旅にっき 【2003.07.19-22/宮崎】

 2003.07.22

この日の行程

 宮崎→吉松

 3連休も明け、ようやく郵便局も開く平日(^^;;
 宮崎からただ帰るだけでは能がないので、かねてから念願だった肥薩線・大畑ループ経由で帰ることにする。
 当然、青春18キップ利用。

 宮崎市内では、宮崎駅からもっとも近い宮崎中央郵便局、南宮崎駅そば・宮交シティ内郵便局の2局に寄ることにし、ついでに宮崎中央郵便局では不要な荷物も送り返す。というプランは良かったものの、宮崎中央郵便局での貯金窓口対応の遅いことと言ったら…。各地の郵政局(現・支社)の顔でもある“中央郵便局”で、これだけモタモタしている窓口は初めてだぞ(怒)。
 おかげで予定していた南宮崎1011発・田野行(6939M)に乗れず、宮交バスセンターから田野行バスに乗ることに。

 
【↑ 南宮崎まで一駅間だけ乗車した713系。《サンシャイン》の愛称で、宮崎空港へのアクセス快速に運用される。車内は宮崎エリアの普通列車では唯一の転換クロスシート、豪華仕様】

 田野に向かう目的は、田野郵便局での旅行貯金。前日(休日)に《ふるさと祭》で訪れていることもあり、やはり足跡を記しておきたいので。郵便局は駅から役場に向かう途中で、局の場所がわかっていると楽なんだよなぁ(^^;;

旅行貯金について

 しかし、この4日間で宮崎交通バスには5回乗ったけれど、時間通りに来たことは一度もなし。必ず10分以上の遅延ですからねぇ。地元の人はそれを見越してバス停に来るようで、遅れが慢性化している模様。
 また、**・××方面と書かれた時刻表を見ても、各便の行き先が明記されていないのは困りもの。区間運用も多く、田野・**方面と書かれたバス停に来たバスも田野止まり。それより先に行きたい人にとっては、不親切極まりない時刻表だと思うのですが…。まぁ、田野まで乗り通した乗客は自分だけだったように、大半は区間利用者なのでしょうが…。

 田野からは1105発・都城行(6943M)に乗車。相変わらずの475系3両編成。各ボックスに乗客1組ずつの乗車率で、ほどよい感じ?
 のどかな田園風景の中を走っていた列車は、田野から次の青井岳までは山越えとなり、車窓も一変する。列車速度もガクッと落ち、峠を実感させる雰囲気ですね。その谷間にチラッと見えた新築の建物が、国民宿舎・青井岳荘を改装した総合交流活性化センター(山之口町営)、青井岳温泉でしょーか。駅からは徒歩10分強ぐらいに見えましたが、残念ながら今回は時間がなく、そのまま都城へ。

 都城は中心街が西都城駅周辺となり、都城駅周辺はやや町外れといった感じらしい。さらに都城郵便局はどちらの駅からも離れたところにあるため、都城駅から近い都城北原郵便局へと向かう。徒歩5分弱。って、いつもの悪いパターンで郵便局巡りと化してきているぞ(^^;;


【↑ 南国ムードあふれる都城駅】

 都城での旅行貯金も無事に済ませ、元気に都城駅に戻ったところ、事態は急転直下の状況を見せ始める…。
 驚愕。
 改札口に「吉松−人吉間は運休」と書かれた黒板が…。
 えぇ!? 今朝、JR九州のサイトを見たときには何も書いてなかったぞ。改札口氏に尋ねてみても「よくわからない」の一点張りで、さっぱり要領を得ない。吉都線の吉松行き2927Dの発車は迫っているし、とりあえず行ってみるしかないか。。。
 どうにもダメなら、えびの駅からそれほど遠くないと思われるえびのICから、高速バスに乗るつもりで。

