奥多摩へ。日原・大増鍾乳洞

[Travel] Diary

 この日は所要で、午前中から奥多摩の御嶽へ。

 吊り橋 御嶽渓谷
 【↑ こんな吊り橋を渡って、渓谷へ】

 午後からは身体が空いたので、ここまで来てすぐ帰るのも何だし、奥多摩湖方面へ向かってみる。まったくのノープラン、気まぐれなので、奥多摩駅を過ぎたところで日原鍾乳洞へ向かう日原街道に入ってみる。
 奥多摩には鍾乳洞がいくつかあり、WEBでいろいろ調べたこともあるのだけれど、こうして気まぐれで行ってみようかと思った際には…どこがどうだったのかすっかり忘れてます(^^;; とりあえず、もっともメジャーな日原鍾乳洞へ行ってみようかと。

 しかし、さすが好天の日曜日。途中から舗装林道並みの激狭山道舗装路となるこの日原街道に、ファミリーカーが次々と現れる。見るからに危なっかそうな運転のクルマも多く、いやいや…。おそらく週末だけなのでしょう、山肌と深い谷に挟まれて待避所がない区間では、係員が通行を止め、相互通行を行っていました。あそこで対向車と出くわすと、数十メートルはバックする必要があるからなぁ。
 途中、大増鍾乳洞という看板を見かけたけれど、まずは日原鍾乳洞を目指す。
 山を登り詰めた最奥の集落、日原を抜けると、道はいよいよ、山肌にへばりつくような細道に。歩いている人が何組もいたけれど、歩行者をよけられないぐらいの細道なので、運転するほいもイヤだけれど、歩いている人はもっと怖いに違いない。路肩は即・谷底だし。
 おそらく奥多摩駅からの路線バス(西東京バス)の終点・東日原から歩いてきた人なんでしょうね。東日原には鍾乳洞まで約2kmの表示があったけれど、あの急勾配と細山道を考えると、実際には5km以上歩く感覚じゃないかなぁ。遊歩道のような道ならともかく、あれは辛いと思う。あとで時刻表を見てみると、平日は路線バスが日原鍾乳洞まで入るのに、土日祝日は東日原止まりなんですね。なんでや? と思ったけれど、あの山道に一般車が殺到している状況を考えると、とてもじゃないがバスは入れないということなんでしょう。
 さらに進むと管理小屋のようなものが現れ、係員が駐車料金を徴収。3時間500円。いい料金ですなぁ。しかし、どこに停めるんだ…「200メートルほど進むと広い駐車場がありますから」と言われ、進んでみると、ありました。道のなくなる突き当たりが広場のようになっていて、30〜40台程度のクルマがビッシリ。この山奥で駐車場が満車になっている光景は、やっぱりヘンだ。

 日原鍾乳洞 日原鍾乳洞2

 日原鍾乳洞3 日原鍾乳洞4

 階段を谷底まで降りると、そこが日原鍾乳洞の入口。が、人がいるわいるわの数珠つなぎ状態。洞内に入れば入ったで、狭い部分、急傾斜の縦穴に無理矢理つけた鉄階段などが何カ所もあるため、その度に歩行者渋滞が起きてしまう。何だかなぁ。
 それでも、鍾乳洞自体が素晴らしければ文句はないのですが。。。関東最大と言われる洞内は広いものの、正直、ピンと来なかったですねぇ。素人なので感覚的なものですが、「生きてない鍾乳洞」とでも言うか。全国各地を旅していて、鍾乳洞の看板を見かけるとついつい立ち寄ってしまうぐらい好きは好きなので、どうしても他と比較してしまうのですが。。。はっきり言って、つまらない。ただの洞窟探検ごっこなんですけれど。
 したたり落ちる水滴が音を奏でる“水琴窟”なんて、いかにも人工的な演出ですし。というか、地下水による浸食を実感できる場所がどこにもないんですよね。すべてが風化しきっていて。
 と、かなり興醒めなままに退洞。
 入場料600円と合わせて1,100円を出してまで、また人の少ない平日に来たいとは…思わなかったですね。

