旅にっき 【2004.01.03-08/東北】

 2004.01.06

この日の行程

 青森→浪岡→北常盤→津軽湯の沢

 この日は、碇ヶ関郊外の古遠部温泉に泊まる予定。
 秘湯好きなら知らない人はいない秘湯ですが、5〜6年前までの秘湯ブーム当時は、いつ電話しても満室ばかり。
 が、昨日夜に思い立って電話をかけたところ、ここ数日であればいつでもOKとのこと。
 正月明けの平日とはいえ、やはり秘湯(温泉)ブームはピークを過ぎたのか…。

 となれば、行程は青森から(宿の送迎がある)津軽湯の沢までの単純なものに。奥羽本線の過疎ダイヤにより、弘前方面からの列車で送迎可能なのは津軽湯の沢15:22着のみ。単純な行程の割には行動が制限され、青森−弘前間から離れることは難しそう…。

青森市内 青森駅
【↑ (左)青森市内中心部の積雪はこんな感じ (右)青森駅】

 まずは青森駅前から、弘南バスの黒石行に乗車してみよう。昨日と同じルートを戻っても、つまらないですからね。
 が、駅前ロータリーを見回してもバスの乗り場が見あたらない。案内図に乗っているのは青森市営バスの路線ばかりで、弘南バスの乗り場など完全に無視されてしまっている。ようやく探し当てたバス停は、他の停留所とはかけ離れた場所な上に、無人。ポツンと置かれているだけのバス停を目にすると、本当にここでいいのか不安になってくる…。
 しかも、予定時刻になってもバスが来ない。ひょっとして早発してしまったのか、乗り場が違うのか、はたまた何かの都合で運休なのか。時刻表を見ても問い合わせ先(営業所名や電話番号)の記載はなく、番号案内で調べた青森営業所に電話しても、さっぱり要領を得ない。営業所始発の便なのだから、定時に発車したのかどうかぐらいわかるだろうに。
 そうこうするうち、15分ほど遅れてバスがやってきた。青森営業所始発のバスが、青森駅前で15分の遅延。これが当たり前なのだろうか。
 どれほど混んでいるのかと思いきや、一昔前の観光バスタイプの車内はガラガラ。最前列の特等席に座り、道筋を眺めながらの〜んびり。
 青森市営バスとの共通運行になる市街地ではそこそこ乗降があったものの、他路線が途切れる新城から先は、浪岡までノンストップ状態に。乗客は、わずか3人。基本的に国道7号線をたどる路線は、ときに国道を外れ、旧羽州街道に沿った集落を丹念に回っていく。
 鶴ヶ坂周辺のカーブが連続する狭い雪道からは、かつてここが、峠越えの難所だったこともうかがえる。鶴ヶ坂駅の200〜300メートルほど青森寄りにはたらポッキ温泉も見え、これなら駅から歩いてこれるなと確認(^^;;

 どこかで気まぐれ下車しようと思いつつ、気づくとバスは浪岡町(合併で現在は青森市)に入っている。
 このままでは黒石に戻ってしまうので、浪岡バス停で下車。
 浪岡入口→浪岡警察署前→浪岡→浪岡北と“浪岡な”停留所が続くので迷ったけれど、運転手に尋ねたところ、ここが街の中心部だとのことなので。この“浪岡な”区間で乗客は全員下車し、無人になってしまうのかと思いきや、自分の降りた浪岡から10人ほどが乗り込んだ様子。
 浪岡は弘前・青森・黒石を結ぶ交通の要衝で、中世より街道が交差する街として栄えてきた経緯から、バス網が古くから発達していたとも聞く。バスの利用客が多いのは、そのため?
 ちなみに、この黒石行路線から弘前行へは、ここ浪岡で乗り継げるシステムらしい。下車する際に整理券に判をもらい、その整理券で弘前行に乗車すればいいそう。利用者の便を考えたシステムですね。でも、乗り継ぎだと言って降りてしまえば、浪岡までの無賃乗車もできてしまうのでは…。いえいえ、このあたりにそんな悪人はいないのでしょう。

浪岡駅 浪岡町看板
【↑ (左)浪岡駅】

浪岡中心部 浪岡中心部_2
【↑ 浪岡町の中心部にて】

浪岡郵便局 浪岡郵便局
【↑ 浪岡郵便局にて】

 郵便局に立ち寄りつつ、いつものように街歩きを…。雪道で大変なんですけれど(T_T)

浪岡郊外 浪岡郊外_2

 町内唯一の観光施設らしい? 中世の館も訪れてみる。
 交通の要衝だった浪岡は古くから津軽地方を抑える戦の拠点ともなり、浪岡城は何度となく大きな戦乱の舞台になってきたのだとか。浪岡城趾は中世の城郭跡としては保存状態がよく、国の史跡にも指定。その出土品などを展示する施設とのこと。ただし、城趾のほうは雪に埋もれているので、冬季は訪れる意味が半減かも。
 この資料館はなかなかよく出来ていて、浪岡城など中世の歴史から、現代までの浪岡の歩みがよくわかる。先ほどのバス網のネタも、実はここで仕入れたもの。奥羽本線の歩みも記されていて、なんと青森→弘前間の運転席展望ビデオまで見ることができる。
 これほど優れた施設なのに来館者は皆無で、この日はひょっとして入館者:1(自分だけ)?