 列車はキハ40の単行。座席はほぼ埋まっているものの、一駅毎に乗客は減っていく。
 高崎新田で多くの下車客がありガラガラになったものの、小林市エリアに入ると乗客が増え始め、小林駅のホームにはあふれんばかりの高校生軍団が…。この日は終業式? 車内はアッという間に一杯となり、女のコが「座るとこないよー」と悲しそう。
 その後、えびのまでは各駅とも乗り降りほぼ同数でそのまんま。小林、えびの両市の生活路線だけに、単行での運行は辛いんじゃないの?
 小林を過ぎてしばらく、車窓右手には小林西高校が。甲子園を沸かせたのも今は昔、最近は私立の野球校に押されて出てこられないですねぇ…。小林と西小林(駅間距離6.2キロ)の中間ぐらいに見えましたが、駅から遠いし、バス通学なのかしらん?
 そんな大混雑列車も、宮崎県最後の駅・京町温泉でガラガラに。高校生集団が県境を越えないのは、当然ですね。
 車内を見回すと、自分を含めて乗客はわずか2人。うーん、輸送密度の差がおそろしく極端な路線だなぁ。


 吉松→八代   肥薩線が運休…列車代行タクシーに乗車

 さて、問題の吉松に到着するも、改札口に人吉方面への案内はなく。吉都線車内での案内もなし。
 おそるおそる駅員氏に尋ねてみると…

土砂崩れがあってねぇ、今日はダメだな」
「どこまで? 人吉? じゃぁタクシー代行があるから。列車と同じ時間に出るから、改札口に来て」
「(人吉まで)1時間ぐらいだよ。列車より速いから」

 へーい。
 利用者から問い合わせがない限り、運休や代行案内はしないらしい。一般乗客の輸送手段としては、まったく無視されている路線(区間)のようで(苦笑)。まぁでも代行タクシーが出るのか。いちおう公共交通機関なんだから、そうなるわな。

 
【↑ 吉松駅】

 
【↑ (左)構内には、運休の人吉行《しんぺい》用キハ31が留置 (右)温泉マークが無数に並ぶ案内板】

 駅前の観光案内板(地図)には温泉マークがいくつも書き込まれ、いくつかは駅から近そう。吉松温泉に関してはいろいろな源泉があるようで、ガイドブックを見てもどこが何なのか釈然としなかったのだけれど…ま、まずは郵便局へ(苦笑)。
 駅前の一本道をとことこ歩くと、川内川にかかる大きな橋を渡り、対岸の国道に出る。郵便局も町役場もこの国道沿いで、いずれも真新しい建物なんですね。駅周辺の、時代に取り残されたように静まり返った古い街並みとは恐ろしく対照的で。。。
 かつて駅を中心に栄えた町が、鉄道の衰退とともに国道沿いに中心が移ったという、典型的なパターンでしょうか。さらにその間に川があるため、川向こうとこちら側ではまったく違う街並みが形成されているよう。
 郵便局巡りをしていると、嫌でも街歩きをすることになるんですね。その結果、その街の発展具合や歴史などが知らず知らずにわかってしまうという面白さもあったりして。

 
【↑ (右)街中で見かけた九州限定ジョージアの自動販売機】

 では、今度は温泉に…と、駅に戻りつつ温泉を探してみるも、これがいっこうに見つからない。案内図の温泉マークと思われる場所をいくつかたどってみたけれど、なーんもなし。気温は30度を超える猛暑の中、汗だくだわ頭はボーッとしてくるわで、仕方なく駅に戻ることに。
 後で代行タクシーの運ちゃんに聞いたところ、駅前のショッピングセンター(と看板には書かれているものの、どうひいき目に見てもただの雑貨屋)内に誰でも入れる温泉があるそうな。店の前は何度か通ったけれど、そんなことどこにも書いてなかったし…。観光客など滅多に訪れることもなく、地元の人向けならば案内も必要もないのは確かですが。
 昔は交通(鉄道)の要衝として賑わった町も、今や高速道路や幹線国道から見放され、余所から訪れる人もほとんどいないのか…。そう思うと、ちょっと寂しくなったりも。

