旅にっき 【2005.07.30-08.02/徳島〜和歌山】 *PART3

 ココナッツJr.のイベントを見るため徳島へ。四国アイランドリーグの試合も見つつ、徳島〜和歌山をプチ旅。往復は青春18きっぷを利用。


 2005.08.01

 徳島→和歌山

この日の行程

 この日はジャパレン徳島営業所でレンタカーを借りて、県内を動く。
 ジャパレンでレンタカーを借りるのは初めて。特に意味はないのだけれど、ニッポンレンタカーが夏期料金で割高なこともあり、どんなものかと興味本位で借りてみたというのが正直なところ(^^;;
 朝9時半からの予約を頼むと、料金は当日朝からでいいので、クルマを前日のうちにホテルまで持ってくると言う。ここで、ホテルの名前を告げてもわからず、場所を説明するのに一苦労(^^;; また、クルマを持ってくる時間には羽ノ浦へ行っているので、ホテルのフロントに受け取りを頼めるかどうか確認するなど手間がかかる。
 ホテルの人によると、営業所員としては朝早めに出勤して準備をするよりも、前日の営業時間内にクルマをホテルへ持っていっておいたほうが楽…ということらしいです(苦笑)。「徳島の営業所はどこもそんなもんだ」と言われますた。。。
 ちなみに、徳島市内のレンタカー営業所はどこも繁華街にあり、ジャパレン営業所も昨日寄った阿波おどり会館のすぐ近く。つまり、徳島駅からもけっこう離れているんですよね。。各社とも駅との送迎はしているものの、ホテルへの送迎は基本的に不可(有料)。駅からも繁華街からも遠いホテルに宿泊していたため、どんな理由にせよクルマを持ってきてくれたのは有り難いですわ(^^;;
 あ、他の多くのホテルであれば繁華街に立地しているので、レンタカーを借りるのも便利なはず。

 そんなこんなで、朝9時過ぎには出発。
 駐車場に行ってみると、停められていたのはコルト。ひぇ〜、三菱かよ。火を噴かないだろーな(苦笑)。
 レンタカーでコルトに乗るのはこれで二度目。前回(別の場所&別レンタカー会社)も、車両運用の都合からか、実際の料金より1クラス上のクルマとして用意されたんですよねぇ。つまり、同クラスでは不人気車のため、下のクラスに便宜的に貸し出されることが多い?
 や、実際、返却時に営業所の職員と話していたところ、不人気車なことには間違いないらしいので…。フロントのピラー(特に右)が太すぎて、右前の視線に大きな死角ができちゃうんですよね…って、全くその通り。以前に乗ったときもそう思い、山道を走りまくった今回はなおさらそれを痛感したもので。。。はっきり言って欠陥車でしょう、これ。
 ま、何はともあれ出発。。。と、早速、問題が…。カーナビが動かない…。
 試行錯誤していると、サイドブレーキがかかっていないことが原因だと判明。うー、昨晩持ってきた際、いい加減に駐車したな。
 で、本体のタッチパネル操作はできるようになったものの、今度はリモコンが作動しない。おそらく電池切れだろーから、途中にコンビニで電池を買おうと出発したものの、市内中心部から徳島自動車道:徳島ICまでの国道11号線は3〜4車線が続き、なかなかコンビニに入れない(^^;; そうこうするうちインターに着いてしまい、そもまま高速へ。
 最初の休憩施設である上板SAで電池を購入、リモコンに入れてみると…問題なく動作♪ ったく、貸し出す前に動作確認してよね(苦笑)。ちなみに、返却時にこのことを伝えると、謝罪とともに電池代は現金で支払ってもらえまつた。

 朝食がまだだったので、阿波尾鶏の照り焼き丼なるものを食してみる。ふむ、なかなか良いお味? このSA(下り線)は、阿波尾鶏を使った各種メニューが名物になっているよう。ちなみに、同SA上り線では徳島ラーメンが名物なのだとか。

