデル付きのtaspoがなきゃ売ってやらねーんだよ、個人情報をとっとと提供しやがれ」的なやり口は傲慢すぎだろ、ってことです。
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