熊本→東京 熊本県内北部の石橋巡り
熊本へ来たからには、熊本城。小学生の頃の家族旅行で見て以来、ご無沙汰。。。熊本には何度か来ているのに、特別休館日だったり、台風で予定が狂うなどして、再訪できずにいるもので。
今度こそと城入口まで行ってみると、周辺は駐車場まで修学旅行生だらけ。見渡す限り生徒の列、列、列…。とてもじゃないがまともに見学できそうにはないので、諦めました。どうにも縁がないですねぇ(悲)。昨日訪れた柳川も、その前日は修学旅行生でいっぱいだったとか。一人のんびり旅に、この時期の修学旅行は天敵だなぁ(苦笑)。
気を取り直してレンタカーを借り、熊本郊外の矢部町、砥用町、東陽村などに点在する石橋巡りをすることに。9月に九州を訪れた際も大分・熊本県境エリアでいくつかの石橋を見ていて、そのときから「石橋巡りを一度してみたい」と思っていたんですよね。
などという説明は、東陽村:石匠館の詳しい解説から抜粋要約したもの。石橋についての資料館的な施設はここだけのようなので、まずは寄り道してみました。資料館は村営施設で、村を挙げて石橋を観光スポットに…という意気込みも感じますね。
外観は石造りの立派なもので、館内には石橋や石工についての資料、模型やCGを使っての石橋の造り方などが細かく展示解説されています。ここを訪れれば、どんな素人でも石橋について一通りの知識を得られるはず。小学生の社会科見学向けに作られた施設だろうなどと、侮っちゃいけません。大人が見学しても、なかなかのものですから。
もっとも、その対象が地味なせいか、来館者はほとんどいない様子。この日の入館客も、どうやら自分だけ…。受付奥では、近所のボランティアらしいおばちゃん達がおしゃべりに夢中でした。。
この東陽村にも小規模ながら多くの石橋が残っていて、石匠館から周辺の石橋を巡る遊歩道が整備されています。歩いてみると解説板なども充実していて、感心させられます。こちらも小学生の社会科見学をベースに作られたのでしょうが、村に残る文化を子供達に伝えていこうする姿勢も好印象ですね。
【↑ 鍛冶屋自然石橋(1895年:明治28年) (右)この案内板が各橋に設置されている】
【↑ (左)鍛冶屋上橋(1804年:文化元年) (右)鍛冶屋中橋(1804年:文化元年)】
【↑ 既に崩壊し、自然に戻りつつある大久保自然石橋(1895年:明治28年)と、その周辺】
【↑ (左)東陽村の東陽郵便局も石造り】
次に訪れた砥用町も、石橋が多いところ。小さな橋にまで橋名を記す看板が建てられ、町のホームページでそれぞれの特徴が解説されているなど、観光資産として石橋を重要視する姿勢が伺えます。ただ、橋の袂に立つ案内板があるところと、ないところがあるのは残念。小さな橋にも案内板を建てて欲しいなぁ。
見て回ったのは馬門橋、霊台橋、大窪橋、舞鹿野田橋の4箇所。
馬門橋は、すぐ上に国道の橋が架かっているため思いっきり日陰。。うっそうとした森&渓谷に架かる石橋は、橋としての機能を終えて久しい様子。俗世間から忘れ去られた雰囲気が、何とも言えない哀愁を漂わせています。
同様に、すぐ隣の国道の立派な橋が架かる霊台橋。こちらは巨大かつ高さもあるアーチ橋のため、新しい国道橋よりも立派に見えてしまうのが面白い。単一アーチ橋としては国内最大級のものだとか。現在は歩行者のみ通行可。
田畑の中に突然現れる大窪橋は、規模は小さいながらも自然なアーチ型が美しい。
やはり田畑の片隅にひっそりとたたずむ舞鹿野田橋では、子供達が釣りをしていました。のどかな光景に癒されますね〜。あぜ道に架けられた小さな橋が、今も昔も住民の生活の一部なことを感じさせられました。一般的な観光客は霊台橋や隣町:矢部町の通潤橋を見るだけで満足なのでしょうが、この大窪橋や舞鹿野田橋のように、無名な小橋にこそ石橋の歴史が感じられるのでは。
【↑ 馬門橋(1828年:文政11年)】
【↑ 橋の案内板は、馬門橋が昭和58年、大窪橋が平成11年に設置とバラバラ】
【↑ (左)大窪橋(1849年:嘉永2年) (右)舞鹿野田(もうかんだ)橋(約120年前)】
【↑ 霊台橋(1847年:弘化4年)】
観光スポットとしても知られる矢部町の通潤橋は、他の石橋が道路橋であるのとは違い、新田開発のための水路橋として造られたもの。大規模な水路橋として日本最大で、世界的にも有名なのだとか。橋の中には通水管が埋め込まれ、橋の上部が人や荷車が通るための道路橋として併用される構造は、大型橋ならでは。
橋の中央部には放水用の通水口が開いていて、年に数回、通水管のゴミを取り除くために放水される。観光用に放水する機会もあるそうですが、農業に影響のない時期に限られ、予約も必要とのこと。
【↑ 通潤橋(1854年:安政元年) (右)橋の上部】
丸一日かけての橋巡りをした後は、砥用町の佐俣温泉にのんびり浸かる。
訪れた元湯・佐俣の湯は、かつて町営の公衆浴場だった施設を、平成13年から民間経営で再スタートさせたもの。すぐ近く(川を挟んで反対側)に大規模な温泉施設:石段の郷・佐俣の湯があるものの、湯を濾過(循環?)しているらそうなのでパス。こちらの元湯は、源泉掛け流し(加熱)ですから。道を尋ねたおばぁさんは「お風呂が大きいから」と石段の郷に通うらしいけれど、「湯は元湯のほうがいいって言うねぇ」とも。。。
で、なるほどその湯は素晴らしい! 浸かった瞬間はフツーの湯なのに、すぐにヌルッとした感触を感じ、肌がツルツルになっていく。ヌルッと感が強すぎず弱すぎず、めっちゃいい感じ♪ 泉質はアルカリ性単純温泉。洗い場の蛇口も全て源泉利用という贅沢さで、湯量も豊富なんでしょうね。
奥には広い露天風呂もあって、石造りの浴槽+檜の枠組みという立派なもの。内湯もそこそこの広さだし、この湯で入浴料300円は安い! 別の家族風呂(複数)も別料金で使えるので、地元の人はそちらを多く利用するそうです。おかげで、夕方〜夜の混雑時間帯にもかかわらず内湯も露天風呂もガラガラ。大風呂に行きたい人は石段の湯のほうを利用するでしょうしね。
【↑ 場所がちょっとわかりにくいけれど、国道沿いの看板が目印。金物屋があり、その奥に温泉がある】
【↑ (左)内湯 (右)露天風呂】
温泉でのんびりしたところで、そろそろ時間切れ。最終の羽田便に乗るため、熊本空港へ向かわなければ。
松橋ICから九州自動車道に乗り、益城熊本空港ICで降りる。レンタカーにはカーナビがあるので、道に迷うこともなく。知らない土地での観光には不可欠のアイテムですね。でも、自分のクルマに付けるかどうかは…また別の話(^^;;