 駅舎内には冷房の効いた待合室があり、肥薩線を撮影した写真の展示室も兼ねている。畳が敷いてあり居心地もよく、写真を眺めながら時を過ごすには絶好(笑)。と言うか、ヘロヘロバテバテで畳に寝転がっていたんですが(苦笑)。
 吉都線や肥薩線(隼人側)の列車が到着しても、誰も降りてこないし、乗らないし…。

 

 唯一、人の動きがあったのは、一日2便(7時台と14時台)、大口とを結ぶ南国バスが発着したときだけ。バスからは数人の高校生が降りてきて、列車に乗るのかな〜と思ったら、駅に止めてある自転車や迎えのクルマに乗り、どこかへ消えてしまいました。鉄道の立場、ないです。
 後になって思えば、このバスで粟野まで行き、肥薩線列車で戻っても良かったんだよなぁ。バテバテで思考回路が働いてないし(^^;;

 しばらく冷房で涼んだせいかちょっとだけ元気も出てきたので、駅隣の公園(ただの空き地)に展示されたSL、C55を見に行ってみる。
 かつてのSLブームの頃、C55はもっとも好きな機関車だったんですね。ここに展示されるC5552号機も、九州内の筑豊本線や肥薩線、吉都線を走る勇姿を(写真で)よく見たもの。あれだけ写真が多い=運用が多かったということは、現役時代からかなり状態の良いカマだったのでしょう。現在の保存状態も(外観は)すこぶる良好なので、矢岳駅に保存されていた58654(現・あそBOY牽引機)のように、復活運転を願ってみたり。。。

 
 
【↑ 大型屋根のおかげか保存状態は良好。運転室が立ち入り禁止なのも、その一因?】

C55 52  (案内板より)
 昭和12年3月14日製造。同年3月25日に小郡機関区に配属後、糸崎→鳥栖→大分→宮崎→若松→吉松→鹿児島機関区を経て、昭和50年1月1日に第一種使用休止指定。同年1月14日に吉松機関区へ無人回送。

 さて、お待ちかね(なわけないじゃん)の代行タクシー。
 先ほどの駅員氏いわく「ちょっと待ってて、もう一人いるから」。おぉ、他にも乗客がいるのか!?
 何度も駅内放送で促され、しまいには駅員に引っ張られるようにやってきたのは、真幸まで帰るという、おばぁちゃん。本来なら吉松1525発・人吉行《しんぺい》(1242D)に接続する、吉都線の列車で来たようだ。駅員氏との会話によると、今は病院からの帰りで、行きは病院のクルマが迎えに来てくれたため、列車運休のことは知らなかったらしい。
 と、駅員氏が…

「どこまで? なに、真幸ぃ!? そりゃダメだ、帰る手段は自分で考えてよ」

 おいおい、そうなのか? 列車代行なんだから、途中の各駅に寄って当然じゃん。
 おばぁちゃんも譲らない。そりゃそうだ。いきなり、列車は運休だから勝手にどうにかして帰れ、と言われても困るわな。すったもんだしたあげく、おばぁちゃんと二人、タクシーに乗り込むことに。

 吉松から真幸駅へ向かう道は、クルマがすれ違えないような細〜い道。田んぼの中を延々走り、いきなり広くて立派な道路に出たと思ったら、すぐにデコボコの砂利道へ突入。急坂を一気に登ると、そこが駅だった。周辺は草ぼうぼうの荒れ地で、どこに人家があるのかさっぱりわからん。何もない丘陵地に、忽然と駅が現れたという印象。
 と、ここでタクシーの運ちゃんが、おばぁちゃんにタクシー料金のことを言い始める。真幸駅に寄ったせいで人吉まで行く人の料金も上がったから…って、おい! 運賃(と言っても青春18きっぷだけれど…)とは別に料金を支払うのか!? それでは“列車代行”にならないじゃん!
 ここでまた、すったもんだ。おばぁちゃんはJRのキップを運ちゃんに渡し、怒ったまま降りていく。結局、運ちゃんが無線で会社に問い合わせ、料金は全てJR負担ということに落ち着いたけれど…なんだかなぁ。

