旅にっき 【2012.04.23/福岡(博多)】

 この日は所要で博多へ日帰り。その前後に時間が多少空いたものの、観光らしい観光をするほど余裕はないため、福岡市内の神社を巡って御朱印をいただくことに。福岡市交通局の一日乗車券を有効活用し、市内近郊の香椎宮、櫛田神社、筥崎宮を巡る。

 *御朱印めぐりに関しては、こちらのページを参照。

 2012.04.23(Mon)

この日の行程

 東京→博多(香椎宮)

 羽田のD滑走路を飛び立ったANA245便は、約5分遅れで福岡空港に到着。
 羽田離陸便は4本目のD滑走路が2010年10月に完成・供用開始となって以来、明らかに遅延が減りましたね。それ以前の朝の便は、離陸待ちだけで15分程度の遅延になるのが当たり前でしたから。この日の遅延は飛行中の気流によるもので、風に向かって飛行することになる午前中の西行き便に、この程度の遅れはつきもの。

 福岡市交通局(地下鉄)の福岡空港駅では、券売機にて一日乗車券(600円)を購入。隣駅まで200円と一部値下げされたものの、博多までは2駅でも片道250円。割高な福岡の地下鉄では、空港と博多の往復にプラス1区間でも利用すれば、こちらのほうが安上がりになります。ちなみに、休日なら一日乗車券が500円となり、さらにお得。

 

 博多からはJRに乗り換え、香椎へ。
 鹿児島本線の上り快速(小倉方面)は博多でガラガラになるので、悠々と座れます。
 香椎では跨線橋を渡り、香椎線ホームへ。香椎線の列車は日中約20分毎ですが、連絡よく宇美行が到着。久々のキハ40系で、ちょっと嬉しい。キハ40系に乗車すると、「旅に出たなぁ」という気分になるから不思議。わずか1駅の利用ではもったいない、もっと乗っていたいと後ろ髪を引かれつつ、香椎神宮駅で下車。香椎で多くの下車客があった車内はガラガラで、同駅で降りたのは自分ひとり。

  
 【↑ 香椎神宮駅を後にする宇美行743D。1両目が白地に青帯の九州色、2両目は香椎線用のアクアライナー塗装。車両サイドは白地に「AQUA LINER」の文字が描かれ、運転台部分は青一色】

  
 【↑ 一面一線のみの香椎神宮駅。香椎宮の最寄り駅だけに駅名票もそれ風? (左)宇美方面 (右)香椎方面】

  
 【↑ (左)ホームの花壇が美しい (右)道路に面した仮設駅のような作り。無人駅のように見えて、出札窓口もある有人駅】

 香椎神宮駅は、改札を出たすぐ目の前が県道24号線。天神行の西鉄バスが頻繁に走るこの県道を、香椎方面に戻れば香椎宮の入口です。あるいは、県道を渡って駅前の路地を直進し、突き当たりの道路を斜めに横切るような形でグラウンド横の道に入っていくと、香椎宮の本殿前に出ることもできます。
 県道からの入口が本来の参道らしいので、今回はそちらへ。
 厳密に言えば、県道を進んだ先の西鉄貝塚線・香椎宮駅から、この県道を香椎宮へ向かうのが“本来の参道”ルート。こちらは駅から徒歩15分ほどかかることもあり、現在の最寄り駅は新設されたJR香椎神宮駅(営業開始:1988年)になります。
 香椎神宮駅からは、徒歩5分足らずで香椎宮の入口に到着。ここまでは本来の参道ではないため風情も皆無でしたが、県道沿いにいきなり大鳥居が出現し、雰囲気が変わります。

  
 【↑ (右)JR香椎神宮駅方面から香椎宮入口を見る。前方にそのまま進むと、西鉄香椎宮前駅】
 【↑ (左)案内図の右上がJR香椎神宮駅、現在地が右中央部、左下が西鉄香椎宮前駅】

