旅にっき 【2009.06.24-07.08/北海道】

 第1日目 2009.06.24(Wed)

この日の行程


 東京→白河  *バイクで走るなど正気の沙汰ではない豪雨の中を、出発

 初めての本格的キャンプツーリングということで、準備に時間がかかりまくり。
 出発が1日、2日とズレていき、これ以上は遅らせらることができなくなった当日は…。深夜未明から雨。
 天気予報でも大雨注意報が出される中、泣く泣く朝6時頃に出発。
 強い雨程度だった天候は、走り出して30分も経たないうち、土砂降りの豪雨に(泣)。

 今回の足は、スクーターのSYM:RV125JP。125cc未満のバイクは高速道路通行不可なので、一般道をひたすら走るしかない。
 目的地の仙台までは、およそ400km。それだけの距離を一般道で走るなどクルマでも経験がなく、どうなることやら…。

 無理矢理にでも早朝出発できたので、とりあえずは仙台を目指そう。仙台港を19時40分に出港する太平洋フェリーに乗船できれば。
 ただ、間に合わなかったなら…。八戸か青森まで自走するしか、ないよなぁ…。

 雨の中を快調に? 気合い十分で走り始めるも、浦和付近で早くも挫折。
 浦和周辺から埼玉県内の県道を北上し、栗橋あたりで国道4号に合流するはずだったのに、道に迷いまくりで。埼玉県内の県道は、わかりにくすぎる! いったい何度、国道16号を横切ったことだろう。豪雨でまともに視界も効かない中を1時間ばかり迷ったあげく、素直に(素直じゃなく)諦め、おそらく4回目か5回目に出会った国道16号に入る。
 国道4号までは、すぐ。ただし、予定よりだいぶ南での合流に。

 荷物を減らすため、首都圏の地図を持ってこなかったことも迷った要因のひとつ。主要道路が迷路のように入り組むさいたま市周辺では、ツーリングマップルR:関東の12万分の1縮尺など意味を為さない…(泣)。
 今回のツーリングのために購入したポータブルナビも、ビニールケース(ダイソーで100円)に入れているとは言え、あの豪雨では使用も躊躇される。それでも意を決して取り出せば、叩きつける雨粒で画面が見えない…。GPSもクルクル回っているだけで、ちっとも現在位置を把握してくれない…。これも豪雨のせいなのだろうか。
 雨宿りしてナビ(あるいは地図)を見ようにも、その場所がない。都内であれば、何かしら雨宿りできる場所があるものなのに…。
 仕方なく走り続け、さらに迷う。の、繰り返し。
 埼玉の道路をナメてましたね。都内と同じように考えちゃダメだ=教訓。

 国道4号(バイパス)に入ると、時に3車線となる高規格道路を快走。と言うか、ほとんどヤケ走り。
 ヘルメットのシールドを下ろしていると、叩きつける雨で何も見えない。シールドは全開で、顔面びしょ濡れになりながら走り続けることに。他に走っているバイクなど1台もなく、「この豪雨の中をバイクで走るか?」と語りかけてきそうなドライバーの視線が痛い。
 途中からは(どこを走っているのかよくわからない)片側1車線となり、大型トラックが列を為す渋滞の中、すり抜けすり抜けで前へ前へ。バイクで走るなど正気の沙汰ではない豪雨の中、どうにでもなれという心境だった気がする。
 それでも、さすがは一級国道。出発から1時間半しか経っていないのに、気づけば宇都宮の文字が頻繁に現れる始める。
 迷っていなければ、宇都宮まで1時間で来たことになる。どんなハイペースなんだ。。。

 しかし、身体と精神のほうは既に限界。身体じゅうがガタガタ震えているのを感じ、もうダメだ…と、歩道橋の下へ待避することに。
 (後で地図を見ると、宇都宮市平出周辺だったと思われ)
 まずは、絞ると水がジャーッと流れ落ちるグローブと、ぐっしょり重たいジャケットを道路脇のフェンスに掛けて干す。バイク用の簡易防水ジャケットなので大丈夫かと、レインウェアを持ってこなかった自分が腹立たしい。
 下半身はレイン用オーバーパンツを履いていたので無事かと思いきや、ウエスト周辺が浸水しまくり。水浸し状態の革製ベルトは変色し、ベルトが当たっていた部分の下着(白シャツ)には、茶色の帯模様が…。どれだけ濡れれば、こんな状態になるのだろう…(泣)。
 皮肉なことに、休憩した途端に雨が小降りとなる。恨めしい空を見上げるうち、今度は猛烈な寒気が身体を襲う。。。
 近くの自販機で缶コーヒー(もちろんホット)を買ってきたものの、手がガタガタと震えてプルトップがうまく開けられない。
 本気で凍傷になるんじゃないかと思った。。。