 せっかく真幸駅に寄れたのだからと、写真を撮らせてもらう。運ちゃんの機嫌が悪そうなので、そそくさと、パッパッと駅舎だけ。ホントは、駅構内に入って撮りたかったんだけどなぁ…。ホームに立つ有名な幸せの鐘が、チラッとだけ見えた…。
 ちなみに、おばぁちゃんは駅舎に入り、そのままホームの向こうへと消えて行きました。駅の反対側には人家があるのかしらん。

 

 タクシーは、先ほどの広い道を元の方向へと戻っていく。んー? さらに走り、えらく賑やかな街並みに入り、ここはどこだ!? と思ったら…“京町温泉”の文字が目に入る。へ? 人吉とは逆方向に走ってないか?
 そう、吉松から肥薩線の途中駅沿いに人吉方面へ向かう道路は、存在しないんですね。いったん京町方面、えびの市内に入り、えびのIC近くから山越えしていく国道221号線を走るそうな。
 ちなみに、こちらもループ線。「あの山をループで越えていくんだよ」と指さされた前方には、巨大な山地が広がっている。あぁ、人吉は遥か山向こうなのね…と実感させられました。

 立派な国道がループしながら高度を上げ、山越えしていく様は、ドライブルートとしては快適なもの。よくもまぁこんな道を切り開いたものだと感心しつつ、よくもまぁ鉄道を敷いたものだ、とも思えてしまう。
 交通量がけっこう多いのにも驚き。しかも県外ナンバーが多い。ん? 吉松は鹿児島県姶良郡、真幸は宮崎県えびの市、矢岳と大畑は熊本県人吉市だから…どのナンバーが県内or県外なのか、わかりません(笑)。
 肥薩線の路線上では真幸だけが宮崎県の飛び地のように見えるけれど、一駅ごとに県が変わる県境エリアですからね。先ほどのおばぁちゃんのように、真幸に住んでいて、同じ宮崎県・えびの市内まで出かけるのは当たり前のこと。なのに、わざわざ鹿児島県側の吉松に立ち寄らなければ列車を乗り継ぐこともできないのだから、吉松から真幸へ行くことが邪道かのように扱う駅員氏に怒るのは当然でしょう。

 ちなみに、真幸駅へ向かう途中に通った広くて立派な道路。後に地図で調べると、えびの市中心部と鹿児島県大口とを結ぶ国道447号線なんですね。真幸とえびの市とのアクセスは、クルマでなら便利なわけです。もっとも、交通量は皆無に等しかったですが…。

 タクシーはループ、トンネルの連続する区間を快走! 真幸への寄り道ロスを取り戻そうと、かなーり飛ばしている様子(^^;; 運ちゃんが不機嫌だったのは、本来の1242Dに接続する人吉1706発・八代(1244D)に間に合わせなければならないから、だったんですね。えびのIC−人吉IC間を高速に乗れば早いし間違いない…と言われたけれど、高速代はJR負担ではなく自腹とのことなので、当然パス。
 長い加久藤トンネルの中間点が峠のサミット。トンネル内で“熊本県”の電光表示を見た後は、一気に山を下っていく。巨大な人吉ループ橋も加速しながらぐいぐい下り(苦笑)、疾走また疾走と思ったら…いきなり減速。何事かと思えば、ねずみ捕りの名所なんだとか。なるほど、捕まえやすそうな場所だわ。
 一気に下って平地に出てくると、大畑集落の案内板が。予想外に開けた、街並みも賑やかな集落には驚かされました。大畑駅は延々と無人の山道をたどった彼方、山奥にあるわけで、写真で見る大畑駅周辺の風情と大畑集落とは、まったく別の世界だと思ったほうが良さそう。かつて、道路が未整備で鉄道だけが頼りだった時代、ここに住む人たちは苦労したことでしょうね…。

