小倉→東京 関門海峡を…歩く?
この日は、近年整備が続く関門海峡エリアを観光してみることに。
関門海峡は鉄道で何度も越えて(潜って)いるものの、それ以外の手段で渡るのは初めて。
小倉からJRで門司港へ。まずは有名な駅構内0kmポスト(門司港駅は九州鉄道発祥の地)などを眺めつつ、駅自体が観光スポット化している様子を見て回る。国の重要文化財にも指定されている駅舎は大正3年の建築で、ヨーロッパの駅をモデルにしたネオルネッサンス風・木造2階建て構造が特徴的。貴賓室があった2階部分は資料展示館として解放され、入場は自由(入口は改札外なので入場券がなくともOK)。
【↑ ホーム脇には実際の0kmポストと、腕木式信号機や動輪をモチーフにした0マイル記念ポストが】
【↑ (左)駅構内の待合室。切符売場も同様に重厚な門構え (右)貴賓室。廊下から覗けるだけで立入禁止】
【↑ (右)夜間は駅舎全体がライトアップされる】
門司港駅から徒歩数分、今年8月9日にオープンしたばかりなのが九州鉄道記念館。
九州の鉄道発祥の地を記念して建てられた施設で、旧門司港機関区だった余剰地の一部を利用している。現・門司港運転区の留置線とも接していて、留置された最新車両の隣にC59型1号機、9600型59634号機、EF10型、キハ07型、クハ481型、クハネ581型などが展示されている光景は、別世界に迷い込んだような雰囲気(^^;;
583系も今や“展示車両”なのかと思うと、ちと感慨深げ。機関車以外は車内も見学できるので入ってみると、クハネ581は両端がロングシート化された改造車(廃車時はクハ715)で物悲しい。できればオリジナルの現存車両を保存して欲しかったところ。クロスシート部分は座席時だけでなく、下段寝台をセットした状態も再現。どうせなら中上段もセットしておけばわかりやすいのでは?
キハ07は開館直後に車内が荒らされ、一時は内部見学不可になっていたようですが、このときはキレイに修復されていました。せっかくの車内展示なので、安泰な状況が続くことを願います。
【↑ キハ07 41の運転台、車内】
【↑ (左)旧・上山田線の大隈駅備品 (右)本館】
車両に隣接する本館(資料展示館)は、明治24年に建てられた九州鉄道本社屋を再利用したもの。赤レンガ造りで風情のある建物。
展示内容に目新しさはないものの、今はなき寝台特急・ブルートレインのヘッドマーク(実物)展示は嬉しいような、悲しいような…。
811系運転台を設置した運転シミュレーターや、九州の鉄道路線をモチーフにしたHOゲージのジオラマなども設置され、実際の人気はこれらがいちばんかも? キハ58系から《つばめ》、《ソニック》、九州新幹線などが走り回る光景に、子供たちは大喜び。夜間の設定では美しくライトアップまでされ、かなり手が込んでいます。
欲を言えばもうちょっとマニアックな(本格的な)展示内容にしてもらえると、鉄分が濃いめの大人にも嬉しいんですけれどね(^^;; やや物足りなさは感じるものの、よくできた施設だと言えるのでは。
鉄道記念館を堪能した後は、徒歩5分ほどの門司港レトロへ。観光用に再開発されたエリアで、明治大正時代に建築された建物が保存展示される様は趣も十分。隣接するベイエリアとともにお洒落な雰囲気に満ちていて、なるほどいい感じ。大々的に宣伝しているだけのことはあります。もっと人工的な、ガチャガチャと落ち着かない雰囲気を想像してたのですが、いたってのんびり、静かに過ごせる場所でした。
保存建築物には団体客があふれているので、近づく際にはタイミングを見計らって。。。門司港駅にもひっきりなしに団体客が訪れていましたが、ワイワイガヤガヤ、大して興味もないのに大騒ぎしながら見てまわる団体客って、何なんだろう…。あーゆー形でしか“観光”できないのも、ある意味、不幸ですよね。。