 しかし、この徳島自動車道。延々と片側一車線なんですよねぇ。途中で覆面パトに捕まっているクルマを見たこともあり、のんびり制限速度の80kmで走っていると、後ろから煽られまくるのなんの(苦笑)。うー、どこにオービスがあるのかも知らずに走っている“わ”ナンバーを煽るなー!! 追い越し車線のあるところでぶち抜かれつつ、一車線区間で気づくと後ろが大渋滞…の繰り返し(^^;; 疲れる。。。

 さて、最初の目的地は阿波町にある阿波の土柱。風雨に浸食された130万年前の砂岩層が、高さ10〜18メートルの柱状地層となってそそり立っているもの。(国の天然記念物)
 徳島自動車道を脇町ICで降り、山道をうねうねと走っていくと、“土柱”の看板が。ここか〜と入っていくと、土産物屋が数軒並んでいる路地で行き止まり。各店には“駐車無料”と表示された駐車場があるものの、土産を買う気もないし、公共の駐車場は…ガイドブックには町営駐車場があると記載されているのに…。入口にあった案内板には、“パーキング 東40メートル”。“東”って、どっちだよ! 初めて訪れる観光客が多い場所で、フツー方位で示しますかねぇ。左右で表示しなさいよ。
 うろうろしたものの町営駐車場の場所はわからず、おそるおそる(ひっそりとした)一件の土産物屋に入り、「あの〜、クルマは…」「どうぞどうぞ、無料ですから」…すいません、お言葉に甘えますわ。
 なお、町営駐車場は、土柱と後で立ち寄る土柱休養村温泉との中間点ぐらいの場所にありまつた。土柱まで遠いよ、ここ。数百メートルは歩かなきゃならないぞ。。
 で、土産物屋さんのおばちゃんとの会話に戻る。「土柱って、この先ですか?」「そうだけど、土砂崩れで一周できないよ」「@@@へ?」
 本来なら、土柱の周辺を遊歩道で一周できるよう整備されているのだけれど、昨年の台風で途中の道が崩れ、現在は土柱の中心・波濤獄(はとがたけ)を正面に望む休憩所までしか行けないとのこと。なるほど、人気がないわけだ(苦笑)。「遠いですか?」「すぐすぐ」とのお言葉通り、歩き出して5分も経たないうちに、終了〜(^^;; これが土柱なのか…と、自分に言い聞かせながら戻りまつた。


【↑(左)遊歩道入口 (右)これが波濤獄(…らしい)】


【↑(右)下に見える遊歩道が崩落してます…】
*台風21号/昨年9月、四国に大被害をもたらす。台風23号/昨年10月、西日本に大被害(舞鶴市での観光バス水没など)をもたらす。

 土柱からクルマで5分もかからないところにあるのが、土柱休養村温泉(管理:阿波町土柱自然休養村協会)。館内は広くて明るいものの、どこか寂れた感じがするのは古い公営施設ならでは?
 とは言え、平日の午前中なのでガラガラな浴場のほうは、総ガラス張りで明るくキレイ。細部まできちんと手入れされていて、なかなか気持ちのいい温泉でした。無人の露天風呂からは阿波町の街並みが一望でき、けっこうな開放感にの〜んびり。土柱をちょっと歩いただけで汗だくになる猛暑なので、お湯が気持ちいいっす♪
 湯は無色透明の硫化水素泉で、内湯より露天風呂のほうがやや濃いめな印象。いずれにしても、循環ろ過していそうな湯ではありますが。。。


 カーナビで郵便局を探しつつ、今度はつるぎ町(2005年3月1日、半田町・貞光町・一宇村が合併)の旧貞光町エリアへ向かう。
 吉野川沿いの雄大な景色を見ながら走る国道192号線は、なかなか良い雰囲気。でも、トラックが多いなぁ。徳島自動車道が閑散とした雰囲気だったのに比べ、こちらは交通量の多いこと。一車線で80km制限の高速道と、信号もほとんどなく平坦地で走りやすい国道を比較すれば、やっぱそうなるか(苦笑)。
 貞光郵便局で「うだつの街並みはどのへんですか?」と尋ねてみると、若い局員氏は「?」といった表情。「貞光のですか!?」と言うので「はい」。そりゃ、うだつの街並みと言えば脇町なことはわかってますが、そちらは昨年、訪れているので。
 観光客などほとんど来ないようで、局員氏も“どこらへん?”などと隣の局員と思案顔。参ったなこりゃ…と思っていると、そんなやりとりを見ていたおじいさんが、「庄屋屋敷のほうへ行けばいい」と場所を教えてくれました。お礼を言うと「ゆっくり見ていって下さい」と嬉しそうに答えてくれたのが印象的で。せっかくの文化財なのだから、もっと地元全体で盛り上げて欲しいところ。