 そんな大畑に比べ、お隣の矢岳駅はさらに交通の便が悪い場所。
 熊本県と宮崎県との県境に位置し、人吉側から入るには、大口方面へ向かう国道267号線から分岐する林道(いちおう舗装してあるらしい)を、延々15キロもたどらなければならない。隣の大畑駅とを結ぶルートはなく、その先、宮崎県側の真幸に抜けるルートもなし。地図上ではえびの方面への細い線が描かれているものの、おそらく車の通れない山道か、獣道と化していると思われる。
 また、えびの−人吉を結ぶ国道221号からも、矢岳へのアクセス路はなし。
 つまり、鉄道の駅に沿って吉松から人吉へ走ろうとすると、吉松→真幸→えびの→人吉→矢岳→人吉→大畑→人吉、という無茶苦茶なルートをたどらざるを得ないんですねぇ。道理で、「代行タクシーは人吉直行客のみ」とJR側が突っぱねるわけだ。
 鉄道は矢岳トンネルで一気に県境越えをしてしまうため、大畑〜真幸間を区間利用するなら鉄道のほうがはるかに便利…って、そんな利用者はいませんね(苦笑)。

 てなことを思いつつ、代行タクシーは約1時間で人吉駅に到着。
 真幸に寄らなければ、40分ほどで着いたはず?
 車内から垣間見た人吉市内は、球磨川を中心に広がる美しい街並みが印象的。城下町らしい風情も感じられ、時間のあるときに再訪したいと思わせるに十分でした。温泉もあるしね(^^;;

 なお、人吉駅の改札にはちゃんと「運休のお知らせ」が貼り紙され、「吉松へ行かれる方は改札口までおいで下さい」とも書かれていました。
 こちらもやはり、吉松へ直行する乗客のみ、タクシー代行させるのでしょう。

 
【↑ 人吉駅 (右)改札口には運休の貼り紙が】

 
【↑ (左)JR駅舎の右側に隣接する、くま川鉄道(旧・国鉄湯前線)の乗り場】
【↑ (右)駅前の九州産交バス停時刻表。大畑へは1日6本(下田代行)の運行が。そこから先、吉松方面へはナシ】

肥薩線
 *吉松−人吉
 ループ線とスイッチバックで名高い大畑駅、標高536.9mにまで登った高原の頂上にある矢岳駅、スイッチバックとホームに立つ幸せの鐘が有名な真幸駅と、風情のある古い駅舎、ホームが残存する3駅を通る、風光明媚な山岳路線として人気が高い。
 真岳−真幸間は、旧国鉄時代、日本三大車窓の一つとして車窓の素晴らしさも売りにされていた。晴天ならば、遠く桜島や開聞岳まで望める日もあるらしい。
 三大車窓の他2ヶ所は、篠ノ井線・姨捨駅周辺と、根室本線・新得−落合間の狩勝峠(新線切り替えで廃止)。

 *人吉−八代
 球磨川から離れることなく川沿いを走る、人吉−吉松間の山岳路線とは趣を180度変える景勝路線。
 海戸石−鎌瀬間で球磨川を渡るため、人吉から下流の鎌瀬付近までは列車の進行右側に球磨川が沿い、鎌瀬→八代間は逆の進行左側となる。急流に削られた崖っぷちを走る路線なので、反対側に座ってしまうとひたすら崖の壁しか見えない(苦笑)。