中世の館 中世の館_2

中世の館_3 中世の館_4

 ここまで来ると駅からは遠く、バス便もない。雪道歩きにもメゲてきたため、タクシーを呼んで駅へと直行する(660円)。
 その途中に浪岡駅前温泉が見えたものの、今回は時間の関係でパス。中世の館でのんびりしすぎたのと、寝坊をして青森発が予定より1本遅いバスになったためなのですが…。まぁ、行き当たりばったりの旅なので、そーゆーものです(^^;;

 古遠部温泉に向かう列車までは、もう1駅どこかで下車できる。1駅目の北常盤で下車。
 ここは常盤村(合併で現在は藤崎町)の玄関口。なんだか、りんご娘.メンバーの地元探訪をしているわけじゃない(苦笑)。
 近くにはときわ温泉があるらしいので、次の列車まで1時間、できれば一浴を。場所を確認しようと駅前の観光案内図を見てみれば、真新しくキレイで、立派な案内図なのに感心。常盤村、頑張っているじゃないですか。朽ち果てかけていた浪岡駅前の案内図とは、えらい違いだ。ただ、可愛らしいイラストで描かれた地図は、デフォルメされすぎていて道がよくわからない…(^^;;
 とりあえず方向だけを確認して歩き始めるも、住宅街を抜け、広大な田園地帯(一面の雪原)に出てしまい…。こりゃ違うよなぁ。

常盤村案内図 北常盤駅前通り
【↑ 立派な案内図と駅周辺】

常盤村郊外
【↑ 駅からちょっと離れただけでこんな風景が…】

 迷いながらもときわ温泉に着いた頃には、列車の発車時刻まで30分に。
 津軽湯の沢駅まで送迎を頼んでいるし、その列車に乗り遅れると碇ヶ関からタクシー(相当かかるはず)を利用するしか足がない。天候は雪で、風が強く吹雪の様相でも。積雪と凍結の路面を大荷物で歩くことを考えると、入浴時間は10分程度になってしまいそうだ…。
 泣く泣く入浴を諦め、戻ることに。雪道でなく、手ぶらであれば、駅から10分もかからない距離でしょうね。

ときわ温泉 北常盤駅
【↑ (左)ときわ温泉 (右)北常盤駅】

 民間委託の北常盤駅は真新しい駅舎で、村のコミュニティプラザ《ぽっぽら》が併設されたもの。木造り(青森ヒバ?)の広いスペースに休憩ベンチ、テーブルが並び、図書館も兼ねている様子。小学生な静かな遊び場にもなっていて、中学生らしき女のコが一人で本を読んでいたりと、居心地や雰囲気がすごくいい。駅=喧噪の場でしかないふだんの生活を思うと、羨ましい限り。
 駅+コミュニティプラザといったスタイルは全国各地に誕生しているけれど、有意義に機能しているケースは少ないもの。その点、ここは成功例と言えるかも? 売店や駅そばも併設されているので、常盤村に敬意を表し、天ぷらそば+りんごジュースを頼んで昼食に。

そば&ジュース 常盤村産りんごジュース
【↑ (左)そば\350+ジュース\100 (右)りんごジュースは常盤村産。濃厚な味わいは、他のりんごジュースでは味わったことがないもの。おいしい☆】

乗車券(北常盤→津軽湯の沢)
【↑ こんなキップ、おそらく年に1枚も発行されないのでは!? 北常盤駅発行】

 再び列車に乗り込み、弘前を通り越し、津軽湯の沢で下車。
 この駅を利用するのは二度目。高架線上に作られたホームが仮駅のようなたたずまいなのは、相変わらず。
 ホームと地上の駅舎(単なる小屋)とはスノーシェルターのような階段で結ばれていて、駅舎の前はただの空き地。初めて訪れた際は、あまりに何もない“駅前”の光景に唖然とするかもしれない。周囲を見回しても、人家はまったく見えない。空き地から伸びる砂利道を登ればすぐに国道7号線なので、駅前の空間だけが、異次元の世界のように周囲から取り残されている感じ。
 今回は同じ列車からおばぁさんが一人降り、駅が利用されていることを確認できて何より(^^;;

 せっかくの機会なのでゆっくり駅を探検したかったのだけれど(笑)、既に送迎のクルマが待っていたため断念。。。

津軽湯の沢駅 津軽湯の沢駅前
【↑ 津軽湯の沢駅と、その駅前。まさに、何もない…】