 その庄屋屋敷とは、寛政3年(1791年)に建てられたとされる旧永井家庄屋屋敷のこと。母屋だけでなく蔵や別棟の寝所、屋敷内庭園までが完全に保存されているケースは、珍しいでしょうね。外観、内部とも保存状態も良く、訪れる人がほとんどいないようなのはもったいない感じ。無人の邸内をのんびりと散策させてもらいました。


【↑永井家 (右)寝所2階から母屋を望む】

【↑(左)寝所2階から屋敷庭園を望む (中)寝所 (右)寝所内は資料館も兼ねる】

 その永井家の周辺には、うだつの街並みが広がっている。現在も営業している商店がほとんどで、旧市街の商店街がそのままうだつの街並みになっている、といった風情ですね。観光地化・整備されてはいるもののどこか寂れた印象もあった脇町とは、明らかに趣が異なる感じ。うだつが残っている家屋こそ少ないものの、ごくフツーに生活感のある光景だからなのか、こちらのほうが生き生きとして見えたのも不思議。
 おそらく、脇町とは異なる二層うだつの重厚さに風格を感じたから…なのでしょうね。火除けのためのうだつがいつしか富の象徴として作られるようになった流れは同じでも、貞光のほうがよりその傾向が強く、独自の二層うだつが発達したのだそうです。


【↑屋根にうだつだけが突出して見えるほど重厚な作り】

 このうだつの街並みが広がる商店街は、旧一宇村とを結ぶ一宇街道(旧道)でもあるんですね。商家が軒を連ねる旧街道は、吉野川の海運と商業の街として開けたことを感じさせるもの。
 そんな旧街道は貞光郊外で現在の一宇街道(国道438号)と合流し、こちらもそのまま旧一宇村へと向かう。


【↑(左)旧一宇街道と国道438号との間にかかる沈下橋 (中)川の左岸が旧一宇街道、右岸の山肌に見えるのが現在の国道438号】

 しかし、この国道438号。。。剣山登山口(見の越)まで登り切ったところで合流する国道439号(祖谷村方面)とともに、四国で1、2位を争う“酷道”と呼ばれるだけあって、1車線ギリギリの車幅と急カーブ、勾配の連続。一部区間はバイパス的な整備が進んでいるものの、地形的にトンネルでぶち抜かない限りはどうしようもないだろうと思われる箇所も多く、“酷道”の噂通りだと妙に感心(^^;;
 そんなバイパスから旧道へと分岐し、郵便局のある端山集落にあるのが剣山木綿麻温泉。が、残念ながら月曜休館で入浴できず(T_T) しかし、“木綿麻”で“ゆうま”とは、読めないですよねぇ。

 このまましばらく旧国道を進み、現国道に合流して…って、これがまたすごい道。そりゃバイパスを作るよなぁ。。。路線バスは未だに旧道のほうを走っているわけで、こんなところでバスと対向したらすれ違えないじゃん…と思っていたら、本当にバス(四国交通/貞光〜剣橋:30&31系統)が来ました(T_T) 数十メートルほどバックして、ようやくすれ違えたものの…実はここから先、現国道に合流してからも、乗用車同志でもすれ違えないような道が延々続くとは思いもよらず…。