 呆然としたまま20〜30分が過ぎ、ようやく人心地を取り戻す。
 と同時に、猛烈な空腹感が…。
 「猛烈な…」何かに襲われてばっかりだ(泣)。

 時刻はまだ9時前。国道4号沿いなら24時間営業の店がありそうなものだけれど、オープンしている店は皆無。
 とにかく暖かいモノを、屋根の下で、イスに座って食べたいのに。。。
 そんなときに限って、ふだんあれほど見かける牛丼チェーン店も出現してくれない。
 仕方なく石神から県道10号に入り、烏山方面を目指す。県道にしてはかなり高規格な主要地方道ながら、過ぎ去る光景は田舎道そのもの。オープンしている店など絶望的だ…。市街地だから期待できるかも? と思った烏山でも、空振り。
 もういいよ。
 烏山からは国道294号に入る。東北方面への下道ツーリングを調べた際も、各サイトでお勧めルートに挙げられていたローカル国道だ。
 なるほど、路面こそ良好とは言えないものの交通量は少なく、気楽に走ることができる。「快調に走れる」ではなく、「気楽に走る」のがふさわしいとは、まさに、125ccでの下道ツーリング向けルートと言えそうな?
 途中、栃木県と福島県の県境近くには「従是北白河領」の石碑なども建つはずなのだけれど、そんなことは一切忘れたまま県境へ。
 雨は止んだものの、濡れた服が乾かないため寒い。修行のような気分での走りは、やはり冷静ではなかったのかも。

 林間の県境を越えると、すぐに白坂郵便局が現れた。
 栃木県内では無視していた郵便局が、福島県に入ると急にクローズアップされた存在に見えてくるのは不思議。自分の中には、関東首都圏=非・旅行貯金エリアという感覚があるようだ。めでたく、今回の旅で初の旅行貯金を済ます。
 県境越えで変わったのは旅行気分だけでなく、天候も。福島県に入った途端、重苦しい曇天から快晴へと一変したのは嬉しい〜♪
 山越えしたわけでもないのに、この差は何なのだろう。ずぶ濡れの様を郵便局の方に驚かれたのも当然で、こちらは朝から快晴だったそう。
 「あ〜、暖かい…」。郵便局の前で、しばし休憩。

 国道294号は、旧・国道4号。さらに歴史を遡れば、江戸時代の五街道のひとつ、奥州街道でもある。
 街道沿いには史跡も数多く残るようなので、時間があるときに落ち着いて再訪してみたい。

 気づけば、ここまで1枚も写真を撮っていない。。。そんな余裕、なかったもの…。


 白河  *白河城と、白河ラーメン

 ここからは白河市内中心部、白河城(白河小峰城)を目指す。
 と言っても、具体的なプランがあるわけではない。
 「交通量の多い国道4号を走るだけではつまらない」と別ルートを選んだまでのことで、白河を通ることになったのもその結果。
 であれば、白河城白河ラーメンは外せないかなと。
 鶴ヶ城や盛岡城と並ぶ東北三名城とも呼ばれ、日本100名城にも選ばれている白河城(白河小峰城)には、迷うこともなく到着。

  

  

 城郭建築自体は小規模な白河城(白河小峰城)ですが、平成に入ってからの復元城だけに状態も良く、忠実な復元手法にも好感が持てますね。周囲の公園も美しく整備され、観光地化への地元の意欲を感じます。
 戊辰戦争による落城〜打ち壊しという不遇な歴史背景から整備もままならない城が多い東北にあって、この城は幸せだな…。などと想いにふけってみたりも。
 同城に関する古文書などを展示している、集古苑の見学はパス。朝の豪雨が嘘のような晴天+気温の上昇+寝不足から、城内を歩いただけでバテ気味だったもので。。。(^^;;
 また、国道294号に入ってから走行ペースが落ちたため、城見学を済ませた頃には既にランチタイム。仙台の到着時間も気になり。。。

  

  
【↑ (右)実質的な天守だった三重櫓。1992年に木造復元】

  
【↑ (左)形式上の天守=本丸御殿跡は、ただの更地 (右)三重櫓の内部には、白河の伝統文化《つるし雛》が飾られていた】

  