  
 【↑ (左)香椎宮入口、一の鳥居 (右)小公園内を進むと、二の鳥居をくぐる】

  
 【↑ (左)境内へと入る楼門 (右)楼門手前の石橋周辺】

 入口付近は池があったりと小公園風に整備され、お母さんたちが子供を遊ばせるなどのどかな光景が広が中を進むと、境内の入口へ。
 有名神社らしく広い駐車場、大きな休憩所を横目に見ながら境内へと向かえば、予想以上に荘厳な空気が漂い、なかなかの雰囲気です。古くから朝廷の崇敬が厚く、伊勢神宮、氣比神宮、石清水八幡宮と並び“本朝四所”と称されただけのことはあります。
 楼門をくぐれば境内ですが、この楼門手前の石橋の下が、堀割のような道路になっている構造は面白い。この構造はひょっとして、足利義政、小早川隆景、福岡藩主黒田家など武家からも尊崇を集め、度重なる造営や修築を受けてきた故なのでしょうか。非常時の戦闘に備えた構えに見えなくもないのですが…。調べたわけではないので、まるで勘違いだったらごめんなさい(^^;;

  
 【↑ (左)楼門と石橋を下の道路から見る (右)道路は周辺住民の生活道路になっていて、自転車や人が頻繁に通る】

 境内へ入ると、のどかな雰囲気とともに、物静かで荘厳な空気が漂います。いや、香椎宮をナメてました、自分。。。
 仲哀天皇や神功皇后に仕えた大臣・武内宿禰が奉られる武内神社を左手に見ながら、正面に巨大なご神木が立つ境内を進むと、左前方に石段と中門が見えてきます。境内の内部は各所が高低差のある石垣構造になっていますし、中門も城郭の門と櫓の構造に似ていたりと、全体が城郭の縄張りのように見えるのは、自分が城好きだから?
 美しく整備された広い境内には小さな社が点在し、池を配した小庭園まで設けられているなど、やはり、武家による整備の跡を感じずにはいられないですね。

 社務所にて御朱印をお願いし、その間に本殿への参拝を済ませます。

  
 【↑ (左)楼門を境内側から見る (右)境内左手、手水舎の奥の高台には武内神社が建てられている】

  
 【↑ (左)本殿へは、正面の石段を登る。その先には巨大なご神木が(右写真)】

  
 【↑ (左)ご神木の説明板に記された歌「ちはやふる…」に、思わず反応(^^;; (右)ご神木の横の石段を登ると、中門】

  
 【↑ 中門と両側の櫓構造は、城郭建築そのもの?】

  
 【↑ 中門をくぐると、すぐ目の前に本殿が建つ】

  
 【↑ (右)境内の片隅に設けられた小庭園】

 小庭園を散策したところで、そろそろ時間切れ。周辺には不老水大明神など関連社も多いのだけれど、もう博多に戻らなければ。
 社務所で御朱印帳を受け取ると、立派なパンフレットも一緒に下さいました。
 帰りは正規の参道をと、県道24号線を往路とは逆方向、西鉄・香椎宮前駅方面へと歩き出す。
 JR香椎線の踏切を越え、てくてくてく…。ようやくたどり着いたかと思えば、それはJR鹿児島本線の踏切。その線路を越えると、ようやく西鉄貝塚線の高架と、かつては香椎宮への参拝客で栄えた香椎宮前駅が見えてきました。県道沿いの香椎宮入口(一の鳥居)から、やはり徒歩15分はかかりますね。

  
 【↑ (左)並木道に参道の名残りが見える県道24号線 (右)JR鹿児島本線の踏切手前には、参道入口を表す鳥居が建つ】

  
 【↑ (左)香椎宮の御朱印 (右)いただいたパンフレットと略誌】


 西鉄貝塚線

 西鉄貝塚線に乗車するのは、2006年5月、九州ツーリングの帰路に立ち寄って以来。当時はまだ西鉄宮地岳線の名称で、廃止間近な末端区間(西鉄新宮−津屋崎)に乗車しようと、地下鉄と接続する起点の貝塚から津屋崎までを乗り通したものです。

  
 【↑ (左)高架の西鉄貝塚線・香椎宮前駅。左の地上線路はJR鹿児島本線 (右)実際の駅入口は反対側に回り込んだところ】

  
 【↑ (右)やってきたのは西鉄600形2両編成。貝塚線の基本編成】

 路線が貝塚−西鉄新宮間に短縮され、貝塚線となった現在と比べても、貝塚までの乗車率はさほど変わっていないような…。平日の日中は1時間4本の運行ですが、楽に座れる車内の様子からも、経営状況は相変わらず厳しそう。JR鹿児島本線と接続する千早で乗客の半数ほどが下車してしまいますし、貝塚で地下鉄に平面接続しているメリットもあまり生かされていない? 両線の貝塚駅は同じフロアで階段もなく、30秒で乗り換えられるのは便利だと思うのですが…。やはり、直通運転でないと利便性は上がらないのか。
 西鉄貝塚線は単線で、各駅も短編成にしか対応していない構造ですしね。計画が凍結されている地下鉄との相互乗り入れ実現のためには、各駅のホーム延長だけでなく、交換設備まで全てを改修する大規模工事が必要になるはず。おいそれと実現できないのもうなづけます。
 この日の列車も、終点・貝塚の1駅手前、名島駅で5分近い交換待ち停車。貝塚駅は1面2線ホームなのに、なぜ手前の名島で交換させるのだろう。貝塚駅のホームを両面使い、2列車が駐留するダイヤであれば、終点間際で待たされることもなくなるのに。