 *歴史  当時、熊本と鹿児島を結ぶ路線計画には、人吉経由の山手線、水俣経由の海岸線の二案があった。直線的に鹿児島と宮崎両方からの縦貫線であることと、国防上、海岸からの艦砲射撃を避けることができること、九州が本州から孤立した場合、自給可能なのは山深い人吉盆地なこと、といった理由から、現・肥薩線である山手線の着工が優先された。

*参照リンク:肥薩線利用促進存続期成会

 人吉からの1244Dは、キハ31の単行。ワンマン。
 車内は高校生や用務客などで半分ほどの乗車率。

 

 車窓から球磨川を見ると、前日までの集中豪雨で水量はかなり増水しているよう。水の色も茶色がかった緑青色。川沿いギリギリまで樹木が繁っているんだなぁ…と思いながらよく見ると、どの木も枝葉が川面に流されている。根元から半分以上が水面下にあるんですね。。。
 観光客に人気の球磨川下りも、この日はお休みらしく船が見えず。これだけ増水していては、無理でしょうねぇ。
 対岸には国道が沿って走るものの、新しく作られた道路らしく、トンネルや山腹を強引にループしていく部分も多く見える。
 いっぽう、列車は川(崖)にへばりつくように走り続けるので、車窓は列車からのほうが数段上? 鉄道は明治時代の建設だけに、当時の工事技術ではどんなに曲がりくねろうが、ひたすら川に沿って線路を敷くしかなかったはず。相当の難工事だったでしょうね。
 しかし、これほど延々と川沿いに走り、対岸の国道がずっと見えたまま(つまり国道と鉄道とは絶えず球磨川を挟んで反対側を走る)という路線も珍しいのでは。
 また、線路と球磨川の間には細い道が走り、この3者の位置関係が変わらないまま、終点、河口の八代付近まで続いていく。この細い道が、かつて八代−人吉を結んでいた街道(旧道)なのでしょうか。大型車などとても通れない、細く曲がりくねった道だけに、当時は水運と鉄道が生活の頼りだったことがうかがえます。

 途中駅での乗降も少ないまま、球磨川の流れに見とれるまま、呆けたような感覚になったところで八代着。


 八代→東京   JR九州の危機管理能力に呆れる

 乗り換えた八代発1822・熊本行(6354M)は、ロングシートの815系。いきなり現実に引き戻される(苦笑)。
 この815系って嫌いなんですよねぇ。シートの出来が悪いのか、30分も乗っているとお尻が痛くなってくるし、ロングシートの1人分が区分けされていて座りにくいんだもの。地元の人は皆1人おきに座っているけれど、中にはその整列(?)を乱して、2人分空けて座る輩もいる。そうすると座れる人数が減り、どこかで隣同士、身体を寄せ合って座る部分ができてくると。このビミョーな間隔が、何とも言えず居心地悪く。

 熊本からは特急《つばめ22号》に30分だけ乗車し、大牟田で下車。特急料金+運賃で\1,500なり。この区間だけ特急でつながないと福岡空港発の最終便に間に合わないため、いわゆるワープ(苦笑)。
 が、そのつばめ《つばめ22号》が4分遅れで熊本に到着し、遅れを取り戻しそうな気配もない。大牟田では乗り継ぎに2分しかないので、車内精算がてら車掌に確認をすると、接続しているので大丈夫とのこと。大牟田到着前にも車内放送で乗り継ぎ案内があり、一安心。。。
 と…。大牟田で降りると、ホームの案内放送が「(乗り継ぐ予定の)19時32分発の門司港行きは運休です。次の門司港行きは50分遅れの予定で…」と告げている。は!? 何が起こってる!? と思っている間に、乗ってきた《つばめ22号》はドアは閉め、発車してしまった。

