郵便貯金の通帳冊数制限

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 現在、郵便貯金の(貯蓄型ではない通常貯金の)通帳を2冊、持っています。いわゆる総合口座ぱるると、国際ボランティア貯金です。
 郵便貯金は一名義人につき通帳を1冊しか所有できない決まりですが、特例として、国際ボランティア貯金の通帳は別にもう1冊、作ることができたんですね。そう、以前は。
 国際ボランティア貯金とは、20~100%まで任意に選択した利子を、民間海外援助事業団体に自動寄付する貯金のこと。通常の郵便貯金とは根本的に仕組みが違うので、通帳が別個に作れるのは当たり前だと思っていました。国際ボランティア貯金の通帳は旅行貯金に(説明はこちら)、通常郵便貯金の通帳は一般的な利用にと、使い分けていたのですが。

 時期を少し遡った、11月のこと。
 地元の郵便局から突然、「通帳を2つ持ってるのは郵便貯金法に違反してるぞ、ごるぁ」という内容の親書が届いたわけです。もちろん、実際の文面はそんな脅迫めいたものではありませんが。
 はぁ?
 と思いつつ、忙しさにかまけていると、12月に入り再度の通告が。「何なんだよ…」と、郵便局に問い合わせてみれば。
 なんと、「今年春から、通常貯金と国際ボランティア貯金で通帳を2つ持つことはできなくなったので、1つに統合して下さい」とのこと。
 はぁぁ??
 電話口では、局員氏が申し訳なさそうに「民営化のことも絡んでまして…」と。そう決まったのであれば致し方ないとはいえ、ちょっとおかしくない? 利子をどうするかは「通帳を統合した段階で任意に決めて下さい」とのことですが、通常利用の口座から利子を寄付する人が多いとも思えず、国際ボランティア貯金の主旨を否定しかねないのでは。
 そもそも、「郵貯から民間海外援助事業団体への寄付なんかするんじゃねーよ」と言われているようで、何やら腹立たしい。

 郵貯ラリー協会(国際ボランティア貯金ラリーの実施団体)サイトによると、以下のような事情らしい。

  • 2005年4月から通常郵便貯金総則規定が改定され、国際ボランティア貯金への加入の有無にかかわらず、2冊目通帳は交付しないこととされた。
  • これに伴う移行措置として、従前からの区分ごとに所持していた通帳については、「平成18年3月31日まで従前の規定を適用する」という規定の附則が定められた。
  • 郵貯ラリー協会としては、この改定は根幹に関わる問題であり、ボランティア貯金加入の有無による通帳の区分についての存続を求め、日本郵政公社に要望を重ねてきた。
  • その結果、当初は今年度一杯とされていた移行期間について、「当分の間」と改める旨の回答が出た。

 この通達は各郵便局に掲示されたとのことですが、んなもん、まったく気づきませんでした。ここ1~2年は旅のペースが極端に落ち、旅行貯金をする機会が激減していたこともあって。
 国際ボランティア貯金ラリーの「ラリー」(貯金した局数を競い、商品などが貰える)には以前から興味がなく、あくまで旅の記録として「旅行貯金」をしてきたわけですが、この規則改定が「ラリー」だけなく「国際ボランティア貯金」そのものの根底に関わるという点では、同感ですね。
 おそらく、上記の「当分の間の猶予期間」が終わり、11月から利用者に対して通告を送りつけるようになったという経緯ですかね。もちろん、各郵便局の担当者が勝手にやっていることではなく、郵政公社から「利用者に通告するように」とお達しが出たのでしょう。

 旅行貯金とは、通帳に局のゴム印が捺印されることで意味を持つんですよね。通常利用の通帳と統合したなら、送金やら出入金の記録と局のゴム印が混在し、すぐに通帳の記載欄が一杯になってしまう。何より、見栄えが悪い(苦笑)。旅の記録や想い出にも、ならないでしょ。
 趣味の範疇を貯金に持ち込む旅行貯金が、グレーゾーン的なものだとは、当初から思っていました。国際ボランティア貯金の通帳を所有すること自体、郵便貯金法に定められた貯金限度額1000万円を超える可能性もある、特例だったわけですし。「貯金は生活や仕事上の口座として使え」と言われれば、「おっしゃる通りです」。
 でも、ここまで広く普及してきた旅行貯金を、無視するような改定も寂しい。全国津々浦々に郵便局が存在する郵便貯金だからこそ、広まった趣味なのに。
 その全国津々浦々に、大赤字確実な郵便局が数多く存在すること自体、民営化の弊害になるのでしょう。旅行貯金のような趣味者のおかげで、業務が煩雑化されても困ると。民営化後は郵便貯金法が廃止され、郵便貯金は株式会社ゆうちょ銀行と名称変更されるそうですから、銀行並みのクールな対応になるのも当然ですか。