 例えば、香椎宮前駅から博多や天神へ向かうケースを駅探で検索してみると…。

 西鉄と地下鉄は乗り継ぎ割引が適用されるので、運賃は安くなります。所要時間の比較でも、意外に速い?
 何かすごく「遅い、時間がかかる」ように感じるのは、やはり貝塚線が単線だからなのと、貝塚、中洲川端で2回乗り換えなければならない不便さ故でしょうか。仮に地下鉄との直通運転が始まったとしても、利用者数の回復には天神地区の集客力が大きく関与してくるはず。大赤字に喘ぐ福岡市交通局が膨大な追加費用を要する直通運転に及び腰なのもわかりますし、なかなか難しい問題ですね。

 あ、そう言えば…。
 並行して走るJRと、県道24号線で頻繁に見かけた天神方面への西鉄バスを調べてみると…。  ライバルは、鉄道より路線バスかもしれないですね(^^;;
 路線バスとしては日本一便利で、安いのが西鉄バスだと思うのですが、ここでもその利便性が証明されたと。なるほどなぁ…。


 櫛田神社

 所要を済ませた後は、再び博多駅から行動スタート。
 太宰府までの所要時間を調べたところ、現地に30分も滞在できないとわかり、市内・博多周辺の神社へ詣でることに。博多から太宰府って、意外に遠いんですよね。アクセスの起点が博多駅でなく、西鉄天神にならざるを得ないのがネックだとも言えますが。

 地下鉄の一日乗車券を有効活用すべく、まずは1駅だけ乗車して祇園へ。

  
 【↑ 祇園駅の地上に出て天神方向へ歩くと、すぐ1本目の路地が櫛田神社への参道】

  
 【↑ 参道入口から200メートルほどで、櫛田神社に到着】

  
 【↑ (左)手水舎 (右)本殿】

 櫛田神社は博多の総鎮守として、「お櫛田さん」の愛称で広く福岡市民に親しまれている神社。アクセスも便利なためか、そのこじんまりとした規模からすると桁違いなほど参拝者が多く、驚かされます。ほとんど無人だった香椎宮とは別世界で、次から次へと人がやってくるため、写真を撮るのにも一苦労(^^;;
 この日も、本殿ではクルマの安全祈願の真っ最中。賽銭箱のすぐ先(本殿内)に車の持ち主が座り、ご祈願を受けている光景に向け、別の人間が参拝するというのは何だか妙な気分…。神社巡りにはまだ不慣れですが、これが当たり前なのでしょうか。。。
 境内や本殿の可愛らしさからは不釣り合いなほど立派な社務所へ赴くと、オリジナルの御朱印帳が用意されていたので購入しました。

    
 【↑ 櫛田神社に奉納される博多祇園山笠をデザインした御朱印帳】

  
 【↑ (左)御朱印帳には、記念スタンプも挟まれていました (右)御朱印と一緒にいただいたパンフレット】


 筥崎宮(箱崎宮)