 再び山道を下っていく帰りがけ、行きに見かけた大増鍾乳洞へも立ち寄ってみることに。
 日原鍾乳洞に落胆した直後だし、「白さ抜群の乳白色」、「めずらしいいろいろな鍾乳石が真の当たりに!」という看板の謳い文句には半信半疑なものの、せっかく通り道にあるのだし。てか、“真の当たりに”じゃなく“目の当たり”じゃない? 他のクルマは、そんな看板には目もくれず通過していきます。
 「50メートル先に駐車場あり」とのことで少し進むと、5台も停めれば一杯になってしまう、崖っぷちにへばりつくような空き地が。ここ? と思いながら、廃車放置され赤錆びたシルビアの前にクルマを停める。
 看板の立つ入口から20メートルほど坂を登ると、何やらフツーのお兄さんが出迎えてくれます。看板を眺め、写真を撮り、クルマを停めてやってきたので、待ち構えられていた感じ(笑)。「不在の場合はブザーを押して下さい」などと書かれていたので、常駐しているわけではないよう。鍾乳洞自体がすぐ隣のお宅(民宿:大増山荘)の私有地で、そこの方が受け付け案内をしてくれるシステムらしい。
 入場料を払おうとすると、開口一番「数十メートルの狭い鍾乳洞ですけれどいいですか?」と尋ねられる。は、はぁ…。何でも、見終わってから「狭い!」と怒る客がいるそうで。。。
 入場料400円を手渡すと、物置小屋のような建物の中の、地面に置かれた覆いというか、蓋を開けてくれる。や、まさに蓋なんですよ、ホントに。鍾乳洞は地下にあって、落とし穴の蓋を開けるとそこが入口、という感じ。このギミックだけで、正直、期待感が高まる(^^;;

 大増鍾乳洞 大増鍾乳洞
 【↑ 入口は、日原へ向かう路線バス:大沢バス停のすぐ隣。大沢集落にある大増鍾乳洞なので、地名と名称を間違えやすい(^^;;】

 入口から手作り感あふれる洞内は、人ひとり通るのがやっとの狭さ。立つと頭をぶつけるので、お兄さんの後について、背を丸めながら入り込んでいく。急勾配部には手すりがあたり、水が溜まっている通路には板が敷かれていたりと、洞内の環境を壊さない程度の整備はされています。
 なお、入洞する前には、鍾乳石に手を触れないよう注意されます。手を触れると鍾乳石が風化し、黒ずんでしまうそうなので。実際には白い鍾乳石がある部分は金網で覆われ、触れられないようにはなっていますが。
 そう、白いのです。あんなに白い、“生きている”鍾乳石の数々を、ほんの数十センチの距離で目の当たりにできる鍾乳洞なんて、初めての経験でした。カマボコ型に広がった鍾乳石、内部が空洞化した細い筒状の鍾乳管(ストロー)が連なっている光景には、けっこう感動します。学術的にも貴重なものらしく、お兄さんの解説に「ふんふん、ほぉ…」と頷くばかり。圧倒されるという規模ではないけれど、見とれてしまう感じですね。表の看板は偽りじゃなかった。
 お兄さんに勧められるまま触っても良い(既に風化した)鍾乳石を手で叩いてみると、「カンカン、コンコン」と金属のような甲高い音がする。持ってみると意外に重たくて驚かされる。という実体験をした後、「鍾乳石の“鍾”の字は“金”に“重い”と書くのです」などと解説されると、なるほど…と唸るわけです(^^;;
 なお、洞内は撮影禁止。このような自然のままの状態を維持管理するのに、かなり気を遣われているようです。手を触れるのはもちろん、人間の吐く息だけでも酸化・風化・変色してしまうそうで、見学者の少ない小規模の鍾乳洞だからこそ“ありのままの生きている”鍾乳石を見ることができる。素人でも、それがどれだけ大切なことかはわかります。日原鍾乳洞が満員状態(笑)だったこの日でも、見学者は10人に満たないそうです。
 外に出てからは、「日原鍾乳洞の600円よりこちらの400円のほうがずっと価値がありますね」などとおしゃべり。が、そう思ってくれる人は少ないそうで、「狭い」、「写真を撮らせろ」、「触らせろ」、「鍾乳石とはもっと大きな岩のことで、こんなちっちゃい白いものが生きた鍾乳石だなんて嘘だ」などと怒り出す人も多いとか。
 まぁね。鍾乳洞に限らず、どこへ行っても「何しにここに来たの?」と思うような連中ばかりやって来るのが“観光地”ですからねぇ。
 
 さて、時刻もそろそろ16時。一本道の青梅街道が渋滞すると悲惨なので、とっとと帰りましょ。
 往路では青梅から多摩川対岸の吉野街道を利用したので、帰路は青梅街道で。青梅から先の山間部は国道指定なので舗装状態は良好だけれど、なんか狭くて走りにくい。混雑度は同程度だけれど、吉野街道のほうが走りやすいですね。
 下ってくると、青梅街道は青梅市街地の手前から渋滞。いっぽう吉野街道のほうは、青梅までは良くても青梅街道への右折に時間がかかる。結局、どちらを利用しても青梅で詰まってしまうのは同じこと。
 早めの時間帯に降りてきたこともあって青梅の渋滞はさほどでもなかったものの…ひどかったのは箱根ヶ崎で16号を越えてから。瑞浪から武蔵村山、東大和へと至る部分の新青梅街道は、悲惨でした(T_T) 慢性渋滞区間だとはわかっていたものの、あそこまでひどいとは…。

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