はじめに
さぁ、北海道へ行こう!
東京生まれの東京育ちな自分にとって、北海道は昔からの憧れの地。これまでに何度も、春夏秋冬いずれの季節にも旅をしてきたものの、移動手段は列車+バス(+レンタカー)ばかり。その度に「次はクルマで…」と思いながらも、実現できずにいた。
また、これまでの北海道への旅は、1週間が基本スタイル。広く、公共交通機関も不毛な北海道のこと。最低でも5日程度の日程でなければ、思うように動くことができない。となれば交通費もかさみ、レンタカーにしても費用がバカにならない。フェリーで自分のクルマを運ぼうとすれば、往復だけで10万円近くが飛んでしまう。
さらに、本州に比べれば安いとは言え、日数がかさめば宿泊費もそれなりにかかってしまう。
正直、列車+バスでも何とかなるところには行き尽くした感もあり、どうしようか…。
では、バイクを利用したキャンプツーリングならどうだろう。
クルマと違ってフェリー航送運賃も安い。レンタカーと比較してみても、道内滞在4〜5日程度を境にバイクで行ったほうが安くなるようだ。逆に3〜4日間までの旅なら、飛行機+レンタカーのほうが安上がり。
また、キャンプ場も本州に比べて安い。無料のところが大幅に減ったとはいえ、1泊500円程度が相場。それなら、長期間の旅でも宿泊費を最低限に抑えられる。もちろん、全泊キャンプではなく、ある程度はビジネスホテルなども利用するつもり。
北海道と言えばライダーハウス。と、考える人も多いかもしれない。でも、自分の場合はキャンプがいい。大人数+相部屋というシステムは、基本的に苦手なので…。他人としゃべることは嫌いじゃないし、実はそれが仕事の中核だったりもする。でも、だからなのだろうか。旅に出た際は、一人で気ままに過ごしたい。
相部屋では、同室者のイビキも気になる。疲れて寝たいのに眠れず、なのに相手は高イビキ。これほどムカつくことはない。友人との旅ではそれを態度に出すこともできず、かえってぎくしゃくしてしまうこともしばしば。ましてや他人なら、なおさら。そんなことに気を遣うぐらいなら、一人でいたほうがいい。そもそも、イビキ=病気なので、本人に治療する気があれば治せるはず。でも、自分が困る病気ではないので、ほとんどの人間はわざわざ治療費をかけて治そうとはしない。なので余計に、腹立たしい。他人に迷惑をかけることがわかっていて、平気で相部屋に入る無神経さは大嫌いだ。
あと、酒があまり好きじゃないのも一因かな。まったく飲めないわけではないけれど、自分からは飲まないし、飲まずに済むならそれに越したことはない。大人数→みんなでワイワイ→飲まなきゃいけない雰囲気…になるのが困る。好きでもなければウマくもないものを、なんで飲まなきゃいけないのだろう。酒好きな人には絶対理解できないだろうし、理解しようともしてくれないことは、これまでにイヤと言うほど経験済み。
なので、一人マイペースに過ごせる、キャンプ派ということになるのだろう。
さて。初めてのキャンプツーリングを実行するとして、なぜバイクがRV125JPなのか。
答:それしか持ってないからw
ふつー、バイクに乗る→北海道ツーリングを志向する人たちは、まず「北海道を走ってみたい!」ところから始まるのだと思う。信号も少なく、延々と続くカントリーロードを走りたいと。狭い日本、バイクを本当に楽しんで乗れる場所など、そうそうあるものじゃない。
北海道ツーリングに関するサイトを見て回ったところ、ほとんどの人が、とにかく走って走って走りまくっている。ピンポイントで目的地を定め、一気に走り抜ける。そんなツーリングが可能なのも北海道ならではだと思うけれど、自分には…無理かなぁ。手段は何であれ、旅は旅。走り去る光景のひとつひとつが、ふと気になってしまう。列車で旅をしている際に途中駅で降りたくなる、あの感覚だ。列車の場合はおいそれと降りられないけれど、キャンプツーリングなら時間にも縛られず、目的地の変更も自由自在。や、自分の場合は絶対そうなる。これはもう、性のようなものだから仕方ない(苦笑)。
そんな発想の原点が違うものだから、125ccの原付二種スクーターで行くことに違和感もない。むしろ、気まぐれなのんびり旅に原付二種は相応しい? RV125JPで九州を旅した際の経験から、長距離走行や、北海道ならではの一般道の速い流れにも対応できるはず。
もっとも、問題がまったくないわけではない。それは、フェリーに乗るまでの遠さ。高速に乗れない以上、大洗か新潟か、あるいは仙台か八戸か青森まで、東京から下道を走らなければならない。東京から苫小牧へのフェリーがあった頃なら…。もっと遡れば、東京から釧路へのフェリーもあったのに…。
と、悩んでいても仕方がない。
そもそも、高速を使って遠くへ旅するならクルマでいい。バイクの高速料金は割高すぎると思うし、高速での長距離は大型バイクでなければ辛いはず。でも、100万円以上する大型バイクなど買えない! だからバイクは原付二種でいい。そう思ってきたのだから。
フェリー
さて、北海道へRV125JPで行くことは決まったものの、問題はフェリー。
東京からのフェリーは既に廃止されているので、大洗、新潟、仙台、八戸、青森のいずれかから乗ることになる。