【↑ (左)門司港レトロ展望室のあるレトロハイマートと旧門司税関。 (右)旧門司税関】
門司港レトロにあるJOYiNT門司港ではレンタサイクルを貸し出しているので、ここからはチャリ移動。全車が電動自転車なので楽そうかな…というのはもちろん、電動自転車自体に興味津々だったもので(^^;; これなら関門海峡国道(人道)トンネルも通れるぞ。1時間100円という料金も格安で嬉しい。
電動自転車はどれも新車に近いもので、整備も完璧。実際に乗ってみると…うーん、確かに楽だ♪ 高速道路の関門橋を見上げ、対岸の下関市街を眺めながら、観潮遊歩道をのんびり走行。変速多段ギアのおかげで、関門海底国道トンネルへの急坂もスイスイと登れてしまう。快適なサイクリングでした。トンネル入口まで行くバスは日に数本しかなく、かと言って歩くには遠いだけに、レンタサイクル利用は正解でしたね。
関門海底国道トンネルは二層構造で、上部が車道、下部が人(自転車・原付)道。地上からはエレベーターで降りる仕組み。エレベーターに自転車を乗せるというギミックも、何だか楽しいぞ(笑)。でも、トンネル内は自転車走行不可。なだらかな傾斜でも、距離があるだけに押して歩くのはけっこう辛い。。。一長一短ですね。
歩いている人の多さは、ちょっと予想外。誰もいない、シンとした雰囲気を想像していただけに、賑やかすぎて拍子抜けでした。大半が観光客風で、「歩いて関門海峡を渡る」面白さには観光要素も十分と言うことでしょうか。トンネルの中央部付近には白線が引かれていて、そこが山口・福岡の県境。映画『チルソクの夏』の1シーンを思い出しました。
ちなみに、自転車の通行料はたったの20円。人間はもっと安くて、無料! 料金は下関側出入り口に設置された料金箱に入れる、自主規制タイプ(笑)。とは言え完全無人なわけではなく、エレベーターから自転車を押して出てきた際、管理人室(?)からの熱視線を感じました(^^;; そのまま走り去っても追いかけてはこないでしょうが、ちゃんと20円支払いましたよ。
【↑ (左)観潮遊歩道から見た関門橋 (右)真下から見るとこんな感じ】
【↑ (左)関門海底国道トンネル(人道)門司側入口 (右)入口から海底トンネルへのエレベーター】
【↑ (左)トンネルに入ると… (右)福岡・山口県境】
【↑ (左)トンネル内設置の緊急時用インターホン (右)下関側入口】
トンネルを出た下関側入口には、国道9号の道の駅が併設。門司港側ののんびりムードとは一変して、クルマや人が多くざわついた雰囲気。交通不便な門司港側とは対照的に、下関駅とを結ぶバスも頻繁に走っている。
国道を挟んだ目の前には【みもすそ川公園】が設けられ、攘夷戦争で長州藩が外国船に発砲した砲台跡も近い。レプリカの大砲が一門、展示されているだけですが。公園から関門海峡を眺めたあたりが源平壇ノ浦合戦の古戦場跡だそうで、しばし海を眺める。でも、海の古戦場跡は陸地のそれ以上に現実味が感じられない。。。
【↑ (右)みもすそ川公園から見た壇ノ浦古戦場跡 (右)長州藩が発砲した大砲のレプリカ】
もう少し静かな雰囲気であれば、印象も異なるのだろうか? 国道9号を走るクルマの騒音がすごく、どうにも落ち着かない。国道の狭い歩道を走って、とっとと唐戸方面へ脱出しましょ。歴史的な建造物(日清講和記念館、旧下関英国領事館、南部町郵便局、旧秋田商会ビル)を、一通り見学してみたいので。
【↑ 日清講話記念館 (右)日新講和条約締結会議で使用された調度品】
【↑ 旧下関英国領事館】
【↑(左)明治33年建造の現役最古の郵便局舎、下関南部町郵便局 (右)旧・秋田商会ビル】