 旧貞光町から旧一宇村に入るあたりで、右手に現れるのが鳴滝への入口。落差85メートルの三段滝で、県下一の規模なのだそう。国道沿いの遊歩道入口から歩いていくと40分ほどかかるらしく、そこには“滝までクルマで行けます”との案内図が。それに従ってクルマを走らせると、トンネルの手前で“巨樹王国 一宇村”という看板のある分岐点に出る。
 国道から分かれて右手に進むと、すぐ土釜。岩が侵食されて出来た滝壷で、一の釜、二の釜、三の釜という三カ所の滝壺が奇勝を形成している(県指定天然記念物)。
 さらに狭い林道を進むと、崖っぷちにクルマが7〜8台駐車できるスペースが。トイレも設置され、近年、整備が進んだよう。よーやく着いた、滝はどこ? と思ったら、案内板が。実はまだ鳴滝の入口で、先ほどの“クルマで行けます”はここまでという意味らしい。


【↑(右)鳴滝駐車場の案内板】

 しかし、ここからが大変。ヒザがガクガク、息も絶え絶えになる急坂を、一気に階段で登らなければならない(T_T) 滝まで、時間的には15分ほどながら、最初の10分の急坂が辛いのなんの。その後はなだらかな山道になるので、楽ですが。。。帰りは急坂を転げ落ちそうになりまつた。。。“クルマで行けます”は、明らかに誇大広告でしょー(苦笑)。


【↑(左・中)延々と急階段が続く… (右)鳴滝。真夏で水量も少ないだけに、苦労して見に来る価値は…微妙(^^;;】


【↑土釜へは、車道から徒歩30秒(^^;; 駐車場がないため路駐することに】

 ここから先は、道がさらに狭く、急になり…けっこう疲れてきたところで、旧一宇村の中心地に到着。消防署と旧村役場らしき建物の隣には、(一宇村温泉保養センター)岩戸温泉岩戸荘が建っている。
 ここは露天風呂もない、ちょっとした岩風呂風情の内湯のみの温泉ながら、無色透明でやや鉱物臭のする湯はなかなかのもの、成分がかなり濃厚なようで、すぐ横の川へ流れ出す排出口はかなり変色している。湯温もやや熱めで、ここは間違いなく成分無調整(笑)の湯でしょうね。四国ではなかなか“いい湯”に巡り会わないだけに、ここは貴重かも。鳴滝登山(笑)でヘロヘロだったこともあり、すっかり長湯してしまいました。


【↑ここ以外は、数軒の集落が数カ所のみしかない旧一宇村。山と一宇川にはさまれた狭い平地に、道路と家が肩を寄せ合っている。
 この狭い路地のような道路が国道438号(^^;; 郵便局もGSも(旧)村内唯一で、ここから先は東祖谷村のはるか先までナシ】

 旧一宇村の中心を抜けると、道はさらに険しくなってくる。ところどころ改良工事が為されてはいるものの、1車線ギリギリの道幅で急カーブも続く。さらに、最後の集落の川又を過ぎると、あとは見通しの悪い連続ヘアピン&急勾配。これでもかというほどの山道で、これなら林道でももっとまともな道がたくさんありますねぇ。いやいや、恐るべし国道438号。ダテに“酷道”呼ばわりはされていないですね(^^;;
 そんな状況を写真に撮ろうとは思ったものの、運転するのに精一杯で余裕がないし(^^;; そもそも、ヘタなところにクルマを停めようものなら追突されるか、正面から突っ込まれかねないですからねー。走行台数こそ少ないものの、そうした難路を地元ナンバーのクルマが飛ばしまくってくるので。。。ここはヤバイな…と思われる箇所の多くでは、路面にブレーキ痕が黒々と残っている…。
 なわけで、比較的安全なところでしか写真は撮れず(^^;;


【↑地図では景勝地に指定される一宇狭。と言っても、谷底と仲良しな区間が延々と続くので、どこからどこまでが一宇狭なのかは不明(苦笑)。
 (左・中)その区間で唯一、案内のあったのが蛇巻岩・長峡谷猫戻り。断崖絶壁の地形のため、猫でさえ怯えて後戻りしたことからこの名がついたとか(^^;; この区間は道路改良されたらしく、2車線の真新しい路面が100メートルほど伸びる。案内板には“上方約50メートルのところに旧祖谷街道が…”って、ど、どこですか(驚愕)。 (右)道路左側は崖&谷】