- 大洗−苫小牧 (商船三井フェリー)
- カジュアル:11,500円。バイク航送運賃:11,000円(51cc〜400cc)。
- この航路の魅力は…。大洗港が東京から近いだけ? 航送運賃が50ccと400ccを境に変わるため、125ccの原付二種であるメリットがない。ただでさえ割高な印象なのに、125ccでも400ccでも同料金というのは…。
- 大洗18時30分発のダイヤは悪くないものの、混みそうな気もする。苫小牧13時30分着はちょっと遅く、微妙。
- 大洗を午前1時45分に出港する深夜便は、苫小牧着が19時45分と遅すぎるので却下。ただ、復路にはこの深夜便がいいかもしれない。苫小牧1時30分発なら、道内滞在期間を最大限に有効利用できるので。大洗着が19時45分と遅くても、あとは帰るだけなので問題なし。
- 新潟−小樽/苫小牧東 (新日本海フェリー)
- 2等寝台:7,500円、S寝台:9,500円。バイク航送運賃:4,700円(〜125cc)。
- 首都圏−北海道の最安ルートとしても知られるこの航路は、基本運賃が割安。航送運賃も、原付(〜125cc)が単独の料金区分けになるため格安。
- 小樽への直行便は新潟発が午前10時30分なので、自宅を深夜に出発し、何もせず走り通す必要がある。前日に新潟に入って泊まるぐらいなら、道内滞在日数を伸ばしたい。小樽着が翌朝4時30分と、べらぼーに早い(というかまだ夜)のもネック。
- 敦賀始発の新潟・秋田寄港〜苫小牧便なら新潟発23時30分で都合がいいものの、苫小牧東港着は翌17時20分。その日は何もできず泊まるだけになってしまう。
- この航路は原則、バイクから荷物を下ろさなければならない。車両甲板の棚に置くか、船室に持ち込むかのいずれか。これは面倒。パニヤケースはそのままでもいいらしい。
- 仙台−苫小牧 (太平洋フェリー)
- B寝台:10,000円。バイク航送運賃:7,000円(51cc〜400cc)。
- 豪華フェリーとして知られ、団体ツアー客にも超人気な航路。基本は名古屋発の仙台寄港便というスタイルでも、実際には仙台−苫小牧間の利用が大半。近年は航路縮小の傾向で、名古屋発ではなく、仙台−苫小牧便が中心になってきている。
- こちらも商船三井フェリーと同じく、航送運賃は50ccと400ccが境。125ccであるメリットがなく、大洗便より距離が短いだけ安いものの、割安感はない。
- 船内の豪華さ、《きそ》のB寝台(個室感が強い独特なもの)はポイント。逆に、《きそ》以外の《きたかみ》、《いしかり》が就航する日は魅力が薄れる。
- 仙台19時40分発→翌11時の苫小牧着というダイヤは、夜行便として船内滞在時間が長くもなく短くもなく、ベター。仙台までをプチツーリングするにも、下船後に道内を動き始めるのにも都合がいい。
- 八戸−苫小牧 (川崎近海汽船)
- 2等寝台:6,750円。バイク航送運賃:4,000円(〜125cc)。
- 八戸までは、遠い…。高速1,000円ETC割引なら、ベターな選択かもしれないけれど…。ただでさえ利用率の高い夜行便は、休日ともなればかなり混雑するらしい。
- 1日4便あるので便利とはいえ、夜行便以外は苫小牧着が遅くなり、道内初日が無駄になる。
- 距離が短い割には、旅客・航送運賃ともに割高感がある。航送運賃は125cc、750ccが境になるので、125ccのメリットが最大限に生きる。
- 青森/大間−函館 (津軽海峡フェリー、青函フェリー)
- 津軽海峡フェリー 青森−函館 2等:2,700円。バイク航送運賃:2,000円(〜125cc)。
- 青函フェリー 青森−函館 2等:1,500円。バイク航送運賃:2,000円(〜125cc)。
- 津軽海峡フェリー 大間−函館 2等:2,200円。バイク航送運賃:1,500円(〜125cc)。
- 津軽海峡フェリーは、破産した東日本フェリーと、同じ航路を運行する子会社・道南自動車フェリーが合併した新会社。そのため、旧・道南自動車フェリーの《えさん》、《えさん2000》など、半ば貨物船が就航する便でも料金が同じ。
- 青函航路の距離・時間なら2等でいいのだが、同じ2等で比較すると、津軽海峡フェリーの割高感が際立つ。2等のみの青函フェリーに対して上等級があり、船内施設も上だが、上記の《えさん》、《えさん2000》就航便なら青函フェリーのほうがいい。
- 航送運賃は、どちらも125cc、750ccが境となり、125cc未満は2,000円で同額。
- そんな比較をする前に、そもそも青森までは遠い…。便数が多いので、たどり着けばどうにでもなるが…。
- 大間便は距離が短く運賃も安いが、大間までのアクセスが大変。下北半島は広く、半島に入ってから想像以上に時間がかかる。東京から目指すなら、青森直行のほうがはるかに近い。
- 道南を巡るならいいが、函館から道東・道北へは遠すぎる。廃止された青森−室蘭便があれば…。
いずれにせよ、出発日時も帰宅日も確定できず、各港までの所要時間も見当がつかない状況では、予約をすることも難しい。
これはもう、お得意の行き当たりばったりだな(苦笑)。
最悪、八戸か青森まで自走すればどうにでもなるのだから。さすがに辛そうだけれど…。