 再び祇園駅に戻り、地下鉄で箱崎宮前駅へ。
 駅から地上に出るとすぐ目の前が参道で、駅へのアクセス道路自体が参道になっているという、まさに“箱崎宮前”駅でした。

  
 【↑ (左)地下ホームの駅名票も“箱崎宮” (右)地上に出ると…】

  
 【↑ (左)階段を登り切ると、この案内が目の前に (右)その向こうには参道が延びる(鳥居が見える)】

  
 【↑ 右上の写真にも写っている鳥居(二の鳥居)をくぐり、広い参道を歩いていくと、5分もかからず筥崎宮に到着】

  
 【↑ (左)参道の最後と境内の間の道路を渡ると、一の鳥居 (右)広い境内の正面に立派な楼門が鎮座する】

 本殿かと見間違うかのような(現に最初はそう勘違いした)楼門は、鹿島神宮(茨城)、 阿蘇神社(熊本)と並ぶ、“日本三大楼門”のひとつなのだとか。小早川隆景による建立だそうで、なるほど、戦国の歴史好き&城郭好きな自分の心を激しく揺さぶる豪壮な姿だ(^^;;
 この筥崎宮自体が“日本三大八幡宮”のひとつだとは、後から知りました。他は、宇佐神宮(大分)、石清水八幡宮(京都)、鶴岡八幡宮(神奈川)…あれ? なぜか、計4か所なのですが(^^;; まぁ、このテの“日本三大…”的なものに、あまり厳密なことは言わないほうがいいのかもしれませんね。
 社務所が見当たらなかったので境内左手の授与所で巫女さんに尋ねると、その場で御朱印帳を預かってくれました。駅に着いた時点で17時をまわり、社務所や授与所が閉まってしまうのではと焦っていただけに、これで心置きなく参拝ができます。
 でも、本殿はどこ…?
 見ていると、参拝に訪れた方は皆さん、楼門の下で手を合わせています。近づいてみると、楼門自体が拝殿になっているんですね。こうした構造の神社もあるのかと驚かされましたが、これも御朱印めぐりを始め、きちんと参拝するようになったからこそ気づくことかも。
 楼門と一体化した拝殿と、その奥の本殿は、醍醐天皇の時代に藤原真材の手で造営された後、度重なる戦火や争乱で興廃したものを、大内義隆が再建したのだとか。ここで小早川隆景や大内義隆の遺構に触れるとは、思いもよりませんでした。神社巡りは奥が深い…。
 でも、楼門・拝殿の奥に配された本殿は、その一部をちらっと覗くことしかできません。歴史的な建造物を守るためでしょうが、一般の参拝者は楼門・拝殿から先に進むことができず、ちょっと残念。。。

  
 【↑ (左)楼門の中央下部が拝殿になっている(本殿はその奥)】
 【↑ (右)境内右手の手水舎。境内の全景を写そうにも、横に広すぎるため手水舎などは見切れてしまう】

  
 【↑ 楼門から連なる拝殿と櫓は、戦国時代の建造を思わせる強固さと豪壮さ、素木作りの端正さを兼ね備える】

 
 【 ↑(左)福岡ソフトバンクホークス、アビスパ福岡の選手が優勝祈願に参拝することでも知られ、こうした巨大絵馬も】

  
 【↑ 御朱印と、いただいたパンフレット。福岡の神社では、御朱印をお願いするとパンフレットがついてくるらしい】


 博多→東京

 箱崎宮前駅まで戻ってきた頃には、既に18時。もう、どこへも行けません(^^;;
 大人しく地下鉄で博多駅へ戻り、駅ビル内の博多めん街道へ。せっかく博多まで来たのならラーメンを食べたいですし、お目当てのだるまも、この中に出店しているので。
 九州新幹線の開業後に博多を訪れるのは初めてなのですが、以前は、駅周辺でラーメンをと思えば駅前広場の(ごくフツーの味の)チェーン店しかなかったんですよね。それが今や、新幹線開業とともにリニューアルされた駅ビルにこうした麺類の専門店街があるわけですから。行くしかないというか、これまでなかったほうがおかしい。余所から来た観光客やビジネス客にとっては、“博多=ラーメン”のイメージですしね。

  
 【↑ 博多めん街道内:元祖博多だるま。注文したのは、フツーのラーメン(680円)。替え玉(50円)も】

 だるまのラーメンには、かなり満足。いわゆる純・長浜系よりも熊本(黒亭)や久留米(大砲)のとんこつラーメンが好きな自分に、合う味でした。見方を変えれば、博多ラーメンとしては邪道なのかもしれないけれど…。
 19時前という中途半端な時間のためか並ぶこともなく、落ち着いて食べることができたのもラッキー。それでも席の7割ほどは埋まり、客の呼び込みに必死なのにもかかわらずガラガラな周囲のラーメン店とは、対照的でしたね…。さすが、超人気店!

 あとは帰るだけ。
 ギリギリまでラーメンを食べていても大丈夫な福岡空港は、アクセスが日本一便利な空港だと改めて実感しました。。。
 満席に近かった行きの便に比べ、帰りの便に空席が目立ったのは、時間の関係だけでなく機体の違いも大きいのでしょうね。同じB777でも、朝のB777-200と帰りのB777-300では、座席数が100席も違うので。利用率から考えると、機体運用が逆ですよねぇ。