【↑幅約1メートル、奥行約9メートルの巨岩洞穴、天の岩戸への遊歩道入口。日本書紀に登場する天の岩戸神話にちなんで、江戸時代上期より年に一度、神楽歌と能が奉納されていたという。一瞬、惹かれたものの、案内板をよく見ると“これより約2時間”…時間もないのでパス(^^;;
(左)国道483号沿いの四国交通/中ノ瀬バス停がすぐそば (右)遊歩道入口。渓谷&山中に分け入っていくよう】

 ただひたすらステアリングを握り(切り)続け、山をほぼ登り切ったところが、東祖谷村から西祖谷村へと続く国道439号と分岐する、見ノ越。ここから国道438号は旧木屋平村(現・美馬市)、神山町を経て徳島市内へと東進していく。
 こちらは、東祖谷村奥祖谷二重かずら橋を目指して、国道439号へと分け入って行く。有名なかずら橋があるのは西祖谷村で、奥祖谷二重かずら橋は(池田側から登ってくれば)それよりさらに30kmほど奥になる。一般的な観光ルートでは池田方面から往復するものを、その逆方向から目指したと。


【↑国道438号から見ノ越方面を望む。ちょうど雲のかかっている下あたりが見ノ越】

 しかし、この国道439号がまた、“分け入って行く”という表現が正しいほどの難路。このあたりまで来ると交通量もほとんどないからいいようなものの、尾根沿いから谷底を眺めながらの連続ヘアピン、極狭コーナーの連続で、絶えずステアリングをどちらかに切っているような状態。いやー、すごすぎ。国道438号、439号とも、四国有数の“酷道”であることを思い知らされまつた。
 正直、その“酷道”ぶりを体験してみたいという気持ちもあってここまで来たものの、いい加減に運転するのがイヤになってくる。こんな経験は初めてに近いなぁ(苦笑)。時間があれば奥祖谷二重かずら橋〜かずら橋〜池田のルートで帰ろうと思ったのだけれど、とてもじゃないが無理そうだ…。このルートは想像(実際の距離)よりもはるかに時間がかかることを痛感する。

 で、よーやく到達した奥祖谷二重かずら橋。時刻は既に15時30分。うーん。。。
 一宇から上の山間部にはまったく存在しない郵便局は、東祖谷村最奥の(こちらから見れば最近の)菅生集落までない。先に郵便局へ行って戻れば…急げば16時までに着けるかも…。
 と、橋を通過して一気に山道を下っていく。。。も、途中で橋の帰り道らしい観光バスに追いついてしまい、ノロノロノロ…車線幅ギリギリの酷道で、木の枝や突き出した岩にボディをこすりそうになるたび、最徐行。こんなルートを大型観光バスで来ること自体、無茶だってば。。これでは16時に間に合わない…と焦り始めたとき、今度は完全停止。なんだなんだと思ったら、道路改良工事のため時間規制通行止めだと。
 後で調べてみると、7月〜8月にかけてはほとんど連日、日中は時間規制で通行止めになる区間が何カ所もあるんですねぇ。そう言えば、東祖谷村のサイトで情報を見た覚えがあるものの、正確な場所までは把握していなかった…。しかも、通行可能になるのは1時間のうち15分だけで、残りの45分間は通行止めになってしまう。このときも、次の通行規制解除は16時〜16時15分。これでは間に合わない。泣く泣く菅生簡易郵便局での旅行貯金を諦め、奥祖谷二重かずら橋へ戻ることに。

 その奥祖谷二重かずら橋は、祖谷川の最上流部にかかるかずら橋で、800年ほど前に平家の落人が架設したのが始まりとされる。男橋(長さ42メートル、幅2メートル、高さ10メートル)と、少し小振りな女橋の二つがあり、いずれも駐車場から徒歩5分ほど。
 特に男橋は迫力十分で、おそるおそる渡ってみるも、かずらや板の隙間が大きくて、足のサイズの小さな人なら隙間にすっぽり足が入って(落ちて)しまいそう。。揺れは大したことないものの、つま先を踏み外さないよう慎重に…その隙間が橋の中間部分に行けば行くほど広がるもので、けっこうビビりまつた(^^;;
 ただ、橋の真ん中で周囲を見回すと、川の音と鳥の鳴き声以外は何の音もしない山間の静寂ぶりが感じられて、素直に感動しますね。


