北陸本線、敦賀まで直流電化

[Traffic] Railway

 JR北陸本線の長浜−敦賀間、湖西線の永原−近江塩津間が、ともに10月21日から直流電化化、新ダイヤでの運転を開始。
 これで、湖西線は全線直流電化、北陸本線は米原−敦賀間が直流電化、敦賀−糸魚川間が交流電化、糸魚川−直江津間が直流電化区間に。
 これまで同区間は交流電化だったため、直流の北陸本線:米原−長浜間、湖西線:山科−永原間とは、交直両用車両でしか直通運転ができなかったんですね。大阪方面からの新快速・直流用223系も、長浜と永原止まりだったわけで。それが、今回のダイヤ改正で、北陸本線直通の新快速が近江塩津まで、湖西線経由の新快速が敦賀まで、それぞれ延長されることに(データイム毎時1本)。
 直流化された区間のローカル列車には、ワンマン運転対応の両運転台電車125系(小浜線・加古川線などで運用中)が増備される予定。
 また、北陸本線、湖西線には新たに交直両用電車521系も導入され、北陸本線(米原−敦賀−福井間)、湖西線(近江今津−近江塩津間)で普通列車として運転される予定(2両編成)。JR西日本が、普通列車用の交直両用電車を新造するのは初のこと。と言うか、国鉄のJR化以降、普通列車用の交直両用電車として新造されたのは、2005年登場のJR東日本:E531系(常磐線用)ぐらい。

 そもそも、地上設備への投資が安く済む代わりに車輌製造コストがかさむ交流電化=輸送量の低い区間、地上設備は高くつくものの車輌製造コストの安い直流電化=輸送量の多い区間、として、日本の電化は進められてきたんですね。その中で、北陸本線、常磐線のように、長大幹線であるため交流、直流区間がそれぞれ存在する、ある意味でいびつな電化路線も誕生してきたと。
 交流電化区間は、特急など優等列車だけが交直両用電車で運転され、普通列車は機関車牽引の客車列車であったり、短距離列車はディーゼルカー運転で済ますなどされてきた歴史もあります。近年では、JR東日本が交流電車701系の増備を進め、東北地方の交流電化路線で50系客車列車を一掃しましたが。
 いっぽう、交流・直流が共存する路線では、その切り替え区間(デッドセクション)を通過するため、急行型457系(475系)、同車を普通列車用に改造した413系、寝台特急用581系(583系)を改造した419系など、国鉄時代に作られた交直両用電車が長らく使用されてきたと。普通列車用に、製造コストのかさむ交直両用電車を新造することは考えにくいですからね。
 なお、直流電化区間が存在するのはJR東日本、JR西日本の両社だけで、他JR各社はいずれも交流電化区間のみ。

 で、話は北陸本線、湖西線に戻って。
 これで、ある意味、希少車な419系が米原口に乗り入れることはなくなってしまったわけですね。今後の運用が気になるところですが、やはり余命わずかなのか。。
 さて、敦賀までの直流化で交直両用電車を新造するのだから、JR西日本としては、敦賀以東、福井方面・糸魚川までの直流化は考えていない、ということなのでしょうね。輸送量や特急車両の今後を考えれば、富山までは直流電化してもおかしくないのですが…そこには、北陸新幹線の影が見え隠れするわけで。
 新幹線が開業してしまえば、関西−富山間の特急列車は廃止。北陸本線の同区間はローカル路線化し、普通列車だけなら旧国鉄時代の車両で当面やりくりできる。
 と言うより、信越本線や東北本線・盛岡以東のように、第3セクター化してしまう可能性も? その場合、関西圏との連絡需要もある米原−福井間だけはJR路線として残すと。今回の直流電化における事業費162億円のうち、約9割を滋賀県、福井県の両自治体が負担したことからも、その伏線のようにも見えるのですが。。。

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