風が吹けば桶屋が笑い、秋田新幹線が泣く

[Traffic] Railway

 これは旅日記の一環でもあるのですが、別枠で。。
 年末に北東北を5日間ほど巡った際、内陸部は大雪、沿岸平野部は強風という悪天候に見舞われました。それも、出発&帰京の2日間は何とかなったものの、東北北部にいた中間の3日間がそれこそ最悪だったという、何ともツイてないお話。
 JR各線の運行状況はひどいもので、乗るはずだった五能線など、ダイヤが乱れに乱れた上に深浦−鰺ヶ沢間が5日間連続で(強風のため)全面運休。現地を知っているのでわからないではないものの、離島航路じゃないんだから…。強風による減速運転でダイヤが乱れ、車両運用に手こずるぐらいなら、どうせ大赤字なのだし運転をやめてしまえ。んな思惑が見え隠れ…。JR東日本・秋田支社からすれば、五能線の青森県内区間など、余所のお荷物を背負わされているようなもので。
 てか、青森県内の路線はJR東日本・秋田支社と盛岡支社が担当していますからね。青森支店こそあれ、運行優先基準が秋田・岩手>青森なことは容易に想像できるわけで。

 でも、それは余談。
 本題は、秋田新幹線。
 や、今回は青春18きっぷ旅なので、新幹線は利用せず。でも、その影響は甚大だった…。

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 弘前をスタートしようとしたところ、五能線と花輪線が全面運休、奥羽本線もいつどうなるかわからない状況で予定が狂いまくった、12月28日のこと。JRの大騒ぎが嘘のように、平然と定時運行している秋田内陸縦貫鉄道に乗り、鷹巣から角館に着いてみると…。
 小さな小さな、猫の額のようなJRの待合室は人でいっぱい。改札口付近は一睡の余地もないほどの人、人、人…。一体何が起こっているのかを尋ねようにも、改札横の駅事務室にたどり着くのが一苦労という有様。で、事態を把握すると。。。

  • 朝から、奥羽本線(秋田新幹線)の大曲−秋田間で強風による25km運転規制がかかっている。
  • そのため秋田新幹線のダイヤが乱れまくり、田沢湖線内で列車が数珠つなぎになっている。
  • 列車は少しずつ次の駅に向かっているが、田沢湖線内は単線なので、交換駅毎に対向列車を待たせなければ発車できない。線内の全交換駅で下り(秋田方面)《こまち》が止まってしまっている。
  • 秋田での折り返し車両運用も混乱し、対向列車(上り東京方面)がいつ来るのかがわからないまま、盛岡側から下り列車が次々に入ってきてしまう。そのため、動かすに動かせない状況に陥った。

 とまぁ、こんな具合。
 時刻は13時半。大曲方面ホームに停車中なのは、12時13分初の《こまち9号》。30分ほどして入線してきた対向列車は、10時49分発の《こまち12号》。咄嗟に何分(何時間)遅れなのか計算できん(苦笑)。
 当然のことながら、乗るはずの普通列車など問題外。駅員氏いわく「いつ運行できるのかわかりません」。結局、特例中の特例とも言える便宜措置で、大曲まで停車中の《こまち9号》に乗って良いという。通常の場合、切符や定期券ではない青春18きっぷは、こうした便宜乗車の対象外なのだけれど。田沢湖線が特殊な路線だということでしょう。
 ノロノロと動き始めた列車は、次の交換駅・羽後四ツ谷でストップ。30分以上経って再び動き出し、ようやく大曲にたどり着く。
 でも、横手方面の列車が来ない。大曲−秋田間の奥羽本線ダイヤもグチャグチャで、ときどきやってくる《こまち》を見送るだけ…。
 乗ろうとしていた15時28分発・新庄行に関しては、発車時刻を15分ほど過ぎてから、ようやく「まだ始発(折り返し)の秋田駅に到着しておりません」との案内が。
 大曲−秋田間は新幹線用・広軌と在来線用・標準軌の単線並列なのに、在来線がここまで影響を受けるのか。。
 その後も、横手方面に関しては「案内をお待ち下さい」ばかり。結局、定刻を1時間半も過ぎてから「運休します」。その案内を待つ2時間もの間、改札口付近から離れられないこちらは立ちん坊…。
 てな大曲駅、秋田支社の対応はともかく(怒ってるけれど)。

 何より感じたのは、在来線でミニ規格の新幹線を運行する秋田新幹線の脆弱さ。
 羽越本線の『いなほ』脱線事故の反省から、強風で運転規制がかかることは致し方なし。
 でも、一度ダイヤが乱れれば、田沢湖線全線75.6km+奥羽本線51.7km=計120km以上の長大な単線区間(一部複線区間あり)が、ダイヤ修復のボトルネックに。
 大曲での進行方向転換も障害となるはずで、列車の大幅運休がなければ、遅延が雪だるま式に数時間単位へ…。ダイヤ修復は、終日不可能となる。
 てなことは、秋田新幹線の開業前から想定できたはず。
 山形新幹線の山形−新庄間も似たような状況とは言え、路線は単一で、複雑な構内状況もなく、終着の新庄も単なる行き止まり・折り返し。何より距離が約60kmと短いこともあり、山形−新庄間を運休し、山形折り返しにすればダイヤ回復も早い。
 が、秋田新幹線の場合、田沢湖線内の折り返しは無理。車両運用の関係から在来線(普通列車)がパンクし、新幹線からの乗客を捌ききれない。
 そもそも、山形で乗車率で一気に落ちる山形新幹線と違い、秋田新幹線は秋田までの乗客が多いため、終着・秋田までの運行が大原則となるわけで。

 地元利用者にとっては、秋田新幹線開業以来の(冬季は)日常茶飯事なのかもしれないけれど…。初めて事態に遭遇した立場からすると、これほど脆い運行基盤で、よくもまぁ新幹線を走らせるものだと。
 翌29日も東北新幹線はシステムエラーによりダイヤが乱れ、その件は大きく報道されたものの、前日の事態は「強風により」の一言で片づけられ。「風が吹けば桶屋が笑う…んじゃなく、使い物にならなくなる」秋田新幹線の実情や問題点に、どこも誰も触れようとはしない。これって、おかしくないですかね?

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