【↑(左)国道439号沿いの入口 (中)ここを下っていくと… (右)男橋、出現】


【↑(中・右)橋の中間点から両側を見下ろす】


【↑(中)自分の靴(27センチ)なら、隙間を踏んでもギリギリ、つま先と踵が板に乗っかる (右)下から見るとこんな感じ】


【↑渡りきった反対側から】


【↑女橋。男橋を渡った後では、高さも低く何てことない感じ(^^;; (右)奥上にかすかに見えるのが男橋】

 また、女橋の上流には、やぐらに乗って、自分でロープを引きながら川を渡る野猿という乗り物も。乗ってみようかと思うも、やぐらは川の中間点に止まったまま。よいしょよいしょとロープを引っ張り、やぐらをたどり寄せ、ロープを押さえながら(手を離すと惰性で川の中間点=最も低い部分まで滑っていってしまう)乗り込み、またよいしょよいしょとロープを引きながら対岸へ。なかなか面白いけれど、けっこうシンドイなぁ。。降りて手を離すと、やぐらは再び、ガラガラガラ〜と川の中間点へ。どちら岸から乗るにもやぐらを引き寄せなければならないのだから、ある意味、公平ですね(^^;;

 とまぁ、それこそ観光バスの団体さんとでも遭遇していたら興醒めでしょーが、夕方で観光客もいない、無人の川でひとしきり遊ばせてもらいました。もっとも、野猿に乗りながら、途中で動けなくなったら誰も助けてくれないなぁ…などと思ったりも。。。橋への遊歩道の入口、入場券売り場で一人受付をしているおばちゃんは、閉門時に見回って帰るのだろうか。。。

 さぁ、時刻も17時近く、後は一気に徳島市内へ戻るだけ。徳島港を20時発の南海フェリーに乗りたいので、急がねば。。。
 ルートは以下の三通り。

 カーナビは(2)のルートを示すものの、これは単なる最短距離。あの酷道を延々と100km近くも走るのは…時間に余裕があってドライブを楽しむならともかく。かと言って、(1)ルートでまたあの国道438号を下る…のも気乗りしない。試しに、かずら橋受付のおばちゃんに尋ねてみる。
「そら、見ノ越から貞光に出て高速に乗るのがいい。道も一番いいから。池田経由? 池田までで2時間かかるよ」
 そ、そうなのかーー。ここは東祖谷村でも最奥に近い場所。文化圏では西祖谷村池田町と繋がっていると思っていたのだけれど、ここまで奥地に来ると、むしろつるぎ町(貞光)との繋がりのほうが深いよう。
 そもそも、“道が一番いい”!? あれで!?
 とにかく、池田経由は時間がかかりすぎることがわかったので、見ノ越へと国道439号を戻る。見ノ越では、数軒の集落の中で唯一開いていた土産物屋に入って再度、尋ねてみる。が、やはり答は同じ。“道が一番いい”のも、やはり貞光方面だそう。ううむ。。。

 てなわけで、一気に国道438号を下っていく。行きにはあれほど苦労した連続ヘアピン&極狭コーナー、ガードレールのない区間も多いギリギリ一車線道幅(落ちれば谷底)を、攻めまくる(苦笑)。攻めたくはないけれど…。途中で追いついた県外ナンバーのクルマやバイクは、えらい奴がかっ飛んできたなと、すぐに道を譲ってくれる。でも、地元のクルマには追いていくのがやっと。
 しかも、さすがに酷道にも(クルマにも)慣れたのか、意外に楽に走り抜けられる。最悪の区間は道路改良されていることもわかってきて、うーん、なるほど、確かに“一番いい道”かもしれない。。。
 ただ、ここで悩まされたのが、コルトのフロント右ピラー。ホント、山道では腹が立つほど右前方に死角ができてしまう。身体を左側に傾けて、右前方をのぞき込むような運転姿勢を強いられるんだもの。最低。

