東北新幹線・新青森開業に思うこと

[Traffic] Railway

 JR東日本の東北新幹線、八戸-新青森間が12月4日に開業。
 ここで気になっていたのが、個人的に利用機会の多かった弘前、津軽エリアへのアクセス改善について。

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 要約すれば、

  • 現行の特急『かもしか』(秋田-青森)3往復と、特急『いなほ』新潟-秋田・青森)のうち青森まで延長運転されていた1往復分の、計4往復を新たに特急『つがる』とする。
  • 現行の特急『つがる』(八戸-弘前)5.5往復は全廃。
  • 青森-弘前間の普通列車を17往復から22.5往復に増やす。

 つまり、

  • 青森-秋田間の特急運転本数は変わらない。
  • 青森-弘前間は特急『つがる』5.5往復分を普通列車に振り替えただけで、同区間の運転本数は変わらない。

 ということ。
 青森-弘前間の高乗車率、同区間を乗り通す乗客の多さなど、首都圏や他地方の人には想像できないほど、北東北エリアの鉄道依存度には高いものがあります。雪国であるが故の、旧来からの生活習慣に関係しているのかもしれません。
 にもかかわらず、従来のダイヤはひどいものでした。
 例えば、従来のダイヤで午前中(8時~12時)に青森から弘前方面へ向かう場合…。

  • 08:18発 特急『つがる43号』弘前行 (弘前着08:53)
  • 08:35発 弘前行普通642M (弘前着09:28)
  • 09:57発 特急『かもしか2号』秋田行 (弘前着10:26)
  • 11:16発 弘前行普通648M (弘前着12:04)

 午前中に弘前で所要がある場合は、嫌でも朝早く出るか、特急に乗らなければならないと。
 それが今回のダイヤ改正で、以下のように大幅な改善が為されました。

  • 08:03発 弘前行642M (弘前着08:46)
  • 09:07発 大館行普通644M~8648M (弘前着09:57)
  • 10:04発 特急『つがる4号』秋田行 (弘前着10:44)
  • 10:36発 秋田行普通650M (弘前着11:25)
  • 11:12発 弘前行普通652M (弘前着11:57)
  • 11:59発 大館行普通654M (弘前着12:42)

 では、首都圏から弘前へのアクセスはどうでしょうか。
 従来のダイヤでは…。

  • 東京06:56→10:03八戸 (東北新幹線『はやて』1号)
  • 八戸10:15→11:13青森 (特急『スーパー白鳥1号』)
  • 青森11:16→12:04弘前 (普通648M)

 となり、午前中に弘前で所要がある場合は、飛行機でなければ間に合わない。
 東京から東海道・山陽新幹線で西へ向う場合、06:50発の『のぞみ7号』に乗れば、12:06には終点の博多に着いてしまいますからね。弘前までの距離に置き換えるなら、岡山や福山あたりでお昼前後に用事があったとして、東京を朝の新幹線で出たのでは間に合わないのと同じこと。それほど、弘前など津軽エリアは東京から遠く不便な場所でした。
 が、今回のダイヤ改正により…

  • 東京06:28→10:01新青森 (東北新幹線『はやて11号』)
  • 新青森10:11→10:44弘前 (特急『つがる4号』)
  • 新青森10:41→11:25弘前 (普通650M)

 劇的な改善です(苦笑)。ダイヤ改正の内容だけではわからなかったので、時刻表を見て驚き。
 ただ、これにはちょっとしたマジックも。まず、朝一番の東北新幹線が30分ほど繰り上げられたこと。次に、青森-新青森間の所要時間約6分が短縮されたこと。
 東京06:28には間に合わない場合(ウチの場合もギリギリです)、次の新青森行『はやて』(定期列車)は1時間後の07:32までありません。これだと新青森着が11:09。普通列車乗り継ぎで弘前到着は11:57。それでもダイヤ改正前よりは早いですが。。。東京06:56発の『はやて13号』が、盛岡止まりなのはなぜ? 車両運用の都合でしょうか。来春、新型車両のE5系による『はやぶさ』運行開始までの暫定措置?

 話を奥羽本線に戻すと。
 フツーに考えれば、特急『つがる』と相互補完するカタチで、青森-弘前間にリレー快速的な列車を増発するのがベター。長野新幹線開業後の長野-直江津間のように…とは誰もが思うことでしょうが、これが現実には難しい。
 青森ー弘前間は単線区間。JR化後の合理化で各駅の交換設備が次々と廃止された結果、優等列車による追い越しが事実上不可能な時間帯も多いはず。日本海縦貫ルートとして貨物列車の運用にも重点が置かれる路線だけに、現状ダイヤを維持するのが精一杯なのかも?
 でも、もう少しやりようがあるのでは?
 ここで、ちょっと穿った見方をすれば…。
 同区間は起点の青森駅と新青森駅だけがJR東日本・盛岡支社の管轄で、他は秋田支社の管轄。奥羽本線を走る列車(車両)の管轄も、秋田支社。同支社にとって、青森県内の利便性など二の次であっても、不思議はない。
 「優等列車は秋田発着のものだけだよ。青森県内の利用者は普通列車で我慢しなさい」
 そう言っているようにも思えてしまうわけで。
 特急『かもしか』用だった余剰485系を使ってリレー快速的な列車を運用することぐらい、やろうと思えばできたのでは? 青森では使わず、秋田管内での波動輸送にでも充当するのでしょうか。
 ま、秋田支社からすれば、新幹線の新青森開業は痛し痒し、あまり嬉しくないことなのかもしれませんが…。

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