 とりあえず、当面は旅行貯金を続けるつもりでいます。
 なので今後、郵便貯金を通常生活での口座としては利用しません。旅行貯金専用にします。

2006.12.29、追記

 国際ボランティア貯金自体、2007年10月の郵政民営化とともに廃止されるのですね。
 まったく知りませんでしたわ。口座所有者に対して、連絡義務などはないのでしょうか。
 郵政公社いわく、「NGOの活動支援と知名度向上に貢献した」ことが表向きの廃止理由らしい…。

関連記事
  • 今年度寄付金、10倍の6億円=民営化で廃止のボランティア貯金−郵政公社  (2006.12.29/時事通信)
    (旧リンク先=http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061228-00000174-jij-bus_all)

さらに追記

 その後、「通帳は1冊しか持てない」云々の話は、うやむやに。
 いつの間にか、「一人で何冊の通帳を所有しても(複数の口座を開設しても)OK」になっていました。
 利用者に対する通帳統合の通告も、全国一律ではなかったようです。関東郵政局の管内では概ね通告された模様ですが、例えば東北郵政局エリアでは通告などなく、複数の通帳を所有していても問題なかったとか。各郵政局によって、異なる対応だったんですね。
 なわけで、関東郵政局管内の利用者がバカを見たのは確か。ひどい話ですわ。

コメント

  1. 流星 より:

    こんばんは。私の娘名義にも文書来ました。ホームページから問い合わせたところ、この規程をご覧下さいとのことでインターネットでここに巡り会いました。結局当分の間が過ぎたということですか。国際ボランティア貯金自体、2007年10月の郵政民営化とともに廃止されること。民営化後は郵便貯金法が廃止されること。なにをいまさら冊数制限する必要があるのでしょう。国際ボランティア貯金をしているわたしたちに何の連絡もなく、ポスター等の掲示だけで勝手に規程を改定できるというなんて利用者を無視した郵便局でしょう。あきれてものがいえません。こんな郵便局を利用してきた私は裏切られたきもちです。私だけでなく、おかしいと思っている方がいて、うれしく思いました。

  2. 流星 より:

    メールの回答いただきました。・・・当分の間というのは、具体的に期間が定められたものではございませんので
    ご了承ください。また、17年4月の通常郵便貯金総則規程の改正について
    は、窓口においてチラシ等によりお知らせをさせていただきましたが、すべ
    てのお客さまお1人お1人に通知はしておりません。

    同じ種類の通常郵便貯金通帳を2冊以上お持ちのお客さまには、ご利用され
    ていない通常郵便貯金通帳があれば1冊にまとめていただくようお願いして
    いますが、解約は強制しておりません。ご協力をお願いいたします。・・・解約しないつもりです。お知らせまで。

  3. reibo(管理人) より:

    コメントありがとうございます。
    まったく「何を今さら」ですね。
    昨秋の段階では、民営化とともに郵便貯金法がどうなるのかがわかりませんでしたし、同法の廃止によって通帳の冊数制限が撤廃されるなど思いもよりませんでした。
    今になって通達が来たなら、「知るか、んなもん」と無視しているでしょうが。。。
    少なくとも昨秋の段階では、「貯金法違反です」と明記された通達でしたからね。「強制ではない」どころか、半ば脅迫めいた内容で。
    残念ながらその通知は捨ててしまって手元にないのですが、東京貯金事務センターからのものでした。
    どうも、各地方の貯金事務センターによって、こうした通達をい「いつ」「どういった内容で」送っているかがマチマチなようで、それにも疑問を感じざるを得ませんね。未だに通達を受け取っていない方も全国には数多くいらっしゃるようなので。

  4. 流星 より:

    コメントありがとうございました。ずいぶん前なので、私の書き込みも載るかどうかわかりませんでしたが、とりあえずreiboさんには、届き安心しました。

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