 思いの外、速いペースで貞光まで下った後は、美馬ICから徳島自動車道に乗り、一路、徳島市内へ。通行量は行きよりもずっと少なく、途中で追いついた軽自動車の80〜90kmペースに合わせて巡航。高速を降りてから徳島市内の渋滞につかまったものの、19時20分過ぎには営業所に到着。
 ただ、この時間ではもう、徳島駅からの徳島市営バス:南海フェリー行(19:05→19:24)には間に合わない。駅までの送迎は無料でも、港や空港までは有料(\1,000)送迎と聞いていたので、\1,000を払って送ってもらうことに。実は、あらかじめ上板SAから電話を入れてお願いしておいたのです。タクシーだと\1,500程度らしいので、それよりは安いと。
 送迎は、ここまで乗ってきたクルマでそのまま。徳島県内には営業所が1カ所しかなく、営業範囲が広くて大変な話や、市内の自転車の多さに驚いた話などをするうち、裏道を使ってフェリーターミナルまでは10分ちょい。余裕で間に合いました。ただ、渋滞すると20〜30分かかることもあるそうなので、油断は禁物かと。
 そう、徳島市内では自転車の多さに驚いたんですよね。市内交通が不便なためクルマが必需品、短距離なら自転車、というのが当たり前なのだそう。実際に市内を回っていても、徒歩の人と自転車の割合が1:9ぐらいに感じられたもので。

 フェリーターミナルはこじんまりとしたもので、1階が券売所&ゲームセンター(笑)、2階が待合室&乗船口になっている。待っている人(つまり徒歩客)は意外に多く、20人弱。乗船が始まったのは出航10分前を切ってからで、いたってのんびりムードなんですね〜。これなら、19:40→19:55のバスでも間に合ったかも。。。
 乗船時に走る人がいるのは、フェリーの定番なんでしょーか(^^;; よく見ると、真っ先に乗船した人は奥の区画に寝ころび、枕を使っている。なるほど、数少ない枕をゲットするためには走る必要があるわけだ。
 しばらくするとクルマの乗客が入ってきて、一瞬、賑やかに。そちらも20名程度だったか、それほど広くはない2等船室で、適度に1区画1〜5人といった乗船具合。この時間帯の便にしては、予想以上の乗客数かも? まぁ、次の便は徳島港発22時→和歌山港着24時になってしまうので、一般客にとってはこの便が最終便なのでしょう。
 しかし、さすがに疲れましたねぇ。2等船室のカーペットに寝転んだ途端に意識が朦朧としてきて、和歌山港到着まで寝てました。昨夜はあまり寝付けず、寝不足のまま丸一日、運転していたからなぁ。おかげで、乗った船の名前すらわからず(苦笑)。


【↑(左・中)徳島港 (右)和歌山港駅ホームから和歌山港フェリーターミナルを望む】

 和歌山港に到着し、下船口から通路を歩いていくと、そのまま南海和歌山港線の和歌山港駅改札口に。乗り換えは便利ですねー。5分もあれば乗り換え可能かと。
 が、改札口を通った徒歩客は自分の他に1人だけ(^^;; 皆さん、真っ暗な駅の外に消えていきましたが…クルマやバイクを置いてあるのかしらん? 単純に和歌山市内と徳島を行き来する乗客のほうが、関西−徳島連絡客よりも多い感じ。
 うーん、これでは、和歌山港線内の途中駅が(11月27日で)全て廃止になるのも頷けますねぇ。この路線自体、フェリー連絡がなければ廃止だろうし、そのフェリー連絡客もこの有様では…。わずか数名の乗客を乗せ、急行なんば行は静かに和歌山港駅を出発するのでした。