 慌てて改札口へ駆け込む。1932発2352Mに乗らなきゃ、福岡空港発の最終便に間に合わないじゃん!
 駅員氏によると、どこだかで架線故障があり、ダイヤが大幅に乱れているとか。
 そんなこと、《つばめ22号》の車掌は一言も言わなかったし、熊本駅でも八代駅でも案内は一切なかったじゃん! こっちは遅れが気になって、わざわざ車掌に運行状況を確認までしているのに。大牟田−博多間の特急料金+運賃をケチろうとしたのは確かだけど、ダイヤが乱れているなら、そのまま博多まで乗り通すつもりだったので。
 どうやら、ダイヤの乱れに対応するのに手一杯で、各駅や列車内にまで情報が行き届いてないらしい。断片的に入ってくる情報にしても錯綜していて、博多方面への詳しい運行状況がわからない。
 肥薩線の運休といい、JR九州の情報伝達は一体どうなってる!? ほんの3日前には、長崎本線で特急《かもめ》が横転事故を起こしたばかりじゃん。指令中枢に危機管理能力が欠如しているんじゃないの?
 とにかく事情を説明すると、特例で後続の特急《有明54号》に便宜乗車させてくれると言う。また、鳥栖までの乗客も同様に便宜乗車させるらしい。この辺は大牟田など各駅の判断によるものらしく、できる限り乗客に不便がないよう対応する、現場の姿勢は好印象でした。

 ただ、その《有明54号》にしても、果たして定時運行されるのか…。
 大牟田は何とか2分遅れで発車したものの、案の定、途中からはスローダウンを繰り返し、二日市を通過後は信号停車、ノロノロ、停車の連続。ダイヤの乱れから博多駅構内に列車が詰まり、後続列車が先に進めないという状況らしい。
 また、この《有明54号》の車掌が、遅れやダイヤの乱れについて何の車内放送もしないのだから恐れ入る。停車駅が近づくと、テープの到着案内を流すだけ。車内の乗客からは、時計を見ながら明らかに苛立っている雰囲気が伝わってくる…。
 結局、博多では12分遅れに。到着は21時10分。
 列車が博多駅ホームに進入し始めたところで、ようやく(初めて)肉声での車内放送が。それも、「定刻より9分遅れで到着です」との一言だけ。お詫びの言葉も一切なし。そもそも、9分じゃなく12分遅れだろーが。もうダメダメ。
 ドアが開くとともにダッシュし、改札口を駆け抜け、地下鉄ホームへ突っ走る。荷物がなくて良かった…。
 ホームへ降りると、21:13分発の電車が入線してくる。これなら何とかなりそう? 21:22発の次発なら、確実にアウトだった…。

 地下鉄が福岡空港駅に到着すると、再びダッシュ。
 空港ロビーへ向かう通路、動く歩道は恐ろしいほどの無人(苦笑)。かなーり不安(T_T)
 エスカレーターを駆け上がり、これまた人気のない搭乗受付カウンターへ走る…。
 げ。自動チェックイン機の電源が全て落ちてるじゃん! 慌ててカウンターに向かうと、「搭乗手続きは離陸15分前に終了です」と冷たく言い放つJALのねーちゃん。んなことわかっとるわぃ! と息巻くと、隣のカウンターの(ちょっと可愛い)女のコが、優しく受け付けてくれた。JRダイヤの乱れは知っているようだし、搭乗が間に合うなら、ごちゃごちゃ言う前に受け付けてくれ!
 で、またまた手荷物チェック、搭乗口まで走る走る。一緒に走ってくれる(ちょっと可愛い)女のコは、ハイヒールなのでかわいそう。こちらを動く歩道に誘導し、自分は通路を走っていく。しっかり教育されてますね。100点あげます。
 なわけで、無事、定刻に離陸。そう、別にフライトを遅らせたわけじゃないのだ。ぷんぷん。

 ふぅ。羽田に着きました。この時間の京急は混むので、モノレールに乗って浜松町へ。
 さぁ山手線へ…と。改札口付近の雰囲気が異様。
 ま、またですかぁ(T_T)

「田町−品川間で人身事故のため、山手線と京浜東北線は運転を見合わせております」

 の、呪われてるよぉ(T_T)