  
【↑ (右)城内から帰路は、行きとは別の裏門ルートを下りてみる。こちらを歩く人はほとんど見かけない】

 とりあえず空腹を満たそうと、来る途中に近くで見かけた“いかにも”なラーメン店を訪れてみる。
 仮設風の建物に大きく「ラーメン」と記された店は、よく見れば出入口の上に《菊忠製麺分店》と書かれている。白河ラーメンと言えばこの菊忠製麺の麺がポイントなので、その分店なら期待できるかも?
 扉を開けて入ってみれば、店内は昔ながらの、ただの食堂といった風情。ランチタイムなのに、客は皆無。寂れてガラ〜ンとした雰囲気が哀愁を誘います(苦笑)。不安になりつつもラーメンを注文すれば、客が来たので火を付けたよ〜とばかりに時間がかかり、20分ほど待たされる。
 さて、出てきたラーメンは。。。
 「うーん…」。他に表現のしようがない。
 店内の雰囲気からラーメンの味まで、何から何までビミョーなもので。。。
 白河ラーメン自体、オーソドックスな醤油ラーメンで特徴が少ないこともわかってはいるけれど…。
 これなら、都内・中野の白河ラーメン店、南湖のほうがいいや。

 *南湖は、2009年12月に閉店したそうです(悲)。

  






【← 「ステンドグラスのある赤瓦の屋根の大正ロマン漂う駅舎」として、東北の駅百選にも選ばれているJR白河駅。写真を撮っていると、年配の女性から「いい駅でしょう」と声を掛けられた。地元の人にとっても自慢の駅舎なのですね】


 白河→仙台港  *時間に追われながら、阿武隈山地を淡々と走り抜ける

 白河市街から、県道11号で石川町へ。落ち着いた町並みに後ろ髪を引かれつつ、先を急ぐ。
 ツーリングマップルに「阿武隈高地快走ルート」と記されている県道40〜42号に入ると、何のことはない、ただの田舎の山道。「快走」のイメージとは程遠いなと思いつつ、交通量の少ない単調なルートを淡々と走り続ける。
 蓮田で国道49号に合流し、あぶくま高原道路の平田ICへ。阿武隈山地の山間部を一気に小野町まで抜けられるはずなので、時間短縮に。
 が、入口に到着すると…。あの自動車マークが燦然と輝いているではないですか(泣)。地図をよく見れば、確かに自動車専用道。後に調べたところ、福島空港を中心とした県内高速道路網の一環として建設されたあぶくま高原道路の、部分開通&無料供用区間なのですね。
 そんなことにも気づかないなんて、125ccでのツーリングに慣れていない証拠だなぁ。。。
 仕方なく、同様のルートをくねくねと山越えする、相変わらず淡々と面白味のない県道42号を走る。視界には、山中をブチ抜き、空中にそびえ立つあぶくま高原道路の高架が見え隠れする。でも、立派な高架を走っているクルマを、まったく見かけない…。
 もちろん、自分が走る県道も同様。この山中に高速道路を通す意味が、どれだけあるのだろうか。

 その後は延々と、国道349号を。信号がほとんどなく交通量も少ないけれど、道路規格の低さからペースが上がらない。
 ただひたすらに、淡々と山間の丘陵地帯を走り抜け、分岐点にGSがあった前柳からは県道149号〜31号に。国道349号をショートカットするルートですが、1台のクルマにも出会わない、かなり寂れた区間でしたね。

 梁川からは、再び国道349号。
 ツーリングマップルに「阿武隈川の両側にゆるやかな阿武隈高地の山並みがせまる」、「夕日を浴びた阿武隈川がすごくきれい!」と記された区間へ。なるほど、阿武隈川に沿って走るルートはなかなかの景観。時間に余裕があれば、ゆったりのんびりツーリングにふさわしいかと。
 が、既に日も傾き始め、フェリーの時間が気になる。と言うか、かなり不安な…。
 阿武隈川の流れに見とれず先を急ごうにも、国道とは名ばかりの、センターラインもない1車線道路。湾曲する阿武隈川岸を忠実にトレースする険路には落石や路肩崩壊も多く、思うようにペースを上げられない。交通量が極少なのも納得で、舗装されていることを除けば、昭和初期から時が止まったままかのような光景が続く。。。

 市街地となる丸森〜角田あたりからは交通量も増え、国道4号と合流する槻木の手前数kmは大渋滞。
 ギリギリ1車線の道路をかきわけるようにすり抜けながら、何とか国道4号に合流するも、こちらがまた渋滞。片側4車線の仙台バイパスが、クルマで埋もれている。バイクが少なく宮城流のすり抜け方? に悩みながら、夕闇迫る中、仙台港を目指す。