【↑(左)夜の駅名標はノスタルジック… (中)フラッシュオンではフツーに(^^;; (右)今はなき(部分廃止された路線)、水軒方面】

【↑(左・中)和歌山港駅】

 なお、和歌山市駅からは通勤客なのか、けっこうな乗客がありましたね。いっぽう、下車したのは自分一人(^^;; うーん。。。


【↑和歌山市駅 (右)駅名標の隣駅表記が、既に和歌山港に…】

 ホテルにインした後、遅い夕食を取りに外に出る。
 と言っても23時近くになって開いている店は限られ、フロントで教えられたラーメン店:バスラーメンに行ってみる。と、その名の通り、バスを利用した大型屋台ラーメン店でした(^^;; “○栄”という別名称もあるらしいです。
 味のほうは、東京で知られる和歌山ラーメンとは一風異なる、キリッとした味わいの醤油ラーメン。見た目はあっさり風なのに、その塩味&生醤油がなんとも濃厚で、他では味わったことのないスープでしたねぇ。最初はキツイ味かなと思えたものが、食べているうちに不思議とマイルドになっていき、ついには最後の一滴まで飲み干してしまう…かなりウマいラーメンでした。
 テーブルには鯖の押し寿司が置いてあり、一つ\150ぐらい(価格失念)で食べられる仕組み。これがいわゆるバッテラとは違い、地元では“早寿し”、“早なれ寿し”、“あせ巻寿し”などと呼ばれているらしい。その名の通り、作ってすぐに食べるものだそうで、寝かせてから食べたほうがおいしいバッテラとは異なる食文化ですねー。バッテラよりやや固いものの、鯖が薄くスライスされているため食べやすい。
「これ、何ですか〜?」と店主のオッチャンに尋ねると、「なれ寿し言うてな、鯖の寿しや。和歌山だけやから、大阪では食べんやろうなぁ。うまいから食べてみ?」とのお答え。明らかに初めてな、地元客じゃない雰囲気だったので、大阪から来たと勘違いされたよう(^^;;
 後で調べてみると、和歌山のラーメン店では、これをラーメンと一緒に食べる習慣があるそうな。また、今回は食べなかったけれど、地元では“ニヌキ”と呼ばれるゆで卵も置いてあって、早寿し同様、ラーメンと一緒に(出来上がりを待つ間に?)食べる習慣らしい。ふぅーん。。
 さらに、古いバス車体を利用したラーメン店も和歌山の名物なのだとか(驚)。なわけで、まったく予備知識のないまま、和歌山ラーメンの実態を一挙に体験しちゃったわけです(^^;; ガイドブックに載っているような店じゃないし、どうせフツーの屋台ラーメンだろう…と、写真を撮らずに食べてしまったことを大後悔。。。
 うーん、和歌山ラーメン、奥が深そうだ。。

*参考リンク バスラーメン和歌山ラーメンツアー


 ワカヤマ第一富士ホテル

 この日の宿泊は、和歌山市駅から徒歩5分もかからない、ワカヤマ第一富士ホテル。駅前広場からまっすぐ前に歩き始めると、すぐにホテルの電光表示が見えてくるので、かなりわかりやすい立地ですね。
 部屋は、ごく一般的なビジネスホテル・シングルのレベルからすれば、やや上級感ありといったところ。全ての面で過不足はまったくなく、安心して利用できるホテルですね。とりたてて何も書くことがないのは、それだけいいホテルだということでしょう(^^;;
 ロビーやフロント周りも広くて快適で、朝のチェックアウト時には無料コーヒーも。空室が少なそうだった(20台ほど停められそうな駐車場はほぼ満車)のもうなづけるところで、リピーター客も多いのでしょう。
 ただ、そのせいか、貸し自転車が満車(!!)で借りられなかったのは残念。貸し自転車(傷害保険付き/有料\100)のあることが、このホテルにした大きな要因だったのに…。てか、ホテルの貸し自転車が満車だなんて、聞いたことないぞー。まぁ、2台しかないそうなので仕方ないのかもしれませんが、そんなに好評なら台数を増やして欲しいところ。
 その自転車で、翌日は和歌山城、和歌山港線の途中各駅巡りをしようかと思っていたのに…。